クラウド AI 元SEママの情シスなりきりAWS奮闘記

<Amazon Connectユースケース>トラブル時の“電話連絡”を自動化する

2025年8月4日掲載

こんにちは、シイノキです。暑すぎて「家から目的地まで、いかに外を歩かずにたどり着くか」を最優先に経路検索をしています。

前回に引き続き、今回のテーマもAmazon Connectです。Amazon Connectと言えばコンタクトセンターサービスですが、なんとセッションテーマが「コールセンターだけじゃない︕エネルギー業界に学ぶ、Amazon Connect の活⽤パターン」でして、顧客向けコンタクトセンターだけではない、ちょっと変わったユースケースが2つ紹介されていました。エネルギー業界に限らず、これは結構いろいろなところで使える方法なのでは?ということで、この2つについて詳しく解説していきます!

<ユースケース 1>設備事故情報の通知

まずは、設備で事故が発生した際の通知にAmazon Connectを使おう、というユースケースです。エネルギー業界の場合……とされていましたが、業界問わず、何かしらのトラブルが起きたときに、関係する拠点・部署の担当者にとにかく早く連絡しなければならないのは当然のところ。しかも、確実に連絡を取るために、メールやチャットではなく、電話で連絡したいというニーズもあるでしょう。……となったときに、関係者が増えていくと手作業で1件ずつ電話をかけるのはかなりの負担です。

というわけで、トラブルの情報を登録したら、「関連する拠点・部署の担当者に電話をかけて必要な情報を音声で伝える」ところまで自動化しよう、というのが今回のユースケース。AWS LambdaからAmazon ConnectをAPI経由で呼び出すことで、自動での電話発信を実現します。

もう少し構成を詳しく解説しましょう。ここでポイントになるのが2つのLambda関数と、Amazon DynamoDB。Amazon DynamoDBに入っているのは担当者の連絡先。そして、Lambda関数はそれぞれ「トラブル情報を読み取って、連絡する先をAmazon SQSのキューに入れる」までと、「Amazon ConnectのAPIを呼び出して、キューの連絡先に順番に架電する」ところを担います。

Amazon Connectの呼び出しは「StartOutboundVoiceContact API」という発信用のAPIを利用し、コンタクトフローのなかで音声の自動再生をおこなう、というイメージです。電話番号のほか担当者の名前もパラメータとして渡せるので、「こういうトラブルが発生したので、〇〇さんの方で対応してください」のように名前を入れて連絡事項を伝えることもできるのだとか。

注意点としては、この「StartOutboundVoiceContact API」はアカウントごとに1秒間に2リクエストまでという制限があること。つまり、担当者が10人いたとして、一気に全員に電話をかける処理にすると制限に引っかかってしまいます。なので、Amazon SQSでキューイングしたうえで、Lambda関数で同時実行数を調整する、というステップを踏む必要がある、とのことでした。とはいえそれでも手作業で1件ずつ電話をかけることを考えたら、圧倒的にラクなはず。なによりトラブルが起きている最中に、電話連絡に手を取られなくていいのは相当便利そうです。

トラブル発生から担当者に連絡するまでのフロー
トラブル発生源の担当者「担当者がトラブル情報を作成」→トラブル情報→AWS Lambda「担当者の連絡先を取得」⇔Amazon DynamoDB(設備ID,電話番号,担当者名,拠点の表)→Amazon SQS→AWS Lambda「Amazon ConnectをAPIで呼び出し」→Amazon Connect「指定された電話番号に発信」→関連する拠点・部署の担当者(複数)

<ユースケース 2>オンコール時のアサイン

続いては「オンコール時の担当者アサイン」をAmazon Connectで自動化するケースです。トラブル対応……という意味では、1つ目のユースケースと似ていますが、先ほどの例が「トラブル発生を関係者に伝える」ものだったのに対して、こちらは「だれか担当できる人をアサインする」ところまでおこなうのがポイント。なにかあったら夜中でも休日でも、だれかが対応しなければならない……業界問わずそういう状況は結構ありそうです。

通常、オンコール担当者に連絡をして、連絡が取れない or 対応ができないとなったら次の人に連絡し、対応できる人がつかまるまで繰り返すことになりますが、この作業を自動化しちゃいましょう、というユースケースになります。

セッションはエネルギー業界の事例をベースとしていたので、電力がひっ迫していることを検知するところからスタートでした。ここでは、タスクの定期実行ができるAmazon EventBridge SchedulerでLambda関数を呼び出して、電力需給情報を監視、ひっ迫していたら、次の処理を呼び出す、というフローにしていました。

電話をかけるところに関してはユースケース 1と似ていて、担当者の情報をAmazon DynamoDBから取得し、上から順に連絡していきます。ここでポイントになるのは、担当者情報とは別に「対応結果」のDBがあること。担当者の回答をもとに、対応結果のテーブルを更新、更新を機に(担当者が決まっていなかったら)次の担当者に連絡、決まったら終了、という流れになります。

対応可否に関しては、「電話がつながらなかった」ということもあるでしょうし、数字で入力してもらって判断することもできるはず。もちろん最初のきっかけは、用途にあわせて、それぞれ考える必要があるでしょう。

とはいえ!担当者に順番に電話して、対応できる人をつかまえるのって結構大変なのではないでしょうか。このあたりを自動化できるのは、かなりよさそうに思いました。

ついでに、担当者をアサインして終わりにするのではなく、「トラブル対応用のチャットチャネルを作る」など、その後の業務連携まで作り込むこともできる、とのことでした。

電力需給情報の監視から、オンコール担当者への連絡までのフロー
Amazon EventBridge Scheduler→AWS Lambda(⇔電力需給情報)「タスク定期実行で電力需給情報を監視」→AWS Lambda(⇔Amazon DynamoDB/オンコールリスト)「担当者情報を取得し、結果テーブルに格納」→Amazon DynamoDB/対応結果→AWS Lambda→Amazon Connect「優先度の高い担当者から順番に連絡」→AWS Lambda「対応結果を更新」→Amazon DynamoDB/対応結果

「電話対応の自動化」の第一歩として、社内向け用途は十分アリでは?

Amazon Connectは「コンタクトセンターサービス」と言われるだけあって、どうしても顧客向けの窓口でどう活用するかに目がいきがちです。普段の仕事でも(業界によって違うとは思いますが)電話をかける機会は減っている気がしますし、メールやチャットでいいじゃん?という感じもなくはないですが、緊急時はどうしても電話の方が確実、というのも事実でしょう。そのときにこういう使い方はおもしろいなと思いました。

しかも、社内向けということは、連絡する先も社内。顧客向けほどシビアな品質が求められないような気がしますし、「自動音声での対応」のトライアルとして使ってみるのはありなのではないでしょうか。アイデア次第で使える範囲は結構広そうです。以上、シイノキでした!

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