テレワークにおいてネットワーク環境を整備する必要性
テレワークにおいては、ネットワーク環境を整備することが重要です。なぜ重要なのか、理由を詳しく見ていきましょう。
情報漏洩等へのセキュリティ対策
テレワーク環境では、社外からのアクセスが頻繁に行われるため、情報漏洩のリスクが高まります。特に、個人情報や機密データを扱う業務では、自社の情報資産を守るためのセキュリティ対策が重要です。
一般的には、VPNの導入により、盗聴や不正アクセスを防ぐ対策を採用するケースが多いです。また、端末にウイルス対策ソフトを導入し、定期的に最新の状態にアップデートすることで、マルウェアやハッキング対策を行うのも有効です。
他にも、二要素認証を採用してパスワード漏洩リスクを低減するなどの対策を徹底することで、テレワーク環境においても情報漏洩リスクを最小限に抑え、安全な業務運営が可能になります。
業務の効率化
テレワークにおけるネットワーク環境の整備は、業務効率化に直結します。安定したネットワークを確保できれば、オンライン会議やデータの共有をスムーズに行えるようになり、業務の中断や遅延を防げるためです。
また、クラウドサービスや共有ドライブを活用すると、チーム全体が同じ情報にスムーズにアクセスでき、リアルタイムでのコラボレーションが可能になります。これにより、業務の進捗状況を迅速に確認でき、意思決定のスピードが向上します。
さらに、リモートアクセスや仮想デスクトップの導入により、オフィス外からでも安全かつ安定的に業務を遂行できる環境が整い、社員の生産性を高める効果が期待できます。
クラウドサービス
クラウドサービスは、テレワーク環境における生産性を高める上で有効なツールです。
クラウドサービスを利用することで、インターネットを通じて社内外のどこからでもデータやアプリケーションにアクセスでき、物理的なオフィスに縛られることなく業務を行えます。
例えば、クラウドストレージを使うと、大容量のファイルを簡単に共有したり、リアルタイムで共同編集を行ったりすることが可能です。また、クラウドベースの業務アプリケーションを導入すれば、自宅や外出先など、オフィス外からでも作業を進められます。
このような業務効率を向上させるサービスを円滑利用するためにも、ネットワーク環境の整備が重要です。
社員同士の円滑なコミュニケーション
テレワーク環境では、対面でのコミュニケーションが制限されるため、ネットワークを整備して社員同士が円滑に意思疎通を行える環境を整えることが大切です。
オンライン会議やチャットツールを導入すると、遠隔地にいる社員同士でも、同じ場所で業務を行っているかのようにコミュニケーションを図れます。
また、ファイル共有やプロジェクト管理ツールを導入すると、情報の一元管理が可能になるため、全員が同じ情報をリアルタイムで把握できるようになり、情報の行き違いを防止できます。
テレワークに必要なネットワーク環境
テレワークを導入する際、社外から社内ネットワークに安全にアクセスするためにはネットワーク環境の整備が必要です。
ここではテレワークを導入する際に必要となるネットワーク環境について解説します。
インターネットVPN接続
インターネットVPN接続は、テレワーク環境において、社外から社内ネットワークに安全にアクセスするための重要な手段です。
VPN(Virtual Private Network)とは、インターネット上に仮想的な専用回線を作成し、通信データを暗号化して送受信することにより、安全な通信を行う技術です。
企業におけるVPNの具体的な利用方法としては、自宅や外出先から社内のファイルサーバーにアクセスしたり、業務アプリケーションを利用したりするなどの用途が考えられます。
VPNを利用することで、機密情報を含むデータの漏洩リスクを最小限に抑えつつ、テレワークでも高い生産性を維持しやすくなります。
VPNのさらに詳しい解説については、こちらの記事をご覧ください。
関連記事: VPN接続とは?種類やメリット・デメリットについて解説
社内ネットワークへ接続するテレワークの方式
社内ネットワークへ接続するテレワークの方式は、リモートアクセス、リモートデスクトップ、VDIの3種類があります。ここでは、3つの方式について詳しく解説します。
リモートアクセス
「リモートアクセス」は、最もシンプルで、準備期間も短く導入しやすい方法です。
しかし、この方法をとるためにはエンドポイントセキュリティ対策が十分された会社PCが十分にあるケースでないとセキュリティリスクが高まります。
それは各自のPCが直接社内ネットワークに接続するため、
- ・自宅PCに機密情報が残り情報漏えいのリスクになる
- ・万が一社員が使っていた自宅PCがマルウェアに感染していた場合に、一気に社内ネットワークに感染が拡大してしまうリスクがある
などのセキュリティリスクが考えられるからです。
リモートデスクトップ(RDS)
「リモートデスクトップ」は社内に置いたPCに自宅からリモートで接続し、社内のPC経由で社内システムに接続する方法です。
リモートデスクトップのサービスを契約し、中継サーバーを経由することで自宅からVPN接続する必要がなくなり、自宅PCに機密情報が残ることもありません。もちろん自宅PCからのマルウェア感染も中継サーバー上で対策できます。
そしてこの方法なら、オフィスでデスクトップPCなど簡単には持ち帰れない端末を使っている場合でもすぐに利用できるので、その点はメリットと言えます。
ただし、社内のPCを経由して社内システムに接続するということは、つまり社内のPCが起動してなければ、この方法は利用できません。もしPCがシャットダウンされてしまったり、フリーズしてしまったら、だれかが、オフィスでそのPCを再起動しないといけません。
VDI(仮想デスクトップ)
そして最後の方法が、「VDI環境を利用して社内にアクセスする」という方法です。
社内システムに接続可能なVDI環境を用意し、社員は各自自宅からVDIを利用する形です。自宅PCから社内ネットワークへのマルウェア感染リスクがなく、自宅PCにデータが残ることもありません。また会社のPCは使わないため「オフィスでのPC再起動対応」も不要です。
メリットばかりではありますが、デメリットは環境構築までの導入期間が長いこと。
「Amazon WorkSpaces」などのクラウド型VDIサービスを利用しても簡単に環境を立ち上げられるのは空っぽのデスクトップ環境までです。
アプリケーションは簡単にインストールできますが、社内システムにアクセスできるようにするには、専用線(AWS Direct Connect)で接続するなどの、要件定義と構築のため導入期間が必要になります。
社内ネットワークへの接続はどの方式を選べば良い?
社内ネットワークへの接続方法には、リモートアクセス、リモートデスクトップ、VDIの3つがあり、それぞれ異なる特徴を持っています。
まずリモートアクセスはコストが低く、在宅勤務や外出先からのアクセスに適しており、予算が限られている小規模な企業に最適ですが、リモートアクセスをしているユーザーの端末にデータが残るため、十分なエンドポイントセキュリティ対策が可能なPCの貸与が必要不可欠です。
次にリモートデスクトップは社内のPCに遠隔でアクセスする方式で、データは社内の端末に保存されており、端末紛失による情報漏えいやユーザー端末からのマルウェア感染リスクを抑えることができます。しかし、オフィスでPCの再起動などの対応が必要になってきます。
最後にVDIは3つの方法の中では最もコストと導入に時間がかかりますが、セキュリティが非常に高いため、大規模な組織や高度なセキュリティが求められる場合におすすめです。
自社のテレワークの目的や予算に応じて、適切な方式を選ぶことが重要です。
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テレワークのためにネットワーク環境を整備する際のポイント
テレワークのためにネットワーク環境を整備する際の、具体的な3つのポイントを紹介します。
セキュリティ対策を万全にする
テレワーク環境では、社外から社内ネットワークにアクセスする機会が増えることから、セキュリティリスクも高まる傾向にあります。そのため、ネットワーク環境のセキュリティ対策は非常に重要です。
本コラムで紹介した「リモートアクセス」「リモートデスクトップ」「VDI」のような社内にある機密情報に高セキュアにアクセスできる通信手段を確立する必要があります。
加えて、ウイルス対策ソフトは全端末に最新のものをインストールし、定期的なスキャンを行うとともに、セキュリティポリシーを策定して全社員にその内容を徹底させましょう。
多方面からセキュリティ対策を講じることで、テレワークにおける情報漏洩やサイバー攻撃のリスクを大幅に低減できます。
帯域の逼迫に注意する
テレワーク環境を整備する上で、しばしばインターネット帯域の逼迫が問題となることがあります。帯域が不足すると、通信速度が大幅に低下して業務に支障をきたす可能性があるため、安定的な通信を維持するための対策が必要です。
例えば、通信優先度の設定を行い、業務に必要な通信を優先することで、帯域の効率的な利用が可能になります。また、必要に応じて社内ネットワークの帯域を増強すると、複数のユーザーが同時にアクセスしても安定した通信速度を維持できます。
さらに、不要なアプリケーションやストリーミングの利用を制限し、帯域の無駄遣いを防止する対策も効果的です。
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まとめ
テレワーク環境を構築する上で、
- リモートアクセスで社内環境に接続する
- 社内PCへのリモート接続を使う
- VDI環境を利用して社内にアクセスする
の3パターンに整理し、それぞれのメリット・デメリットを比較しました。
導入にあたっては、個別のケースに応じて検討を進めてみましょう。
ただし、どのパターンを選択してもいかにセキュリティを確保するかというのは重要な課題です。
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