AUTHENTIC JAPAN株式会社様

山岳遭難捜索の礎となるGPS情報をLPWA“ELTRES”で送信。
重要なデータを確実に受け取る基盤を、AWSに構築。

AUTHENTIC JAPAN株式会社様

AWSの活用・環境構築がしたい モバイルの活用を進めたい

お客様プロフィール

会社名
AUTHENTIC JAPAN株式会社
本社所在地
福岡県福岡市中央区赤坂1-6-15-4F
設立
2011年12月
従業員数
41人
事業内容
情報サービス業・卸売業
URL
https://www.authjapan.com/

山で遭難した人の捜索を支援し、早期発見につなげるサービス「ココヘリ」を中核に、子ども向け「ココキッズ」やペット向け「ココシッポ」、さまざまなシーンで活用できる「LIFE BEACON」などを展開。「発信機を必ず見つけ出す」ことを目指すテクノロジーとサービスにより、災害・遭難・事件・誘拐などさまざまなリスクがあるなかで、1人でも多くの命を救うべく、挑戦を続けている。

お話をお伺いした方

AUTHENTIC JAPAN株式会社 開発部門 島田 拓氏
AUTHENTIC JAPAN株式会社 開発部門 小山 靖仁氏

ELTRESのGPS情報を活用し、捜索対象のエリアを特定

「未来の“安心”を創り、世界を安全にする。」をブランドパーパスに掲げ、新たなテクノロジーを活用したサービスを世に送り出しているAUTHENTIC JAPAN。なかでも事業の中核をなす山岳遭難捜索サービス「ココヘリ」は、山岳遭難時にヘリコプターを出動させ、発信機を持つ登山者の位置を特定することで捜索時間を大幅に短縮し、発見率は99%にのぼる。日本の山岳エリアにおける人命救助の実績も多く、登山者の間で新たな常識となりつつある。

開発部門 島田 拓 氏
開発部門 島田 拓 氏

ココヘリで利用者が持ち歩く発信機には920MHzの特定小電力無線が組み込まれ、最大16kmの直接通信が可能。発信機の電波をヘリコプターに搭載した受信機で捕捉、遭難者の発見につなげる仕組みだが、登山届などにより捜索対象の山域が分かっていることが前提となる。「ヘリコプターでどのエリアを飛べばよいのかが分からなければ、遭難者の発見までに時間がかかってしまいます。実際に、登山届が未提出だったために、エリアを特定できず、捜索が長期化してしまったケースもありました(島田氏)」この点をどうにか解決できないかと模索するなかで、たどり着いたのが、ソニーが提供するLPWA(Low Power Wide Area)「ELTRES」だった。省電力で長距離通信が可能なIoT向けネットワークELTRESはGPSを標準搭載し、利用者のGPS情報を送信できる。これを使えば「いつ、どの山に入山したか」を確実に把握できるというわけだ。「ELTRES圏内でGPS情報を送信することで捜索のベースとなる情報を担保し、従来の発信機と相互補完する形で、より確実に捜索できると考えました(島田氏)」

データ処理の要となるIoTメッセージング基盤はAWSに構築

ELTRES採用にあたって課題となったのが、ELTRESから送られてくるデータを受け取り、アプリ側データベースに格納できる形式へとデータを整えるIoTメッセージング基盤の構築だ。「ELTRESから送られてくるGPS情報はサービスの肝となるもので、これが欠けると遭難者を捜索することができません。確実に受け取るために、どこにどう基盤を構築するのかが重要です(島田氏)」既存のサーバなどが稼働するクラウド環境にデータ受信の仕組みを構築することも検討したが、より安定した基盤に構築したいと候補に挙がったのがAWSだ。

「弊社では、私たち2人で開発関連を担当していますが、2人ともハードウェアが専門で、ネットワークやソフトウェアの領域は得意分野ではありませんから、基盤をきちんと構築するならば専門知識のある人に任せたいと考えました。そこで、ELTRESについて知見を持つソニーグループであること、また、AWSのノウハウや実績が豊富であることからソニービズネットワークスにAWSの環境構築などを依頼することに決めました(小山氏)」

開発部門 小山 靖仁 氏
開発部門 小山 靖仁 氏

データ保存先も、既存環境ではなくAWSへ。方針転換にも柔軟に対応

当初は、ELTRESから受信したデータを変換・加工したあとは、既存クラウド環境のデータベースに保存する形を想定していた。しかし、ソニービズネットワークスが既存クラウド環境の検証をおこなったところ、大量のデータを一度に受け入れることができないと判明。すぐに方針を転換し、AWS上にデータベースも構築することとなった。
最終的には、ELTRESから受信したデータをAWS IoT Core、Amazon SQS、AWS Lambdaを介してアプリ側の仕様にあわせ変換加工し、Amazon DynamoDBに格納、利用者向けのWebアプリケーションがこのデータをAPIで取得し、Web上で地図などを表示する形を取っている。以上すべてをソニービズネットワークスが対応した。

ELTRES IoTネットワーク図版

「最初にソニービズネットワークスに相談したときから、すぐに『それは、こうすればできます』と提案が出てきました。データベースに関する方針転換への対応も素早く、いつもこちらの期待するものがサッと出てくるという印象です。AUTHENTIC JAPANはベンチャー企業で、新しい試みや方針転換などの動きが早いです。この動きに柔軟についてきてもらえたのは助かりました(小山氏)」

さまざまなサービスに活用できる基盤を実現できた

ELTRES対応に関してまずはひと通りの環境が完成し、2023年12月から新プランとしてサービスを開始している。「今回AWS上に構築したメッセージング基盤は安定して稼働しており、今後も大きなトラブルはなさそうだと感じています(島田氏)」

次に課題となっているのがコストだ。今後、加入者の増加にともない、従量課金のコストがかさむことが懸念される。「Webアプリケーション側は、1度実装してしまうと簡単には構成を変えることができません。そこでソニービズネットワークスに相談し、ログを減らしてストレージコストを削減するなど、提案をもらい、これから変更を進める予定です。稼働後にも柔軟に対応できる点も、クラウドならではの魅力です(小山氏)」

ココヘリは山岳での遭難が対象だが、今後は海での遭難にも展開する。今回のELTRESを利用した仕組みは、子ども向け・ペット向けなど、そのほかに展開するサービスでもそのまま適用できる。「さまざまなサービスのまさに基盤として活用できる環境を整えることができました。現状、次はこれだという明確な目標が定まっているわけではないのですが、次々に新たなビジネスに挑戦するのが弊社の社風です。また次の挑戦が決まったら、ぜひ相談させていただきたいと思います(島田氏)」

山岳遭難捜索サービス「ココヘリ」

ココヘリは、山岳遭難時にヘリコプターを出動させ、登山者の位置を特定することで、捜索時間を大幅に短縮するサービス。専用の発信機と全国エリアの捜索網により遭難者を早期発見、救助組織へと引き継ぐ。さらに、最大550万円まで捜索・救助活動を実施し、個人賠償補償などの保証も充実。命とお金のリスクから会員を守る。
また、ココヘリの新プランとしてELTRESを用いた「GPS+プラン」をリリース。GPS移動履歴でエリアを特定し、ココヘリの強みである発信機の「直接通信」による捜索へとつなげる。
2024年2月初旬の初回受付(1,000台限定)は3時間で限定数に到達し受付完了、2024年3月28日の2次受付(1,000台限定)は1時間で限定数に到達し受付完了した。

ココヘリロゴ

山岳遭難捜索サービス「ココヘリ」

ELTRES IoTネットワークサービス

ソニー独自の無線通信規格「ELTRES」を用いたIoT向けネットワークサービスで、LPWAの「長距離安定通信」「高速移動体通信」「低消費電力」の特長を活かし、効率的なセンサーデータの収集を実現。見通し100Km以上の伝送が可能で、コイン電池1個で動作、またGPSを標準搭載し、高精度な位置情報を取得できる。山間部や海上をはじめこれまで通信がネックとなっていたケースも含め、さまざまなユースケースで活用されている。

ELTRES IoTネットワークサービス図

2024年3月現在

お電話でのお問い合わせ フリーダイヤル 0120-963-350 9:30〜18:00
(土日祝、年末年始を除く)