ネットワーク

PPPoEが遅い!考えられる4つの原因と解決策を詳しく解説

PPPoE接続を利用したインターネット接続サービスは、ISPネットワークに接続する際、インターネット終端装置を通過する必要があり、通信量が増加すると速度が低下しがちです。PPPoE接続によるインターネットが遅く、どのように解決すれば良いのかお悩みの方も多いでしょう。

具体的な改善策として、ルーター設定の最適化や接続方式の変更、ISPの見直しなどが考えられます。本記事では、PPPoEが遅い時に考えられる4つの原因と解決策を詳しく解説します。PPPoE接続が遅くてお困りのネットワーク管理者やITインフラ担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

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PPPoEとは?

PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)とは、イーサネットネットワーク上でPPP(Point-to-Point Protocol)を実行するためのネットワークプロトコルです。主にインターネットサービスプロバイダー(ISP)が、顧客にインターネット接続を提供するために使用します。

PPPoEは、ユーザー認証と暗号化機能を備えており、ユーザーごとにセキュアな接続を確立できる点が特徴です。家庭用や企業用のブロードバンド接続に広く採用されており、特にADSLやFTTH(光ファイバー接続)でよく使われています。

NGNとISP網をつなぐ方式の一つであるPPPoE

PPPoEは、NGNとISP網を接続するための主な方式の一つです。

NGNまたはアクセス網とはインターネット接続サービス利用ユーザー宅またはオフィスから、ISPのネットワークに接続するための光ファイバーなどの物理的なネットワークのことです。インターネットに接続するためには、NGNからISPが運営するISP網に接続する必要があり、その接続方式の一つがPPPoE方式です。

PPPoE方式はユーザーIDとパスワードによる認証を行い、NGNからISP網に接続を許可します。この際に網終端装置を通過するのですが、網終端装置を通過できるトラフィック、通信速度には限界があり、網終端装置がボトルネックとなり、しばしば大規模な通信速度の低下(輻輳)が発生します。

光ファイバーインフラの仕組み

光ファイバーインフラは、インターネットを提供するための技術であるFTTHや、光ファイバーを共有するためのPON技術、アクセス網などで構成されています。ここでは、光ファイバーインフラの仕組みを3つの観点から紹介します。

1.ユーザーからOLTまでのFTTHの仕組み

初めに、光ファイバーインフラの仕組みについて簡単にご説明します。光ケーブルは、ユーザーの自宅にあるONUから電柱間の架空ケーブルにつながっています。架空ケーブルはクロージャーで束ねられ、NTTの収容局内に入り、IDMという光配線盤につながります。その後、光ファイバーはIDMからOLTにたどりつきます。では、この光ファイバーをどのようにして共用しているのでしょうか?

接続拠点からの信号は、分岐点(スプリッタ)を通じて集約し、地域の光ラインターミナル(OLT)に伝送されます。通常、OLTは通信事業者の中央局に設置されており、ユーザーからのデータを集約してインターネットに接続します。

2.光ファイバーを共有するための技術PONとは

光ファイバーを共有するための仕組みは、上りと下りで異なります。上りでは、OLTの指示による時分割多重によってフレームの衝突を防いでいます。下りでは、スプリッターで分岐した同じ信号が全ONUに届き、それぞれのONUが自分宛のデータのみを取り出して、ユーザーに届けています。

こうした通信を実現しているのがPONです。PONには様々な規格があり、技術革新によって新たな規格も生まれています。

3.アクセス網の仕組み

前項で見てきたように、ユーザー宅から延びている光ファイバーはOLTにつながり、その先はNGNアクセス網(NTT東日本・NTT西日本が構築・運用するIPネットワーク)へと入っていきます。

NGNは収容ルーター、各県中継ルーター、集約中継ルーターという3階層のルーターで構成されます。近年、NGNのトラフィックは急増しており、これに対応するため、回線の増強が行われています。

PPPoEが遅い時に考えられる理由

図版_PPPoEが遅い時に考えられる4つの理由

PPPoE接続方式のインターネット接続サービスが遅い原因はいくつか考えられますが、特に多いのがルーターの接続が適切ではない、利用者が増加して速度が低下している、使用しているルーターが陳腐化していることなどです。ここでは、PPPoE接続方式のインターネット接続サービスが遅い時に考えられる3つの理由を紹介します。

ルーターの設定が適切ではない

ルーターの設定ミスや不足によって、通信速度が低下する場合があります。適切な設定がされていないと速度低下だけでなく、通信ができないという場合もあります。

例えば、MTU(最大転送単位)の設定が不適切だと、データが断片化されてしまい、通信速度が低下しやすくなります。また、ルーターのファームウェアが古い場合も、最新のパフォーマンス改善やセキュリティパッチが適用されず、速度低下の原因やセキュリティホールとなることがあります。

ルーターの設定を見直したり、常に最新のファームウェアに更新して最適化したりすることで、速度の改善が期待できます。

利用者の増加による速度低下

同じ回線を利用するユーザーの数が増えると、回線が混雑し、速度が遅くなることがあります。ユーザー数が増えることで利用できる帯域が減ると、通信速度が遅くなってしまうのはIPoE接続でも同様ですが、ボトルネックとなる点が異なります。

PPPoE方式では、網終端装置を経由しなければなりません。
網終端装置は、NGN網とISP網をつなぐ役割を担いますが、1Gbpsの帯域に1,000セッション以上のユーザーを接続するため、通信のボトルネックになりやすく、これが通信速度を低下させる要因となります。

使用しているルーターの陳腐化

古いルーターは、最新の通信速度に対応できないことがあります。特に数年前のモデルでは、ルーターの性能が足りず、機器が原因で通信速度が遅くなる現象は起こりがちです。

また、複数のデバイスを接続した際にルーターのスペックが足りず多くの端末・セッションの通信を処理し切れず、通信速度の低下を引き起こす可能性があります。古いルーターを使用し続けるのではなく、定期的に新しいルーターへの買い替えを検討すると、速度の改善が期待できるでしょう。

セキュリティリスクを回避する観点からも、ルーターはできるだけ最新に近いものを利用することをおすすめします。

ISPに原因がある

ユーザー側ではなく、ISPの設備が原因で速度が遅くなる場合もあります。

ISPのネットワーク設備が混雑していたり、何らかのトラブルが生じていたりする場合に、インターネット速度が低下することがあります。急な速度低下を感じたら、まずはISPのWebサイトなどを確認し、トラブルが起こっていないか確認してみましょう。

また、ISPが提供しているプランの帯域が十分でない場合も、速度低下の原因となります。場合によっては、より高速なプランへの変更や、他のISPへの乗り換えを検討することも必要です。

PPPoEが遅い時に試したい改善方法

PPPoE接続方式のインターネット接続サービスが遅い時は、ルーター設定の最適化や接続方式の変更、ISP/通信キャリアの見直しなどで問題を解決できる場合があります。ここでは、PPPoE接続方式のインターネット接続サービスが遅いと感じたときに試したい3つの改善方法を解説します。

ルーター設定を最適化する

前述のように、ルーター設定が最適化されていないと速度低下を招くおそれがあります。ルーターの設定を見直し、最適なパフォーマンスを引き出すことが重要です。

まず、ルーターのファームウェアが最新のバージョンになっているかどうかを確認し、必要に応じてアップデートを行いましょう。次に、MTU(最大転送単位)の設定を調整すると、データ転送の効率が向上する場合があります。

MTUが適切な値に設定されていないと、データパケットが断片化され、通信速度が低下しやすくなります。また、アクセスポイントを利用した無線LAN環境を構築している場合、アクセスポイントを遮蔽物の少ない位置に配置するなど、物理的な環境を調整するのも効果的です。

接続方式の変更を検討する

図版_PPPoEとIPoEの比較

PPPoE接続方式のインターネット接続サービスの速度低下が続く場合、IPoEなど他の接続方式を利用したメニューへの変更を検討するのも有効です。

IPoE(IP over Ethernet)は、PPPoEと異なりNGNとISP網の接続にユーザーIDとパスワードによる認証、網終端装置を通過する必要がありません。そのため通信が不安定となる要因が少なくなり、より安定した通信が期待できます。

IPoE接続方式のインターネット接続サービスを利用する場合は、ISPのプラン変更が必要になります。ISPに問い合わせをし、サービス内容を確認しましょう。

ISP/通信キャリアの見直し

現在のISP/通信キャリアのプランやサービスを見直し、より高速なサービスを提供しているISP/通信キャリアに変更することも、解決策のひとつです。

ISP/通信キャリアによって提供している通信速度やサービス品質は異なるため、他のISP/通信キャリアのプランを比較検討し、より高速で安定した接続を提供するISP/通信キャリアを選ぶことが重要です。特に、IPoEに対応しており、設備が整ったISP/通信キャリアを選ぶことで、通信速度の改善が期待できます。

ISP/通信キャリアを見直す際は、ユーザーの評判やレビューなども参考にしながら、用途に合わせて最適なサービスを見つけることが大切です。

IPoEとは?メリット、デメリットは?

前述のように、IPoEはPPPoEに比べて安定した通信が期待できます。一方、対応しているISP/通信キャリアが限られているなどのデメリットも存在するため、メリットとデメリットの両方の側面を押さえた上で、導入を検討することが大切です。

1.従来と異なる接続法である、IPoE

PPPoE接続とは異なる、新しい接続方式の一つにIPoEがあります。IPoEは、IP over Ethernetの略であり、GWR(GateWay Router)を利用することで、スムーズな通信を可能にしています。

2.IPoEのメリットはインターネット速度の速さにある

IPoE方式(IPv4 over IPv6を併用)のメリットとしては、ボトルネックが生じにくく、PPPoEよりもインターネットの実効速度が速いという点が挙げられます。また、IPoE方式では、PPPoE方式のようにユーザー側でルーターやアダプターなどの通信機器を設置する必要がありません。

一方で、IPoEには次のようなデメリットもあります。PPPoE方式がIPv4とIPv6の両方に対応しているのに対し、IPoE方式はIPv6のみに対応しています。現在、IPv6に対応していないサイトやWebサービスも多くあるため、IPoE方式で通信を行う際にはIPv4 over IPv6の技術が必要となります。

IPoEでネット速度が改善する可能性がある

これまでご説明してきたように、PPPoE方式でインターネット速度が遅いと感じる場合、IPoEへの変更が効果的な場合があります。

ソニービズネットワークスがご提供するNUROアクセスは、IPoE方式を採用しています。さらにユーザー宅からインターネットまでのネットワークを1社で管理しているためより高品質な通信を可能にしており、「インターネット速度が遅い」「インターネットの通信速度が遅く、業務が滞っている」といった課題を解決できます。

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