AI 元SEママの情シスなりきりAWS奮闘記

Amazon DataZoneリリース、Amazon QuickSight Qの進化……AWS re:Invent 2022で注目したモノ

2023年1月31掲載

こんにちは。シイノキです。最近の出来事ってなにかなーと振り返って、なにもでてこない自分にあきれ返る、そんな新年です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年、実に3年ぶりにAWS re:Invent 2022が現地で開催されました。ラスベガスっ!すっかりコロナ前に戻りつつあるイベントと、いまだ小学校の学級閉鎖にビクビクしている日常のギャップにやられそうですが、オフラインでのイベントはやっぱりいいですよね。
そして、今回もソニービズネットワークスからエンジニアの方々が参戦してきたとのこと!そこで、現地での盛り上がりを見てきた皆さまが注目するサービスについてインタビュー。まずは前編として、平山さん、久保さんのお二人のお話をお届けします。

データ活用を進める要となるデータカタログサービス「Amazon DataZone」

まずはこのコラムでも何度もお世話になってきた平山さんから。コロナ前からre:Inventに何度も参加してきた平山さんですが、今回大きな変化を感じたことのひとつは「物価の高さ」。比較的安いお店でちょっとした食事をするだけでも1万円近くかかったとか。恐ろしい……。

気を取り直して、AWS re:Invent 2022の感想としては、「サーバレスやAI活用をユーザに浸透させるために、AWSが本気を出してきた、という印象です。詳しいことが分からなくても使えるように、AWSサービスの抽象度を高めていて、これらを使うことで利用者がだれでも“超加速度的に”新しいサービスを生み出せるようになるんじゃないでしょうか(平山)」とのこと。なかでも、大きく注目しているAWSサービスが2つあるそう。

まず1つ目は「Amazon DataZone」。これはAmazon S3やAmazon RedShiftなどに散在する組織内のデータを管理・カタログ化するためのデータカタログサービスで、AWSサービスだけでなく、BIサービスの「Tableau」やクラウドデータプラットフォームの「Snowflake」など外部サービスとも連携できます。

「データカタログはグローバルでかなり活用が進んでいることもあり、発表時に会場がかなり盛り上がったサービスのひとつです。今回のAWS re:Inventでは、ゼロETLなどデータ活用を強化する方針を打ち出しているので、Amazon DataZoneもその一環なのではと感じました(平山)」

データカタログはまだ馴染みの薄い仕組みではありますが、複数のシステムからデータを集めてBIで可視化したり、AIで分析したり、といったことは当たり前になりつつあります。……と同時に、「いろんなデータを使って分析したい」と「データの利用をちゃんと制御したい」をどうやって両立するか、というガバナンスの問題が出てくるわけです。Amazon DataZoneを使えば、データの持ち主がデータの置き場所や使い方などとあわせて、「だれがデータにアクセスしていいか」を登録し、データを利用したい人は、Amazon DataZoneから使いたいデータを選んで、すぐに使えるようになると。利便性とガバナンスを両立するよ、ということですね。

「ソニービズネットワークスでもこれからAIを注力分野としてさまざまなサービスを展開する予定です。AI活用においてデータの前処理はなかなか厄介で、課題のひとつですが、ここをAmazon DataZoneも組み合わせてテンプレート化したりすることで、より手軽な導入につなげられるかもしれないと考えています(平山)」

「Amazon」のサプライチェーンナレッジをサービス化「AWS Supply Chain」

平山さんが注目したもうひとつのサービスが「AWS Supply Chain」。こちらは機械学習を搭載したサプライチェーンの可視化・分析サービスですが、ECサイト「Amazon」でこれまで培ってきたサプライチェーンの経験に基づいた学習モデルが提供されています。「Amazon」のナレッジを提供しているものと言えば、リコメンド機能を実現する「Amazon Personalize」が挙げられますが、それのサプライチェーン版ですね。在庫数量などをリアルタイムに可視化・予測できるサービスになっています。

「AWS Supply Chainは製造業向けのサービスですが、国内でも約3割が製造業で、ソニービズネットワークスのお客さまも中小の製造業は多くいらっしゃいます。こういったサービスをうまく使えば、アナログでやっていた管理をAIに置き換えられるのではと期待しています(平山)」

在庫管理や予測、やりたくてもきっちりやろうとするとハードルは高そうだし、結局アナログで管理して、ベテランの経験&勘でやるのが一番ラクなのよね……という企業はなかなかに多そうです。とはいえ、Amazonみたいな大規模なところのロジックがそのまま使えるかどうかは気になるところ。「もちろん日本でそのまま展開できるとは限らないですが、ソニーで提供しているAIとも連携することで、コストを抑えてパッケージ化できるかもしれませんし、いろいろな可能性を秘めているサービスですよね(平山)」

AWSのBIサービス「Amazon QuickSight」が大きく進化!

続いて、お話を聞いたのが久保さん。AWS導入運用支援サービス「マネージドクラウド with AWS」のサービス企画を担当している方です。膨大な発表があるAWS re:Inventでは、皆さんでジャンルごとに手分けして回ってきたとのことで、久保さんが担当したのが「Analytics」分析に関するサービスです。「ここでもかなりたくさんの発表がありまして、既存サービスに対する機能追加も多かったように思います(久保)」

なかでも久保さん一番の推しは「Amazon QuickSight」のアップデート。Amazon QuickSightは、AWSが提供するBIサービスで、簡単にダッシュボードなどを作れるサービスです。Amazon S3やAmazon RDSなどAWS上のデータを持ってくるのはもちろん、Salesforceなど外部のデータを持ってくることもできます。

そんなAmazon QuickSightに今回20近くの機能が追加されたとか。「たとえば、これまではデータに対して『これはAmazon EC2の料金です』のように意味付けする作業が必要でしたが、これをAWSが保持する機械学習で自動設定してくれるようになりました。データプレパレーションと言われる工程ですが、実は結構大変な作業なので、これでかなり便利になると思います(久保)」データ可視化についても強化されており、「今どういう料金になっているのか」を投げかけるとグラフで可視化してくれたり、前年比の料金比較とかも出してくれるのだとか。なにそれ便利すぎる。

なかでもイチオシなのが、進化した「Amazon QuickSight Q」。Amazon QuickSight Qは、Amazon QuickSightに対して自然言語で問い合わせできる機能ですが、今回、機械学習による予測分析に対応することが発表されました。「利用料金などでも、過去の傾向を分析して予測できるようになります。また“Why question with Q”という機能もあり、『Why(なぜ)』という問いにも回答を出してくれるようになりました。たとえば、『なぜ料金が上がっているの?』という質問に対して、リザーブドインスタンスの有効期限が切れたから、EC2インスタンスの利用が前月比で●%増えたから、のようにその原因を探して返してくれる、ということです(久保)」なにそれ便利すぎる(2度目)。原因を追いかけるのって結構な手間がかかるもの。それを機械学習で調べて答えてくれるとか、嬉しすぎやしませんか。

やっぱりAWSはすごかった……最新技術を“意識せずに”使える未来は近いかも

久しぶりの現地開催となったAWS re:Inventですが、これまでと同じように、大量の発表がありました。正直個人的にはまったくサッパリついていけていなかったわけでありますが、今回皆さんのお話を聞いて、やっぱりすごいんだなと改めて感じた次第です。AIにしてもBIにしても、中小企業など、ITにそこまでお金も人もかけられないところにとっては、どうにも縁遠い存在になりがちですが、これらを“普通に”使えるようにするんだよ!という意気込みすら見られるような気がします。

デジタルデバイドという言葉は結構昔から聞かれますが、ITやらシステムやらに、はじっこながら関わる身としては、「分かってない人でも使えるように、IT側が歩み寄ることでデバイドを解消する」のが理想像かなと思っていました。AWSはもしかしたら、とっても大きなレベルでそれを実現しようとしているのかもしれません。

AWS re:Invent 2022レポート、次回も続きます!以上、シイノキでした。

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