社内ネットワークとは?ほかのネットワークとの違い
社内ネットワークとはどのようなものなのかを解説し、その他のネットワークとの違いについても紹介します。
社内で利用するネットワークのこと
社内ネットワークとは、企業内に構築するネットワークのことです。社内で扱うパソコンやプリンター、OA機器などをネットワークでつなぎ、データを共有して業務を行います。近年、企業活動を行っていくうえで社内ネットワークの構築は不可欠ですが、同時に導入における課題解決も重要となっています。
ホームネットワークとの違い
ホームネットワークは、家庭内で使用することを前提としたネットワークです。パソコンやスマートフォン、家電などをネットワークでつなぎ通信を行います。社内ネットワークに比べ、同時接続台数が少なく、通信範囲も狭いことが特徴です。Wi-Fi機能を備えた家電や機器が多く販売されており、ケーブルを気にすることなく使用できます。
パブリックネットワークとの違い
パブリックネットワークは公衆の場で使用できるネットワークで、現在は駅や空港、飲食店などで無料提供されているケースが多いでしょう。外出先でも使用できるWi-Fiとして便利ですが、不特定多数が接続できるためセキュリティ面に不安があります。
クレジットカード番号やログインID、パスワードなど、外部に漏れてはいけない情報は入力してはいけません。
参考:社内のネットワークを構築せずともクラウドで環境構築可能
ネットワークの違いを把握することは重要ですが、現代ビジネスにおいて企業ネットワークの必要性が低くなっている点も覚えておきたいところです。技術の発達により、社内ネットワークの構築が必須だとはいえなくなりました。
たとえば、下記の例が挙げられます。
- クラウドサービスの活用
- 各端末でエンドポイントセキュリティの実施
- ゼロトラストの実施
ゼロトラストとは「すべてを信頼しない」という考え方から構築するセキュリティ対策の方法です。従来のIDとパスワードによる認証のほかに、クラウドサービス側での認証や端末への証明書インストール、ワンタイムパスワード発行などを活用します。
クラウドサービスの導入よって、従来の企業ネットワークと比べてコストを抑えた環境構築が可能になってきました。
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社内ネットワーク構築に必要な機器
社内ネットワークを構築する際に、主に必要になる機器を紹介します。
ルーター
ルーターとは、異なるネットワークを相互に接続し、パケットを適切な宛先へルーティングするための機器です。社内ネットワークを外部ネットワーク(インターネット)と接続することもできますが、社内ネットワーク間や複数のセグメント間の通信を管理・調整する役割も担っています。
また、ルーターにはセキュリティ対策を目的としたファイアウォール機能が搭載されているのが一般的であり、外部からの不正アクセスを防止するためにも重要です。
社内ネットワークの規模や用途に応じて必要なルーターの性能や機能は異なるため、要件を整理した上で適切な機器を選定することが求められます。
LANケーブル
LANケーブルは、ネットワーク機器同士を物理的に接続するために使用します。
ケーブルの種類は「カテゴリー」という単位で分類されており、カテゴリーとは、ケーブルの性能を示す規格のことで、通信速度や伝送帯域が異なります。通信の安定性や速度に直結するため、適切なものを選ぶことが大切です。
例えば1Gbps以上の内部ネットワーク環境を構築している場合、カテゴリー6以上のケーブルを選択することで、ギガビット通信を安定的に行い、社内ネットワークのパフォーマンスを最大限に引き出すことが可能です。
また、ケーブルの品質や構造も耐久性に影響を与えるため、価格の安さだけを重視せず、信頼性の高い製品を選ぶことが重要です。
LANとWANの違いとは
ネットワークには「LAN」と「WAN」の2種類があります。その説明を、表にまとめました。
表はスライドできます
種類 | 説明 | |
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LAN | ネットワークの最小単位 例)オフィスの1フロアや部門に閉じたネットワーク、ホームネットワーク |
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無線LAN |
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有線LAN |
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WAN | 複数のLAN同士が接続されたネットワーク 例)本社と支店を繋いだネットワーク |
LANは、限られたエリアで接続できるネットワークを意味する「 Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)」の略語です。LANには「無線」と「有線」の2種類の接続方式があります。
一方、WANは「Wide Area Network(ワイドエリアネットワーク)」の略で、広範囲なネットワークを指しています。離れた場所にあるLANを相互接続したものがWANです。本社と支社間など距離がある場所は、ケーブルや無線LANでは接続できません。しかし、インターネットVPNや広域イーサネットなどのサービスを利用することで、拠点間通信が可能になります。
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スイッチ(スイッチングハブ)
スイッチは、ネットワーク内で複数のデバイスやネットワークセグメント同士を相互に接続するために使用する機器です。
スイッチを活用すると、データを必要なデバイスに限定して転送できるようになります。具体的には、MACアドレスを用いて宛先デバイスを特定し、データを送信することで、ネットワークの効率を高めて無駄なトラフィックを削減できます。これにより、ネットワーク全体のパフォーマンスが向上し、大規模なネットワークでも安定した通信が可能になります。
スイッチのポート数や転送速度は、ネットワークの規模やニーズに応じて異なるため、事前によく検討した上で適切なものを選ぶことが望ましいです。
スイッチとハブの違い
一般的に「スイッチングハブ」をスイッチと呼び、「リピーターハブ」をハブと呼びます。
スイッチとハブはどちらもデータ転送を制御する機器ですが、ネットワーク内において異なる役割を果たします。
ハブは接続されている全てのデバイスに同時にデータを送信しますが、スイッチは特定の宛先にのみデータを送信します。そのため、スイッチはネットワークの効率を向上し、データの衝突を減少させる効果が期待できます。
ハブは主に小規模なネットワークで使用することが多く、低コストで導入できますが、ネットワーク負荷が増加するとパフォーマンスが低下する点がデメリットです。現在では、ハブは流通していないため、ほとんどのネットワーク環境ではスイッチが標準として使用されています。
アクセスポイント
アクセスポイントは、Wi-Fiの電波を送受信するネットワーク機器です。LANケーブルによる電気信号での通信とWi-Fiによる電波での通信を中継します。
オフィス内の広範囲で無線接続できる環境を確保するためには、適切なアクセスポイントの配置や数が重要になります。アクセスポイントの配置は、電波干渉を避けるために適切な間隔で設置し、死角を作らないようにすることが望ましいです。
サーバー
サーバーとは、社内ネットワーク内でデータの保存やアプリケーションの提供、リソースの管理など、さまざまなネットワークサービスを提供するための中心的な役割を担うコンピュータシステムです。
ネットワークの規模や用途に応じて、ファイルサーバー、データベースサーバー、メールサーバーなど、異なる種類のサーバーを導入するのが一般的です。ファイルサーバーはデータの共有、データベースサーバーはデータの管理、メールサーバーはメールの送受信を管理します。
高性能なCPUや豊富なメモリに加え、速いストレージや高性能なネットワークインターフェースを備えたサーバーを選定すると、より安定的な運用を実現できます。不慮のトラブルに備えて、サーバーの冗長化や定期的なバックアップの仕組みを導入し、データの消失や業務の長期停止を防ぐための対策が求められます。
社内ネットワーク構築による2つの効果
社内ネットワークを構築すると、下記の効果を得られます。
- 社外に出せない情報をセキュリティリスクから守れる
- マルウェアやウイルスへの感染を防げる
そもそも社内ネットワークは、機密情報を社内で共有する際に使用されます。順番に見てみましょう。
社外に出せない情報をセキュリティリスクから守れる
社内ネットワークは、社外秘の情報を社内で共有する際に、セキュリティリスクから守るために構築されます。
インターネット回線は社外の人も使うため、セキュリティ面で不安がありました。機密情報をインターネット回線上に置けない場合、企業内にサーバーを設置して社内ネットワークだけで共有すれば機密情報を保護できます。
極端な例を挙げると、企業情報をクラウドストレージに保存し、企業内に守るべき情報がない場合はネットワークの構築は不要といえます。
マルウェアやウイルスへの感染を防げる
社内ネットワークを構築すると、マルウェアやウイルス感染など外部からの攻撃を防げます。
ネットワークの構成は、おもにインターネットからルーター、スイッチ、アクセスポイント、そして業務で使用するパソコンです。ネットワークの出入り口であるルーターにファイアウォールを設置して、マルウェアの侵入やウイルス感染から業務で使用している端末やサーバーを守ります。
インターネット回線から企業ネットワークを切り離すことで、ルーター配下のネットワークにおけるセキュリティ対策が可能です。
社内ネットワークがもつ4つの課題
幅広く活用されるようになった社内ネットワークの留意すべき課題について紹介します。
セキュリティ対策
セキュリティの強化は社内ネットワークにおいて、最も気を付けなければならない部分です。サイバー攻撃の数は年々増えているうえに、手口も巧妙化しています。社内ネットワークへの不正アクセスや攻撃によるシステムダウンなどを防がなければなりません。それに加え、情報漏えい等に関する社内教育の実施も必要です。
IPアドレスが足りなくなる
IPアドレスには、ネットワークに接続している端末を識別する住所のような役割があります。社内ネットワークでは、組織で自由に使えるプライベートIPアドレスを使用しますが、多くの端末を接続するため足りなくなるかもしれません。
IPアドレスの規模は、端末台数を目安としてA、B、Cのクラスに分かれており、大きな事業所ではクラスA、中規模事業所ではクラスB、小規模ならCを選択するようにしましょう。
リモートワークにおける対応が必要
働き方改革や新型コロナウィルス感染症の流行などが要因となり、リモートワークの重要性が高まりつつあります。そのためには、従業員の自宅から社内ネットワークにつなげるための認証方法やVPNの利用を検討しなければなりません。また、ログ監視やデータの暗号化、サイバー攻撃の検知を強化するといった対策も必要です。
担当者の業務負荷が増大する
ここまで紹介した課題が実際にトラブルとして発生した際は、ネットワーク担当者がトラブル解決に向けて対応しなくてはなりません。
複雑なネットワーク環境を構築したり安価なシステムを組んだりすると「設定できない」「ネットワークにつながらなくなった」など、社内の問い合わせが増加する恐れもあります。
問い合わせの対応に追われて本来の業務を中断せざるを得ない状況も考えられ、担当者のパフォーマンス低下や業務の停滞を引き起こしかねません。
通常運用のメリットは多いものの、問い合わせ増加などの対策を考慮したうえでネットワークを構築するのがおすすめです。
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社内ネットワーク構築方法
社内ネットワークを構築するには、どのような手順で行うとよいでしょうか。構築方法について説明します。
社内ネットワークの現状把握
社内ネットワークを構築するにあたって、まずはネットワーク関連で自社が抱える課題や問題点を洗い出す必要があります。その上で、日頃の業務や利用方針に必要、もしくは将来的に必要になると思われるシステムを検討しましょう。また、セキュリティ対策の調査も忘れてはいけません。アクセス権限や接続についてしっかりと検証を行うことが重要です。
社内ネットワーク構成や規格を決める
現状把握で浮き彫りになった課題を解決するために、可能な限りシンプルなネットワーク構成を作ります。構成はフロアや拠点数によって変わりますが、1フロア1拠点、または複数フロア1拠点ならルーターの設置は1台が一般的です。デバイスが複数フロアにわたるのであれば、スイッチやハブを設置しましょう。
本社や各支店をつなぐような複数フロア複数拠点の場合は、WANサービスとの契約が必要になります。
社内ネットワークをマニュアル化する
社員から疑問点が出た場合やシステムトラブルの発生に備えて、マニュアルを作成します。社内ネットワークを管理・運営する部署や担当者を決定することも重要です。マニュアル化することで、担当者が変更になる際もスムーズな引き継ぎができます。また、担当者や部署に問い合わせなくても、社員自身でトラブルに対応できるようになるでしょう。
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関連記事:社内ネットワークでファイル共有するには?環境構築からセキュリティ対策まで解説
社内ネットワークの構築事例
ここからは、社内ネットワークの具体的な構築事例を紹介します。
1フロア1拠点
1フロア1拠点のネットワーク構築は、限られた空間内で効率的かつ安定した通信環境を提供します。
インターネットと社内ネットワークを接続する際、一般的にはONU (光回線終端装置)を経由します。
ルーターはデータの送信経路を決定します。また、ルーターにファイアウォールやUTM機能が内蔵されている場合、外部からの攻撃や不正アクセスを防ぎます。
その後、スイッチを介して社内の必要なデバイスにデータを送信します。複合機や社内サーバーには固定プライベートIPアドレスが割り当てられており、社内で安定した通信が可能です。
また、無線アクセスポイントを設置し、PCやモバイルデバイスが無線でネットワークに接続できるようになっています。このように、有線と無線を組み合わせた柔軟なネットワーク環境が、効率的かつセキュアな通信を実現します。
クラウドを中心とした社内ネットワーク
クラウドを中心とした社内ネットワークでは、インターネットを通じてクラウドサービスに接続し、オンプレミスの設備を補完しています。
ONU(光回線終端装置)を経由して外部のインターネットに接続し、クラウドと通信します。
クラウドを利用することで、データやシステムの管理が効率化され、外部リソースを利用した拡張性の高いネットワーク運用が可能になります。
複数フロア1拠点
複数フロアにわたるネットワーク構築では、1つのルーターに加えて、各フロアにスイッチを配置する必要があります。
社内サーバーや複合機には固定プライベートIPアドレスが割り当てられます。これにより、ネットワーク内で安定した通信が可能になり、特定のデバイスへのアクセスが容易になります。
さらに、無線アクセスポイントが各フロアに設置されることで、無線接続によってデバイスが柔軟にネットワークに接続できるようになっています。
この構成により、複数のフロアにわたって一貫したネットワーク環境を提供し、デバイスの有線および無線接続が両立されています。スイッチを介することで、フロア間での通信も効率化され、拡張性と柔軟性が高いネットワークを実現できます。
複数フロア・複数拠点
複数フロアや複数拠点にまたがるネットワーク構築では、異なる場所に存在するネットワークを、安全かつ効率的に接続するための設計が求められます。
各拠点はONU (光回線終端装置)を介してインターネットに接続されます。
データセンターには、社内サーバーが設置されており、企業全体の重要なデータやサービスを管理しています。このサーバーには固定プライベートIPアドレスが割り当てられており、内部ネットワークからの安定したアクセスが確保されています。
インターネットVPNによって接続されることにより、物理的に離れた拠点同士で安全かつ暗号化された形で通信を行うことができます。VPN接続により、各拠点のデバイスやサーバーが一体化したネットワーク環境を構築でき、データの共有やリモートでの業務が可能になります。
このように、複数拠点を持つネットワークでは、VPNによってインターネット上でのセキュアな通信を行い、拠点間の連携を強化できる形を構築することが重要です。
社内ネットワーク接続の3つのポイントとは
社内ネットワークに接続するために押さえておきたいポイントを紹介します。
【ポイント1】 クラウド化への対応
以前はオンプレミスが主流だったため、システムやツールにかかる維持管理のコストが課題となっていました。しかし、クラウド化が進んだことにより、コストを削減しながら社内ネットワークに接続できるようになっています。
クラウドを利用することで、グループウェアやオンラインストレージなどが活用でき、複数人での同時作業が可能です。ただ、ネットワークを介してデータを頻繁に送受信するため、より強固なネットワークセキュリティ対策をしなければなりません。社内システムがクラウド化しても対応できるようなネットワーク構築を検討しましょう。
【ポイント2】 シンプルな構築を心がける
社内ネットワークは、シンプルなシステム設計にすることが重要です。複雑な構成にしてしまうと、トラブルが起きた際に原因究明まで時間がかかります。理解しやすいネットワーク構成にすれば、導入後の管理や運用もスムーズに行えるでしょう。また、負荷のかかりにくい構成であることも安定したネットワーク構築には必要な要素です。
【ポイント 3】セキュリティルールを設ける
企業ネットワークに接続する際は、セキュリティルールを設定し、遵守することが重要です。ファイアウォールやIDS/IPSなどのネットワーク機器の導入はもちろん、適切なセキュリティルールを設定することで、不正アクセスを防止できます。
たとえば、下記のセキュリティルールが考えられます。
- パスワードの強制設定
- アクセス制限の設定
- セキュリティポリシーの策定
NURO Bizが提供するセキュリティソリューションでは、ネットワークセキュリティやIDaaS(Identity as a Service:クラウドサービスなどのIDとパスワードや認証情報を統合管理するサービスのこと)などのサービスで、クラウド利用とテレワークの利便性を損なわず、安全に利用できます。
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まとめ:社内ネットワークの構築は専門業者に依頼するのもあり
社内ネットワークの構築は、今後の企業活動や業務効率化の実現にとって重要な基盤となります。しかし、構築に関する知識や人材不足から自社での対応が難しい場合もあるでしょう。そのようなときは、外部への委託も検討してはいかがでしょうか。
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