クラウド 元SEママの情シスなりきりAWS奮闘記

Kiro入門・ありがち課題を解決する4つのTips

2026年8月28日掲載

こんにちは、シイノキです。親が「PCやプリンターが不調」って連絡してくるとき、なんでエラーメッセージをそのまま教えてくれないんですかね。「なんかうまくいかない」だけで解決できると思っている節があるのは、なんなんでしょうか……。

気を取り直して、AWS Summit Japan 2026レポート第3弾で取り上げるのはKiroです。「エージェンティックAIでこれまでにないソフトウェア構築を実現」というセッションだったのですが、Kiro入門編としてよくある課題を解決する使い方が紹介されていたので、まとめていきたいと思います。

大規模開発に適用しづらい……AIエージェントが抱える問題

何度も書いている気がしますが、生成AIやAIエージェントは本当にソフトウェア開発のあり方を大きく変えました。コードの予測からコード生成へ、さらにチャットで対話しながら開発することもできるようになっています。……とはいえ、問題がないわけではありません。
たとえば、AIエージェントが自律的に難易度の高いタスクを引き受けてくれると期待されますが、小規模な開発に使えても、大規模な開発にはそのまま適用できないケースが多いです。特に大規模開発では、繰り返し発生するタスクなど対応に手間がかかるものをAIエージェントに任せたいところですが、これもそううまくはいきません。
また、「AIエージェントならいちいちプロンプトに書かなくても、コーディング規約などを取り込んでコードを生成してくれる」とは言うものの、ドキュメントの書き方やコーディングなどのルール、QAの更新などが難しく、きちんと情報が反映されていなければ、AIの成果物も意図に合わないものになってしまいます。
そして、もちろんこういった課題に解決策が用意されていますよ、ということですね。次の段落からはKiroを活用した開発で、直面する課題についてどう解決するのかをまとめていきます。

<課題1>AIで生成したコードが、そのままでは使えない

最初は、「コード生成はできても、それをそのまま使えるとは限らない」という課題です。いかにもありそうですし、実際、生成したコードのうち1/4しか本番環境に適用できなかったという事例もあるのだとか。それは……ちょっと徒労感があります。
ここで有効なのが、Kiroで仕様駆動開発を実現する「Specモード」です。これを使うことで、ガイドに沿って作業を進めさせることができ、「これまで何かしらの理由があって従ってきた、社内のソフトウェア開発プロセスなどの厳格さを取り戻すことができる」と説明されていました。
つまり、いきなり「こういうのを開発して」と頼んで進めるのではなく、要件定義でユーザーストーリーを整理し、レビューをおこない、承認されてから技術設計のドキュメント(インターフェース・API定義、使用言語、フレームワーク、テスト計画など)を定義する。それをもとにタスクリストを作成し、コード生成、デプロイと順番に実行していくことで、「意図と違うものができた」「組織の要件に合わなかった」というリスクをなくせる、ということだと理解しました。
セッションでは、「ログイン機能付きTodoリストアプリの開発」のデモがありました。KiroのSpecモードで要件定義からスタート。いくつかの質問に回答すると、要件定義がまとめられ、レビューして問題がなければ進みます。さらに出てきた仕様を見て、「サーバーレスの方がよさそう」と思えば、要件の変更を伝えることで、修正してくれます。そのまま実装まで完了し、人とAIの間でレビューと指示を繰り返して、仕様駆動開発を実現している様子が分かりました。レビューでどこまでチェックするのかなどがキーになるとは思うのですが、ちゃんとこちらの要件や意図を汲み取っているかを確認しながら進めることで、「生成したコードが全然使えない!」という事態は回避できそうな気がします。

<課題2>コード更新後、テストケースやドキュメントの更新を忘れがち

もうありがちですね。人が開発するときだって、ドキュメント更新は忘れるのに、AIがコードを生成したら、ドキュメントの更新が追い付くわけがありません(偏見)。
そして、ここで役立つのが「Kiro Agent Hooks」です。これは、ファイル保存などのイベントをトリガーにタスクをAIエージェントに委任できる機能で、あらかじめ定めたプロンプトがバックグラウンドで自律的に動くのだそう。
つまり、「Pythonファイルが更新されたら、テストコードを更新する」とか、「Javaが更新されたら、ドキュメントも更新する」とか、そんな自動化ができちゃう。
さらに、なんとHooks自体もKiroに依頼して作成できるのだとか。これはかなり便利そうです。

<課題3>AIが生成するコードも、組織のスタイルにあわせたい

コーディングルールはもちろん、ここではこのAPIを使うとか、こういうテストは必須とか、このセキュリティ基準はクリアしないとダメとか、企業として本番環境に適用するなら、守らなければならないルールがあります。
この課題にもKiroは対応していて、「Kiro Steering」という機能を使います。これは、コーディング規約、プロジェクトの構造、API標準、テスト手法、セキュリティ基準などさまざまな情報を定義したMarkdownファイルを設定することで、それに沿って開発させることができるもの。
ちなみに、「既存のコードを参照して自動でコーディング標準を作って」ということも可能です。自分たちのスタイルや、既存の構造を読み取って、コーディング標準を作成してくれて、それをSteeringファイルとして設定することで、これまでの開発スタイルなどを維持したまま、AIによるコード生成が可能になります。

<課題4>コマンドラインも使いたい

コマンドライン……いいですよね。キーボードで完結できるあの感じ、嫌いじゃないです。生成AIは何となくGUIがメインの気がしていましたが、「コマンドライン派もいるのでは?」ということで、KiroはCLIも提供しており、コマンドで構築やテスト、デプロイも可能です。
また、Kiro CLI 2.0では、Windowsにも対応し、Windowsネイティブでも利用可能になりました。コマンドベースでモデルを選択したり、自然言語でリクエストを与えたりもできるので、ひと通り使えるのではという印象でした。
このほか、「ヘッドレスモード」といって、人間の応答を待たずに実行してくれる機能もあるそうで、CI/CDパイプラインの実行中に自動でプロンプトを実行したいときなどに利用できるのだとか。コマンドラインはもしかしたらこちらの方がメインかもしれません。意図しないことを実行されないように、使い方には注意が必要ですが、うまくすればかなり便利そうです。

これまでに確立してきた開発手法。「AIだから気にしなくていい」わけがない

このセッションの最後には、「仕様駆動開発で、成熟したエンジニアリング手法をAIコーディングに導入できる」とまとめられていました。生成AIにより、開発のスタイルが大きく変わるとはいえ、これまでのエンジニアリング手法だって、過去の実績やノウハウを踏まえて確立されてきたものであって、「生成AIになったから、全部気にしなくていい」とはなりません。開発の規模が大きくなればなるほど、ルールの統一や標準化は不可欠で、「AIだからって勝手にするな」ってなりますよね。
そして、仕様駆動開発で進めることで、そのあたりもかなり対応できそうだなとは思いました。要件定義から実装まで一貫してAIと一緒に開発を進められることで、本当に大きくソフトウェア開発のあり方が変わっていくように感じます。
そうはいっても、Kiroを自分たちで使いこなすのはなかなかハードルが高い!という企業のために、ソニービズネットワークスが提供しているのが「Kiro内製化支援パッケージ」です。このサービスでは、自社の開発ではどう使えばいいのかなど、利用が定着するまで専任エンジニアがみっちりサポートします。気になる方はぜひお問い合わせください!

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