クラウド 元SEママの情シスなりきりAWS奮闘記

中小企業のファイルサーバ バックアップ事情。どこまで、どうすればいい?

2022年9月14日掲載

こんにちは。シイノキです。私はもともとあまりゲームをしない人なので、仕方がないと言えばそうなのですが、カーレース的なゲームで、ついに家で一番弱くなりました。小2娘にはもうしばらく勝てると思ってたんですが、子どもの吸収力はすごいですね。

さて、突然ですが、ファイルサーバのバックアップ、どこまでやってますか?バックアップは必要、とはいえ、「とりあえず週1回外付けHDDにコピー」から「別拠点とデータを同期」「クラウド上で冗長構成」まで、やり方にもコストにもかなり幅があります。最近ではランサムウェア対策などセキュリティ観点からもバックアップの必要性が高まっていますが、「コストもそんなにかけられないし、人手も不足気味」の中小企業にとってどこまでどう対策すべきか悩ましいところ。そこで今回は、「クラウドバックアップ付きファイルサーバ(NAS)構築パッケージ」などでご協力いただいている、コムネットシステムのエンジニア白柳さんにインタビュー。中小企業におけるファイルサーバのバックアップ事情について伺いました!

障害・災害対策、誤操作対応、最近ではセキュリティ対策としてのバックアップも

―― 中小企業では情シスがひとりだったり、総務が兼任だったりとあまりシステム運用に手をかけられないケースも少なくありません。そういった企業では実際、ファイルサーバのバックアップはどうしているのでしょうか?

コムネットシステム白柳氏
まず前提として「バックアップはいらない・しなくていい」という企業はないですし、バックアップに対する意識もかなり変わり、「しっかり取っておかないと大変だ」と重要性を理解している企業が増えてきた印象があります。
こういった企業におけるバックアップには大きく2つの要素があり、1つ目は一般的に指す“バックアップ”で、障害や災害時などにデータを復旧し、企業の業務を継続するためのものです。もうひとつは、社員が間違えてファイルを削除してしまった・上書きしてしまったものを戻したいなど、誤操作に対応するためのものですね。こちらに対応するには世代管理やファイル単位での復旧が要件になってきます。
さらに最近はテレワークが普及したことで、セキュリティの観点も追加されました。特にランサムウェアの被害が増えていることもあって、ここ半年~1年ほど「ランサムウェア対策としてバックアップしたい」というニーズが増えています。

 

―― では実際どのようにバックアップを実装しているのでしょうか?

コムネットシステム白柳氏
お客さまにバックアップの実装方法を提案する際は、3段階でお話しています。最初の段階としては、誤削除対応やサーバ故障時に備えた外付けHDDなど同一環境内でのバックアップです。第2段階は災害対策・BCPという観点が入り、遠隔拠点へバックアップしましょう、という話になります。第3段階になるとセキュリティの観点が加わって、社内リソースだけでなく、クラウドなどの隔離された環境へのバックアップが必要になってきます。
以前は外付けHDDでのバックアップまでしかやらない企業も多かったのですが、最近は『身近なところでランサムウェアの被害を聞いた』と、クラウドが検討候補に挙がるケースが増えました。

 

―― なるほど。各段階でコストも変わってきますから、“自社がどこまで対策したいか”とコストのバランスで検討すると分かりやすそうです

低コストだけど安心!ファイルサーバ用NASとして勧めたい「QNAP」

―― テレワークする機会が増えたところで、「テレワーク中にどうやってファイルサーバにアクセスするか」が課題になってくると思うのですが、みなさんそのあたりはどう運用しているのでしょうか?

コムネットシステム白柳氏
一般的にはVPNで社内にアクセスしてファイルサーバを使うか、事業者が提供する中継サーバを介してリモートデスクトップで接続し、社内PCを経由してファイルサーバを使うといった運用が多いです。
ただ、「クラウドバックアップ付きファイルサーバ(NAS)構築パッケージ」で提供しているQNAPでは、「My QNAP cloud」というクラウドサービスが標準でバンドルされています。これは、社内に設置しているNASへの通信を中継してくれるサービスで、ブラウザから社内にあるNASのファイルを見られるようになります。VPNなどを用意しなくても、社外からNASにアクセスできるので、お客さまからも好評の機能です。

 

―― これは便利そうです!QNAPのお話が出ましたが、「クラウドバックアップ付きファイルサーバ(NAS)構築パッケージ」ではオンプレミスにQNAPのNASを設置して、Amazon S3にバックアップを保存する構成をとります。QNAP自体の特長も伺えますか?

コムネットシステム白柳氏
QNAPの特長は、まず低コストで導入できることがあります。Windows OSのサーバと比較してもかなり安く、量販店で扱っているNASと同レベルで導入できますが、法人向けモデルとして提供されているので、故障時の対応などがしっかりしていて安心感があります。また、アンチウイルス機能などQNAP自体で提供しているアプリケーションの数が多いのも特長ですね。
あとは、管理用のWeb画面はかなりわかりやすいので、ITの専門知識に不安がある方でも使いやすいと思います。
独自OSなので、Windows OSと比べて攻撃されにくい、セキュリティを強化できる、とも言えますし、簡易的な構成でファイルサーバ的に利用するなら、QNAPはお勧めです。

 

―― 逆に、こういうケースには適さない、というものはあるのでしょうか?

コムネットシステム白柳氏
「何階層もあるようなフォルダごとに、細かくアクセス権を制御したい」という要件はやや苦手ですね。部署ごとに大きくフォルダを分けて、各部署の人しか閲覧できない、といった程度のアクセス権制御なら問題ありません。Active Directoryと連携することも可能です。
あとは、「サーバ上でExcelを開きたい」のように、サーバ側にWindowsアプリケーションをインストールしたいという要件にも対応できないですね。

バックアップを機にクラウド移行を考える企業も

―― QNAPからAmazon S3へバックアップできるパッケージへの反響はいかがでしょうか?

コムネットシステム白柳氏
「クラウド環境を持っておきたいと思っていたけれど、きっかけがなかった」というお客さまに、かなり興味を持っていただいています。特にAmazon S3の従量課金分は思った以上に安い、と感じる企業が多く、「Amazon S3をきっかけにクラウド移行を進めていきたい」と考えているようです。
しかも、このパッケージではAWS側については「マネージドクラウド with AWS」を利用するため、AWSに関するところはソニービズネットワークスのサポートを受けられます。AWSと直契約するとなると、トラブルが起きたときに全部自分たちで対処しなければならないので、その不安を解消できます。クラウド環境の保守・運用まで意識するなら、このパッケージだと安心だね、と評価いただいています。

 

今回お話を伺って、“バックアップ”とひと言でざっくりとらえていたものを、きちんと整理して理解し、なにから考えればよいのかなどが明確になったように感じます。「クラウドバックアップ付きファイルサーバ(NAS)構築パッケージ」では、オンプレミスに設置するQNAPのNASを担当するコムネットシステムと、バックアップ先となるAWSを担当するソニービズネットワークスが連携し、オンプレミスからクラウドまでワンストップでご提供するパッケージです。「ファイルサーバのバックアップをどうするか問題」の結構有力な解決策と言えるのではないでしょうか。次回は、ファイルサーバで気になる「ランサムウェア問題」を取り上げたいと思います。以上、シイノキでした!

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