そもそもAmazon FSxとは?
まずは基本からいきましょう。Amazon FSxは、AWSが提供するフルマネージド型のファイルストレージサービスです。AWSではブロックストレージ、ファイルストレージ、オブジェクトストレージと3タイプのストレージを提供していまして、Amazon FSxはこのうちのファイルストレージになります。主にSMB/NFSといったファイル共有のプロトコルでアクセスし、階層構造を持つファイルシステム、とのこと。フルマネージド型なのでハードウェアやソフトウェアの管理は一切不要で、ユーザはデータ部分だけ管理すればOK、もちろん従量課金で使えて、可用性も高い、さらに容量だけでなく性能もスケールアップできる「スケーラビリティの高さ」が特長です。
そして、Amazon FSxでは、4種類をラインナップ。まずはWindowsファイルサーバとして使える「Amazon FSx for Windows File Server」、Linuxベースの「Amazon FSx for Lustre」、そして2021年9月に登場した「Amazon FSx for NetApp ONTAP」。さらにそのあと、2021年12月にOpenZFSを採用した「Amazon FSx for OpenZFS」が追加されました。
Amazon FSxラインナップ
NetApp ONTAPってなんですか?
Amazon FSx for NetApp ONTAP……の前に「NetApp ONTAP」の説明からいきましょう。
冒頭でも触れましたが、NetAppはストレージベンダーで、1992年創業。HDDからSSDまで幅広いストレージアプライアンスとあわせて、データ管理のソリューションを展開しています。
ONTAPはそんなNetAppが自社のアプライアンスに搭載するストレージOSで、バックアップ、レプリケーションから、重複排除・データ圧縮、データ階層化まで、ストレージやデータを効率的に管理する機能を網羅。餅は餅屋……じゃないですが、やはりどの機能もストレージに特化しているからこその強みがあり、さすがストレージベンダーがストレージのために開発したOS、と言えるでしょう。
最近では、ランサムウェア検知などセキュリティ系機能も強化していて、そのあたりも魅力的です。
「Amazon FSx for NetApp ONTAP」とは?
そして、このNetApp ONTAPの全機能をAWSサービスとして利用できるのが「Amazon FSx for NetApp ONTAP」です。
そんなAmazon FSx for NetApp ONTAPの特長としてまず挙げたいのが、「データ階層化」。基本的に、ほかのAmazon FSxでは、ディスクとしてSSDかHDDのどちらかを選んで使うことになりますが、Amazon FSx for NetApp ONTAPはSSDとHDDをハイブリッドで使えるんです。そして、データへのアクセス頻度により、「よく使うデータ」をSSDに、「あんまり使わないデータ」をHDDに自動で格納することで、コストを抑えながら、よく使うデータはSSDの速さを享受できる、ということに。もちろん利用者は「データがどっちに格納されているか」を意識する必要はなく、全部NetApp ONTAPが自動でうまいことやってくれます。
NetApp ONTAPによるデータ階層化
もうひとつ、魅力的なのが「コストパフォーマンスの高さ」です。Amazon FSxはスループットも従量課金になりますが、このスループットあたりの単価が、Amazon FSx for Windowsと比較してかなりお安い。つまり、「高いスループットが必要なケース」だと、Amazon FSx for NetApp ONTAPの方がコストを抑えられる可能性が高い、ということ。ここはきっちり試算して検討したいところです。
そのほか、Amazon FSx for Windowsなどとの大きな違いとしては、マルチプロトコルに対応していることもあります。ほかのAmazon FSxのファイルシステムでは、Windows系だったりLinux系だったり、「どのプロトコルで使うか」を意識して使う必要がありましたが、Amazon FSx for NetApp ONTAPは1つのファイルシステムでマルチプロトコルに対応。いろいろな用途に1ヶ所で対応できるようにストレージ領域を集約することで、効率的に利用できて、コストメリットも出やすい、ということのようです。
Amazon FSx for NetApp ONTAPはどんな用途に適しているか?
では、具体的にどんな用途で使うといいのでしょうか?
- ユースケース1:ディスククォータ
まず挙がるのが、「ディスククォータ機能を使いたい」というケースです。ディスククォータは、利用者ごとに使える容量の上限を設定する機能ですね。Amazon FSx for Windowsでもディスククォータ機能は提供されていたのですが、細かな制御は難しかったのだそう。Amazon FSx for NetApp ONTAPであれば、いろいろと細かく設定することが可能に。たとえば「部署ごとにボリューム単位で予算化してから渡したい」「学校で、学年やクラスごとにそれぞれ容量を制限して使わせたい」といったことも実現可能に。オンプレミスのファイルサーバと同じようにディスククォータを設定して使いたい、というケースに有効です。
- ユースケース2:高スループットストレージ
もうひとつは、先ほども挙げた「コストパフォーマンス」を活かすケースですね。つまり、「高いスループットのストレージを使いたい」場合です。
大きな画像や動画などのデータを扱うので、高いスループットが必要、という場合はもちろんですが、最近はファイルサーバをAWS上に置くときにも「できるだけオンプレミスと変わらずに使えるようにしたい」という企業が増えているのだとか。クラウドにある以上、社内のファイルサーバと比べたらどうしたってタイムラグが出てしまうものですが、それをなるべくなくす……には、スループットを高めて……となるので、そこでもAmazon FSx for NetApp ONTAPは有力な選択肢と言えそうです。
ストレージ選び・構築などのお悩みご相談ください!
NetAppというとオンプレミスのストレージベンダーで、クラウド展開と言っても、やっぱり「オンプレミスでNetAppストレージ使っている人がメインターゲットなのでは?」と思っていました。もちろんそのあたりは主要ターゲットのひとつだと思いますし、オンプレミスのNetApp環境と、AWS上のAmazon FSx for NetApp ONTAPを連携させて、データを自由に行き来させることができるのも大きな特長です。ただ、用途としては決してそれだけではなく、ディスククォータだったり、階層化だったり、パフォーマンスだったり、やっぱりストレージに特化してきた強み、というのは大きいのだろうなと感じます。
とはいえ、いくつもあるストレージサービスから、自社にあったものを選んで、必要な環境を構築する、っていうハードルの高さは相変わらずです。こういうケース・要件でファイルストレージ環境構築したいんだけど、Amazon FSx for NetApp ONTAPがベストなの?ほかのサービスと比べてどっちにすればいいの?なんていうご相談、ソニービズネットワークスで受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。以上、シイノキでした!
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