AWSっていっぱいサービスあるけど、ぶっちゃけどれを覚えればいいですか?
サービス(製品)の多さはAWSの特長であり、魅力だと言われています。IoTやAIなどのサービスもじゃんじゃんリリースされており、2016年の1年間で1017の新サービスや機能改善を発表したという。実際に、AWSのサイトで「製品」のタブにマウスを置くとズラッとカテゴリが並び、さらにその中にさまざまなサービスが…。そもそも最初に選ぶべきカテゴリにも自信が持てず、初心者を自負するワタクシはポチっと閉じるしか道はありません。というわけで、川上さんに「最初はこれだけ覚えておけ、ってサービスを教えてください」とお願いして、教えてもらったのが下記の4つ。
- Amazon EC2
- Amazon EBS
- Amazon S3
- Amazon Route53
「とりあえずオンプレのサーバをクラウド化したい、という要望なら基本このサービスを使う」とのこと。AWSについて調べていると、本当によく見かける名前たちです。では、それぞれについて詳しく聞いていきましょう。
EC2とEBSは仮想サーバとディスク。セットで使うのが基本
まずはAmazon EC2から。EC2は「Elastic Compute Cloud」の略です。「Elastic 意味」で検索したら、Google翻訳では「エラスティック」と出ました。そうじゃない。検索結果のトップにあった英和辞典では、「弾力のある、伸縮自在の」とあります。なるほど、これがAWSの好きなときに拡張できるってヤツですね。
川上さんいわく「EC2はAWS上に仮想サーバを作るサービス。だから、AWSにサーバを立てて、アプリケーションを動かそうと思ったら、必ず使う」のだそう。AWS上にWindowsやLinuxのサーバを作ろう、と思ったらまずEC2を使うってことですね。
「ちなみにEC2はサービス名です。自分たちで立てたサーバひとつずつのことを“インスタンス”と呼びます」なるほど、インスタンスもよく見かける単語ですが、そういうことだったんですね。
そして、「EC2を使うならセットで使うのがEBS」とのこと。EBSはElastic Block Storeの略…と言われてもさっぱりピンときませんが、AWSのサイトに「Amazon EC2向けの永続的なブロックストレージ」と書かれているように、EC2とセットで使うためのもの。EC2のデータはすべてEBSに保存する構成が基本です。
実はEC2にもデータを保存する領域はあるのですが、そちらはEC2を停止するとデータも消えてしまう仕様。サーバを止めたらデータが消えるって…!恐ろしすぎる。というわけで、サーバを停止してもデータが消えない「永続的な」ストレージであるEBSを使う、というワケです。
大量のデータを保存するなら、比較的安いS3を使うこと
続いては「S3」に行ってみましょう。こちらもよく聞く名前ですが、「Simple Storage Service」つまりストレージですね。AWSの中核サービスの1つで、オンラインで使えるストレージ…ということですが、データを貯めておくだけなら、さっき出てきたEBSに保存しとけばいいんじゃね?という疑問が。
「いろいろ違いはあるけれど…S3の特長は容量が無制限なこと。EBSは容量に制限があるから、容量が大きくなってくると向かない。あとは、S3の方がEBSより安いです」とのこと。料金を調べたところ…
- S3の月額料金は、$0.025/1GBあたり(最初の50TB、スタンダードストレージ)
- EBSは、$0.12/1か月にプロビジョニングされたストレージ1GBあたり
- ※どちらも東京リージョン、2017年8月現在
若干文言が理解しきれてませんが、S3が$0.025に対して、EBSは$0.12と約5倍もの差が…!この差は大きい。
「アプリケーションからアクセスする頻度が高いデータはEBSに入れておいて、バックアップなどのデータをS3に置く構成が鉄板」ということなので、覚えておきます、ハイ。
名前は覚えておこう。AmazonのDNSサービス「Route53」
最後に出たのが、「Route53」です。これはAWSが提供するDNSサービス。「53」という番号でピンときていた方もいたでしょうか?(私は全然きませんでした)DNSの送信元ポート番号が53ですね。
とはいえ、DNSサーバって通常業務であまり意識しません…よね?(むかーしは時々DNSが落ちてWebサイトにアクセスできなくなったことがありましたが、最近なくなりましたよね)ですが、PCからインターネット上に公開されているサイトなどにアクセスするためのDNSだけではなく、たとえばAWSとオンプレミスのサーバをつなぐための名前解決などにも使う、ということ。そういうことか。
そういえば前の入門セッション<ネットワーク編>にもRoute53が出てきましたが、AWS内のサーバ同士で通信するためにも必須、と理解しました。
細かいことはサッパリ分かってませんが、「Route53もなんか使うっぽい」というところまで覚えて終わりにしたいと思います。
補足として
「AWSのRoute53でDNSのレコードを設定すると、世界中のDNSサーバにコピーされるから、ものすごく信頼性が高い。自社サイトのDNSサーバとして使うもアリですよ」
という川上さんからのお言葉をお伝えしておきます。
まとめ
AWSの勉強をしていると、当たり前に出てくるのが「EC2」や「S3」といった単語です。なんとなくこんな感じ?と曖昧な理解で進んでいましたが、今一度原点に立ち返って、その基本中の基本をおさらいしました。
もちろんこれはあくまで基本であり、これ以外にも山のようなサービスがあり、それらをうまく使いこなすとなんだかステキなことができそうです。とはいえ、大量のサービスが並ぶAWSで、どこから始めればいいのか分からないと途方に暮れるならば、ここからスタートしてみるのもいいのではないでしょうか?
最後に、お付き合いいただいた川上さん、ありがとうございました!これからもまだまだいろいろ聞いていきたいと(勝手に)思っております。以上、シイノキでした!
追記その1 Amazon RDS
ありがたいことに、たくさんの方に読んでいただいているこのコラム、公開してから2年以上が経ちました。ここまで解説してきた「最初に覚えておくべき」4つのサービスの次に押さえておきたいサービスを(2年間で少しは成長したかもしれない)シイノキがご紹介したいと思います。
まず1つ目が「Amazon RDS」。AWSが提供するマネージド型のDBですね。システムを作る際にDBはほぼ必須なので、ここはチェックしておきたいところです。マネージド型……というのは要するにDBの運用をAWSがやってくれるということ。パッチの適用やバックアップなんかもお任せでOK。しかもAmazon RDSのインスタンスを作成すればすぐに使えるので、DBをインストールしたり……といった手間もかかりません。
さらに、チェックしたいのがAmazon RDSの「マルチAZ配置」。これを選べば、複数のAZ(アベイラビリティ・ゾーン)に本番系・待機系のインスタンスが配置されるので、万が一トラブルがあってもシステム停止を最小限におさえて可用性の高いシステムを実現できる、というワケです。Amazon RDSだとAWS側のメンテナンスがあり、1つのAZだけに配置する「シングルAZ配置」では10分ほど止まってしまうことがありますが、マルチAZ配置ならシステム停止は数秒程度。これはかなりうれしいポイントです。
ただし!複数のAZにインスタンスを配置ということで、シングルAZ配置と比べてお値段が少々高くなるのが悩ましいところ。そういった際におすすめしたいのが「普段はシングルAZで運用して、メンテナンス時間だけマルチAZ化する」という使い方です。AZの切り替えならばシステムがダウンすることはなく、必要なときだけマルチAZ化することで、コストをおさえながら可用性を向上できるといいことづくし。ちなみに、ソニービズネットワークスが独自開発したAWS運用管理ツール「クラウドポータル」ではこのAZ構成切り替えを自動化する機能を搭載しています!(自慢)
また、「AWSでDBを使うならAmazon RDSを使うべき?」「EC2インスタンス上にDBを構築するのとなにが違うの?」といったところは、別のコラムで詳しく説明しています。
ぜひそちらもご覧ください。
追記その2 Amazon FSx for Windows File Server
もうひとつ、前回コラム公開後に登場した新しいサービスのなかでも、はじめてAWSを使う方におすすめしたいのが「Amazon FSx for Windows File Server」です。これは完全マネージド型のWindowsファイルシステムで、Amazon RDSと同様にOSアップデートやバックアップなどの運用をAWSがやってくれるサービス。そしてこちらもAmazon RDSと同じく、サクっと環境を作ればすぐに使えるので、使いはじめるのも超簡単です。たとえば、ファイルサーバの移行先としても使えるでしょうし、ほかにもAWS上のWindows環境で使う共有ディスクとして使うことも。Windows環境のAWS移行を検討するにあたっては押さえておきたいサービスと言えるでしょう。
「Amazon FSx for Windows File Server」もサービスの特長などを詳しくまとめたコラムがありますので、ぜひご覧ください!
どんどん進化を続けるAWS。基本中の基本こそ変化はないものの、チェックすべき情報は日々増えていきます。これからもいろいろな情報をとりいれ、少しずつでもアップデートし、お伝えしていければと思います。
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