「AI駆動開発」で、開発の進め方が大きく変わる
濱田さんのパートは、そもそも「AI駆動開発」とはなにかの定義からスタートしました。定義をまとめると、「ソフトウェア開発ライフサイクルの全工程にAIを組み込み、AIの支援や自律的な処理を主軸に据えて開発を進める手法」となります。……と言われても、なかなかイメージしにくいですが、これまで、企画・設計・実装などのプロセスは人が主体となって進めていました。生成AIが登場しても、あくまで人が主体のプロセスに少しずつAIを組み込む形です。それに対してAI駆動開発では、AIが設計や実装などを進めて、人は監視するというアプローチに変わります。人が細かく手を動かすことがなくなり、AIが出してきたものに間違いがないか、意図に沿っているか、安全性に問題がないかなどを監視すればいい……となると、開発のあり方は大きく変わりそうです。

開発ライフサイクル全体をカバーするAI駆動開発基盤をどう実現するか?
では、この開発スタイルを実際どうやって実現するのかという話ですが、ここでまずキーになるのが、GitLabが提供するAIエージェントのプラットフォーム「GitLab Duo Agent Platform」です。これは、複数のAIエージェントをソフトウェア開発ライフサイクル全体に組み込み、開発プロセスを支援してくれるプラットフォームであり、一般的な開発ライフサイクルのかなりの部分をカバーしてくれます。そう、「かなりの部分」であり、全部ではない……ので、残りの部分をどうするのか、そこをKiroとAWS DevOps Agentで実現しよう、というのが今回のセッションのメインの話でした。

Kiroに「自社の開発手順・ルールに沿って開発を進めてもらう」方法
ではまずは、Kiroでカバーする部分から。ここで活躍するのがAgent Skillsです。これは、「多くのAIエージェントで採用されている共通規格で、標準手順書を定義することで、AIエージェントの動作を制御できるもの」だそうで、開発の手順や、ドキュメント作成のルールなどをあらかじめ定義しておけば、それに基づいて開発してくれるようになる、と理解しました。
具体例として挙げられていたのが、「plan」と「develop」という2つのskillで、planでは、Issue(要件)の確認から、計画書・要件定義書を作成し、ドキュメントレビューまで進める手順をまとめていました。developでは、Issueの確認から、実装を経て、マージリクエストの作成まで進める流れが定義されています。

「こういう順番に開発を進めるべき」というルールや手順がまとめられているイメージですよね。つまり、これまではエンジニアがルールを覚えて、開発を進めていたのを、Skillsに定義し、Kiroに任せることができる。そしてこうすれば、「マージリクエストの作成方法も統一され、データも整理される。エンジニアがGitLabを操作する必要がなくなります」とのこと。それは確かに相当便利そうです。
ここでひとつポイントとして話があったのが、GitLab Duo Agent Platformとの使い分けについて。実は、今回KiroのAgent Skillsでカバーする、といった作業の中にはGitLab Duo Agent Platformでできるものも含まれています。ではなぜ、Kiroにやらせるのか?そのカギとなるのがコスト。「GitLab Duo Agent Platformにはコードレビューや脆弱性スキャンなどGitLabでしかできない作業を任せて、それ以外はKiroを使うことで、クレジットを節約する」とのこと。確かに、生成AI関連のコストは結構課題になっているようですし、「コスト効率のよいモデルを選ぶ」といった話もちらほら聞こえます。こういう観点も欠かせません。
環境を理解したうえで、障害調査してくれるAWS DevOps Agent
続いては、AWS DevOps Agentです。これは、AWSが提供するフロンティアエージェントのひとつで、AWS環境の運用やインシデント対応部分……つまり「DevOps」の領域を担当するAIエージェントです。フロンティアエージェントは、2025年のAWS re:Inventで注目されていたもので、過去のコラム(「Frontier Agents」で“開発はAIにお任せ”は実現するのか?)でも取り上げていますが、その特長としておさえておきたいのが「トポロジの収集と理解」だそうで、要するに、自社のAWSアカウント内の情報を収集して、どんなリソースがあるのか、どんな関係かなどを理解して、ドキュメントを作成してくれる。そして、いざ障害が起きたらそのドキュメントをもとに状況を判断して、調査方法もAIエージェントが考えてくれるのだそう。しかも、AWS DevOps AgentはGitLabにも連携できるため、ビルド系のログも参照でき、「いつデプロイしたか」も確認できるので、これも原因調査ではかなり効果がありそうです。
セッションでは、実際にAWS DevOps Agentでインシデント調査をおこなうデモが紹介されていました。きちんと動かないコードを追加し、デプロイし、発生したエラーについて、AWS DevOps Agentに「こういう障害が起きているから調べてほしい。バックエンドに原因がありそう」と依頼すると、自動で調査が進んでいきます。複数の調査が平行して進められるなかで、ビルドログも参照し、具体的な操作を調査、最終的に障害発生に近い時間に実行されたパイプラインを発見し、追加されたコードが原因と特定していました。ここまでやってくれるのは、確かに相当便利そうです。
ちなみに、「きちんと動かないコード」を追加するときに、「GitLab Duo Agent Platformからかなり怒られて大変だった」そうで、図らずもバグがうっかり混入するリスクを減らすことも実証されていたのも興味深いところでした。
自社で実践したノウハウをもとに、企業のKiro活用・定着を支援
ソニービズネットワークスでは、実際に実装フェーズでKiroを活用し、Agent Skillsに定義した開発手法に従って、コミットやマージもKiroがおこなっており、AIで生成したコードの品質担保もできているとのことでした。この品質担保の部分がかなりキーで、「AIが書いたコードを読むのはかなり大変、そのレビューの負担を軽減できるのは大きい」というのも、納得感がありました。
AI駆動開発は漠然と掲げられたワードというわけではなく、すでに実現のためのサービスも出ているし、実践も進んでいるんだと改めて実感しました。ソニービズネットワークスでは、自社での取り組みで培ったノウハウをベースに、企業のKiro導入・定着に向けた支援サービスも提供しています。詳しくはぜひお問い合わせください。
お役立ち資料をダウンロード
「Kiro内製化支援パッケージ カタログ」のダウンロードをご希望のお客様は、
以下必要事項をご入力ください。
