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ZTNAとは
ZTNAは「Zero Trust Network Access(ゼロトラストネットワークアクセス)」の略称で、ゼロトラストセキュリティモデルに基づいたネットワークアクセス管理の仕組みです。従来のネットワークセキュリティとは根本的に異なる考え方・アプローチを採用しています。
ZTNAの基本原則は「何も信頼しない、常に検証する」というものです。社内ネットワーク内も含めて、全てのアクセスを潜在的な脅威と見なし、アクセスが発生するたびに認証と認可を行います。
従来のネットワークセキュリティとの違い
従来のネットワークセキュリティは「境界型セキュリティ」と呼ばれ、社内ネットワークと社外ネットワークの境界に防御の壁を築くアプローチでした。一度社内ネットワークに入れば、比較的自由にリソースにアクセスできる構造になっています。
対してZTNAでは、ユーザー、デバイス、アプリケーションの組み合わせごとにアクセス権を厳密に検証します。内部ネットワークにいるという理由だけではリソースへのアクセスは許可されません。
VPNが「ネットワークレベル」でのアクセス許可を行うのに対し、ZTNAは「アプリケーションレベル」での細かなアクセス制御を実現します。そのため、必要最小限の権限だけを付与することが可能になります。
表はスライドできます
項目 | 従来のVPN | ZTNA |
---|---|---|
アクセス範囲 | ネットワーク全体 | アプリケーション単位 |
アクセス権限 | ネットワークに一度入れば広範囲 | 最小権限の原則に基づく制限 |
検証タイミング | 初回接続時のみ | 継続的に検証 |
コンテキスト考慮 | 限定的 | 多要素(デバイス、場所、時間など) |
注目を集めるZTNAの主な特徴
ZTNAが近年注目されている背景には、いくつかの重要な特徴があります。これらの特徴は、現代のデジタル環境におけるセキュリティニーズに応えるものとなっています。
常時検証による継続的なセキュリティ確保
ZTNAでは「常時検証」の原則に基づき、一度認証が完了したユーザーやデバイスであっても、継続的に検証が行われます。アクセス時だけでなく、セッション中も定期的に権限を再確認します。
この仕組みにより、認証情報が盗まれた場合でも不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。ユーザーの行動パターンの異常を検知して、自動的にアクセス権を制限することも可能です。
アプリケーション単位のマイクロセグメンテーション
ZTNAは、ネットワーク全体へのアクセスではなく、特定のアプリケーションやリソースへのアクセスに焦点を当てています。これにより、ユーザーは必要なアプリケーションだけにアクセスできるようになります。
このマイクロセグメンテーションにより、万が一侵害が発生した場合でも被害を最小限に抑えることができます。攻撃者がネットワーク内を自由に横断することを防ぎ、被害の拡大を防止します。
コンテキストベースのアクセス制御
ZTNAはユーザーIDとパスワードだけでなく、デバイスの状態、アクセス時間、場所、ネットワーク状況など、複数の要素(コンテキスト)を考慮してアクセス権を判断します。例えば、普段と異なる場所からのアクセスや、セキュリティパッチが適用されていないデバイスからのアクセスを制限することができます。
このコンテキストベースのアクセス制御により、状況に応じた柔軟なセキュリティ対策が可能になります。多要素認証(MFA)と組み合わせることで、さらに強固なセキュリティを実現できます。
ZTNAが必要とされる背景
従来のネットワークセキュリティモデルが機能しなくなってきた背景には、いくつかの重要な環境変化があります。これらの変化がZTNAの必要性を高めています。
- クラウドサービスの普及による企業リソースの分散化
- テレワークの拡大によるリモートアクセスの増加
- サイバー攻撃の高度化・巧妙化
- IoTデバイスの増加によるセキュリティ境界の曖昧化
クラウドサービスの普及
企業のITリソースは、オンプレミスからクラウドへと急速に移行しています。SaaS(Software as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)などのクラウドサービスが日常的に利用されるようになっています。
これらのクラウドサービスは従来の境界型セキュリティでは保護できません。ZTNAはクラウドリソースへの安全なアクセスを実現し、場所を問わず一貫したセキュリティポリシーを適用できます。
テレワークの拡大
COVID-19パンデミックの影響もあり、テレワークは一時的な対応策から恒久的な働き方へと変化しました。従業員は会社のオフィス以外の場所から、さまざまなデバイスを使って業務を行うようになっています。
この状況下で、従来のVPNでは効率的なアクセス管理が難しくなっています。ZTNAは場所やデバイスに依存しない安全なアクセスを提供し、テレワーク環境に最適なセキュリティソリューションとなっています。
サイバー攻撃の高度化
サイバー攻撃は年々高度化・巧妙化しており、単純な境界防御では対応できなくなっています。特に標的型攻撃やサプライチェーン攻撃など、内部ネットワークへの侵入を前提とした攻撃が増加しています。
ZTNAは「侵入されることを前提」としたセキュリティモデルであり、高度な攻撃に対する有効な対策となります。内部ネットワークに侵入されても、横方向の移動を制限し、被害を最小化できます。
ZTNA導入前にチェックしておきたいこと
ZTNAにはメリットだけでなく、課題や制限もあります。導入を検討する際には、これらも併せて理解しておく必要があります。
導入の複雑さ
ZTNAへの移行は、単なるツールの導入ではなく、セキュリティアーキテクチャの根本的な変革を意味します。既存のシステムやアプリケーションとの統合が必要となり、慎重な計画と段階的な実装が求められます。
特に大規模な組織では、複雑な移行プロセスが必要となります。レガシーシステムとの互換性の問題や、既存のセキュリティインフラとの統合が課題となることがあります。
初期コスト
ZTNAソリューションの導入には、初期投資が必要です。ライセンス費用、導入コンサルティング、トレーニングなど、さまざまなコストが発生します。特に中小企業にとっては、この初期コストがハードルとなる場合があります。
運用コスト
ZTNAの効果的な運用には、専門知識を持つ人材が必要です。人材育成や外部専門家の活用など、継続的な投資が求められます。
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コスト項目 | 内容 |
---|---|
初期導入コスト | ライセンス費用、導入コンサルティング、システム構築 |
運用コスト | 保守サポート費用、システム監視、定期的なアップデート |
人的コスト | 専門知識を持つ人材の採用・育成、ユーザートレーニング |
間接コスト | 移行期間中の生産性低下、システム統合の工数 |
ポリシー設計の難しさ
ZTNAの効果は、適切なアクセスポリシーの設計に大きく依存します。過度に制限的なポリシーはユーザーの業務効率を低下させ、逆に緩すぎるポリシーはセキュリティリスクを高めてしまいます。
企業の業務要件とセキュリティ要件のバランスを取りながら、最適なポリシー設計を行うことは容易ではありません。また、ビジネス要件の変化に合わせて、ポリシーを継続的に見直し・更新する必要があります。
ユーザーの抵抗感
ZTNAは従来のVPNよりも厳格な認証プロセスを要求することがあります。多要素認証や継続的な認証が必要となるため、慣れていないユーザーには煩わしく感じられることがあります。
このようなユーザーの抵抗感を軽減するためには、適切な教育とトレーニング、そして段階的な導入が重要です。セキュリティ強化の必要性を理解してもらい、新しいプロセスに適応するための支援が必要となります。
ZTNAの導入ステップ
ZTNAの導入は、多くの場合、一括ではなく段階的に行うことになります。ここでは大まかにその流れを紹介します。
現状分析と目標設定
まず、現在のネットワークインフラ、アプリケーション、ユーザーアクセスパターンを詳細に分析します。どのリソースが重要で、誰がアクセスする必要があるのかを明確にします。
その上で、ZTNAの導入による具体的な目標を設定します。セキュリティ強化、運用効率の向上、コンプライアンス対応など、組織にとって重要な目標を定義しましょう。
ソリューション選定
自社の要件に合ったZTNAソリューションを選定します。クラウドベース、オンプレミス、あるいはハイブリッドなど、さまざまな展開モデルがあります。既存システムとの統合性、スケーラビリティ、管理のしやすさなどを考慮して選びましょう。
導入計画策定
選定後は、段階的な導入計画を策定します。一度に全てを変更するのではなく、重要度の高いアプリケーションから順に移行する計画が効果的です。
パイロット導入と評価
限定されたユーザーグループと特定のアプリケーションを対象に、パイロット導入を行います。この段階で技術的な問題や運用上の課題を特定し、解決策を見つけることが重要です。
パイロット導入の結果を詳細に評価し、必要に応じて計画を調整します。ユーザーからのフィードバックも積極的に収集し、改善点を特定しましょう。
全社展開
パイロット導入での学びを活かし、全社的な展開を進めます。ユーザーグループやアプリケーションを段階的に追加していくことで、リスクを管理しながら移行を進められます。
ポリシー最適化
導入後も継続的にポリシーの最適化を行います。アクセスパターンの変化やビジネス要件の変更に応じて、ポリシーを調整し続けることが重要です。
ユーザー教育
ZTNAの効果を最大化するためには、全てのユーザーが新しいセキュリティモデルを理解し、適切に利用する必要があります。定期的なトレーニングや啓発活動を通じて、セキュリティ意識を高めましょう。
継続的改善
技術の進化や脅威の変化に対応するため、継続的な改善が不可欠です。定期的なセキュリティ評価と最新技術の導入により、常に最適なセキュリティ態勢を維持しましょう。
ZTNA導入時の注意点
ZTNAの導入を成功させるためには、いくつかの重要な注意点があります。これらを事前に把握し、適切に対応することで、スムーズな移行が可能になります。
レガシーシステムとの互換性
多くの企業では、レガシーシステムや古いアプリケーションが依然として重要な役割を果たしています。これらのシステムは、最新のセキュリティプロトコルに対応していないことがあります。
ZTNAの導入にあたっては、レガシーシステムへのアクセス方法を慎重に計画する必要があります。プロキシベースのアプローチや、段階的な移行計画を検討しましょう。
ネットワークパフォーマンスの考慮
ZTNAでは、全てのアクセスに対して認証と認可のプロセスが実行されます。これにより、特にネットワーク負荷の高いアプリケーションでは、パフォーマンスへの影響が懸念されることがあります。
導入にあたっては、パフォーマンス要件を明確にし、選定するソリューションがそれを満たせるかを検証しましょう。また、ネットワークの最適化や帯域幅の確保など、パフォーマンス対策も併せて検討すべきです。
緊急時のアクセス確保
システム障害や災害時など、緊急事態においては、通常のアクセス制御プロセスが機能しない可能性があります。このような状況でも、重要なシステムへのアクセスを確保する必要があります。
ZTNAの導入計画には、緊急時のバックアップ手段も含めるべきです。例えば、代替認証方法や、特定条件下での一時的なポリシー緩和などの仕組みを検討しましょう。
コンプライアンス要件との整合性
業界によっては、特定のセキュリティ基準やコンプライアンス要件が存在します。ZTNAの導入が、これらの要件を満たしているか、あるいは新たな要件を生み出すかを検討する必要があります。
規制対象業界では、コンプライアンス要件との整合性を確認し、必要に応じて監査や証明書の取得を計画しましょう。データの所在地や保持期間など、特に注意が必要な要素もあります。
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まとめ
ZTNAは「信頼しない、常に検証する」という原則に基づき、クラウド中心の現代ビジネス環境に適したセキュリティアプローチを提供します。従来のVPNと比較して、より精緻なアクセス制御と高いセキュリティレベルを実現できます。
テレワークの普及やクラウドサービスの拡大が進む中、ZTNAはこれからのネットワークセキュリティの標準になりつつあります。自社のビジネス要件とセキュリティニーズを見極め、適切な形でZTNAを導入することで、柔軟かつ安全なデジタル環境を構築していきましょう。
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