“ログインしづらい”オンプレミスの履修登録システム
AWS移行で学生からのクレームが激減

課　題

年2回の履修登録時に負荷が集中する教学支援システムが大問題に

履修登録期間中、DBサーバのCPU使用率が100％に達し、非常にログインしづらい状態に

上智大学では、学生の履修、成績などを管理する教学支援システム「Loyola」をオンプレミスで運用していたが、スマートフォンの急速な普及によりサーバへのアクセスが急増。年に2回（春と秋）の履修・抽選登録時に負荷が集中し、ログインしにくい状況が問題となっていた。DBサーバのCPU使用率が100％に振り切ることもあり、改善を望む学生の声が随所からあがっていたため、2017年のサーバのリース終了にあたって改善は必須であった。

サーバ拡張・縮退の手軽さ、運用面のメリットを評価し、AWS移行を決断

当初はオンプレミスでのサーバ更改を検討していたが、すでに公式サイトのWebサーバがAWS上で稼働し、入試の合格発表や台風による交通遅延時のアクセス殺到にもスムーズに対応できていたことから、LoyolaサーバもAWSへ移行することを決断した。

オンプレミスとクラウドのコストは5年間の試算でそれほど変わらなかったが、繁忙期・標準期にあわせてサーバを手軽に増減できることなど運用面でのメリットが大きいという判断だった。従来は学内にサーバを設置していたため年1回の法定点検によりサーバを停止しなければならなかった。ほかにもハードウェア故障の対応や、毎日のテープバックアップなどもあり、サーバの台数が多いために情報システム室の大きな負担となっていた。これらの運用から解放される点もAWSの大きな魅力であった。

解　決

AWS移行によりアクセスが集中しても安定稼働。履修登録もスムーズと学内でも好評

個人情報を扱うため、学内のセキュアなネットワークからのみアクセスできるプライベートクラウドに

Loyolaはパッケージシステムを利用していたが、AWSでの稼働実績がなく、サイジングも手探りだった。パッケージベンダに負荷テストを実施してもらい、標準期・繁忙期それぞれ「これなら対応できる」というスペックを見極めていった。

また、Loyolaは履修情報や成績をはじめ学生の個人情報を管理しているため、セキュリティも重視。学生・教員が外部から利用するためにインターネット側に1カ所だけロードバランサを設置しているほかは、学内の職員のみが利用できるセキュアなネットワークからのみアクセスできる“プライベートクラウド”を構築することで、セキュリティを担保した。

DBのCPU使用率は15～20％程度におさえられ、4～6時間かかっていた処理がわずか30分で完了

2017年末にLoyolaサーバをAWSに移行。2018年4月の履修登録時には、これまで100％に振り切っていたDBのCPU使用率も15～20％を推移し、安定して稼働した。抽選科目の結果発表時は、この結果をもとに学生が次の希望科目（先着順）にエントリーするため負荷がもっとも集中するが、CPU使用率は90％に達したもののサービスが停止することなく、乗り切ることができた。

さらに、抽選科目の処理についても昨年までは4時間ないし6時間かかっていたものがわずか30分で完了。担当職員の負担を大幅に減らすことができた。学生・教員・職員からも「今年は安定している」と好評で、学生窓口への問い合わせも劇的に減り、窓口スタッフのストレス軽減につながっている。今後は「リザーブドインスタンス」の購入も含めて、コスト圧縮を検討していく予定である。

お客さまの声

Loyolaの負荷集中は大きな問題になっていましたが、AWSに移行し状況を大きく改善できたので、学内でも高く評価されています。AWSでは公式サイトのWebサーバとLoyolaサーバの2システムが稼働しており、請求明細をわけるために、AWSアカウントを分けています。「クラウドポータル」なら1カ所でアカウントを切り替えて管理できる点も重宝しています。今後、学内にある業務システムサーバを、時間をかけてAWSに移行していく方針です。

Tips：リサーブドインスタンスとは？

1年間または3年間の利用を「予約」することで大幅な割引が受けられるインスタンスのこと。利用期間や支払い方法などにより割引率は異なるが最大75％もの割引となり、コスト削減が可能に。基幹システムなど継続して利用するシステムに適している。

2018年9月現在