OSライセンスは?料金は?Amazon WorkSpacesの特長をおさらい
先日のコラムでも紹介したとおり、Amazon WorkSpacesはマネージド型の仮想デスクトップサービスです。オンプレミスのように大規模な環境を用意する必要がなく、事前のサイジングも不要。すぐに使いはじめることができて、運用の負担も少なくて済みます。
Windows OSのライセンスはBYOLで持ち込むことも可能ですが、最低200台(!)からという制限が……。なので、多くの場合ではバンドルされているWindows 10を使うことになりそうです。OSだけではなく、Microsoft OfficeやTrend Microのウイルス対策製品がバンドルされているものも用意されておりまして、必要ならこれらも簡単に使えます!
ちなみにVDI環境を利用する側のデバイスはWindowsに加えてMacOSやiPad/Androidのタブレットなどにも対応。「自宅にはMacしかないや」っていう場合でもWindowsの仮想デスクトップにアクセスできます。
気になる料金ですが、決まった金額で1ヶ月使い放題の「月額料金」と、利用時間に応じて課金される「時間料金」の2プラン。使い方にあわせてプランを選ぶことで、コストをおさえることが可能です。
利用状況にあわせた Amazon WorkSpaces 料金例
- 勤務時間中は常にVDI環境を使うことが前提で、月80時間以上利用する場合
月額料金で、1ユーザ$43/月 - VDI環境は非常時に使う程度で、月20時間ほど利用する場合
時間料金で、1ユーザ$16~30/月- ※東京リージョン、スタンダード(2vCPU、4GiBメモリ、ルートボリューム:80GB、ユーザボリューム50GB)の場合。
2020年4月2日現在
- ※東京リージョン、スタンダード(2vCPU、4GiBメモリ、ルートボリューム:80GB、ユーザボリューム50GB)の場合。
Amazon WorkSpaces環境を構築したら本当に簡単……だった?
Amazon WorkSpacesは1台から、すぐに使えることがメリットです。何度も書いていますし、そう紹介されている記事もいろいろなところで見かけます。でも、本当は設定とか面倒なんじゃないの?というのが初心者としては大いに不安。簡単って言うのは、私がちゃんと使えてからにしてくれる?
とはいえ、やってみないとはじまらないので、Amazon WorkSpaces環境、実際に作ってみました。 まずはAWSのマネジメントコンソールでAmazon WorkSpacesを開きましょう。
起動……できたっぽい?ちなみにOSは、「Standard with Windows 10」という一番基本っぽいものを選択。ユーザ情報としては、ユーザ名、ユーザの姓・名、メールアドレスを入力した程度です。
ここまでやってしばらく待つと、入力したメアドにメールが届きました(メールが迷惑メールフォルダに入れられていてしばらく気づかなかったのはご愛嬌)。
ここからはデスクトップ環境に接続するための、クライアント端末側の用意です。
……といってもですね。これもまた簡単。メールに記載されているURLにアクセスして、自分の環境にあわせたアプリケーションをダウンロード&インストール。途中で登録コード(registration code)を聞かれたり(こちらもメールに書かれているものを入力すればOK)、パスワードを設定したりはありますが、さっくりと終了。無事にWindowsの仮想デスクトップ環境にアクセスできました。
拍子抜けするほど簡単です。ここまでくるのに、困ったところはなにひとつありませんでした。確かにデスクトップ環境を用意するだけなら、すぐできました。これはすごい……と言いたいところですが、この環境、当たり前ですがまっさらな状態なので、アプリケーションもなにも入ってないですし、ファイルもありません。これで仕事ができるかというと、ちょっと無理。仕事ができる環境を整えるとなると、まだ道は遠そうです。
認証、既存システムへの接続などの検討事項を4ステップにまとめてみた
では、Amazon WorkSpacesの環境を仕事で使えるように整えるには、なにをどうすればよいのでしょうか?ここでは、4つのステップにまとめて整理しました。
<STEP 1>認証設定
まず考えないといけないのは認証でしょう。Amazon WorkSpacesではActive Directory(以下、AD)を利用するため、ここでポイントとなるのは「どこのADを使うのか」です。オンプレミスですでに使っているADをそのまま使うのか、AWS環境に新しく構築するのか、AWS環境のADをオンプレミスと連携させるのかなど、自社の事情にあわせて検討しましょう。
<STEP 2>社内ネットワークとAWSの接続
次は、ファイルサーバや社内システムへのアクセス方法です。ファイルサーバも社内システムもAWSに移行済みであれば、つなぐのはシンプルにいけそうですが、オンプレミスに残っている場合はAWS⇔オンプレミス間をどうつなぐか、考える必要があります。ここはセキュリティや安定性を考えても、AWSの専用線接続サービス「AWS Direct Connect」を使うのが理想ですが、今日からすぐ使える!というワケにはいかないのが悩ましい……。AWSに移行できるシステムはあるのか、AWS Direct Connectを使うならどうやって構築するか、並行して考えておきたいところです。ちなみにソニービズネットワークスではAWS Direct Connectをリーズナブルに使えるプランを用意しております!
<STEP 3>アプリケーションの展開
認証、ネットワークに続いて、各仮想デスクトップにアプリケーションを展開する方法も考えないといけません。業務で利用するアプリケーションは管理者がインスト―ルするのか、ユーザにインストールさせるのか、それともアプリケーション配信の仕組みを使うのか……。さらにこれらのアプリケーションやOSのアップデートへの対応方法や、デスクトップ環境のイメージ作成・管理方法なども事前に検討しておけると安心です。
<STEP 4>運用
STEP 3まででざっくりとテレワークをスタートできる環境が整ったとして、それで終わりではありません。この環境をどうやって運用していくかも事前に検討しておきたいポイント。VDI環境の監視や、ユーザ追加・削除、リソース変更にどう対応するかなど、最初に基準を決めておいた方がよさそうな予感がします。
「簡単」と言うには結構考えることが多いような気がしますが、たとえばSTEP 1~3に関しては、新しくオフィスや工場などを開設する際に事前に検討・準備することと(大きな項目として考えれば)同じと言えそうな気がしますし、ユーザの追加や削除といった運用は現状の運用ルールの延長線で考えられそうです。
つまり、場所がオフィスからクラウド(AWS)に、端末が物理PCからVDIに変わった、だけ!いささか前向き感が強すぎる気はしなくもないですが、物理PCをたくさん購入して手配するよりも、VDI環境で集中管理した方が楽、というのは、オンプレVDI時代から散々言われてきたメリットでもありますし、これを機にAmazon WorkSpaces導入を検討するのはかなりアリと言えるのではないでしょうか。
これからの働き方を支える基盤として考えるAmazon WorkSpaces
今回のコラムでAmazon WorkSpacesについて学ぶなかで、「簡単に使える仮想デスクトップサービス」だからといって、さすがに「急にテレワークだから明日から使おう!」というワケにはいかなそうだということが分かってきました。
とはいえ、先日のコラム『テレワークシリーズその1 「急遽テレワーク導入」にどう対応するか?まず検討したい3つの方法のメリット・デメリットを比較する』でほかのテレワークソリューションと比較した感触からしても、セキュリティ性や運用性を考えたら、Amazon WorkSpacesが本命であることは間違いなさそうです。
今すぐに検討して導入!というのは難しくても、少し落ち着いたらきちんと検討し、いつでも使える環境として用意しておくところまで終わらせておくのがよいのではないでしょうか。今回ほどのパンデミックはもう起きないことを祈るばかりですが、そうでなくても大雪や台風などの自然災害は毎年のようにニュースになっています。
そんなときにはテレワーク環境が活躍するはず!Amazon WorkSpacesならイメージまで作って保存し、待機している状態ならばコストはほぼゼロで、いざというときに保存したイメージから必要な台数を起動させればOKです。こういったBCP対策としてはもちろん、今後はもっと働き方が多様化していくでしょうし、そのための基盤としてもAmazon WorkSpacesを検討する価値は大きいように思います。
また、今回のコラムで簡単に紹介したAmazon WorkSpaces導入時の検討事項について、より詳細に解説したホワイトペーパー もご用意しました。企業でAmazon WorkSpacesを導入する際に検討すべきポイントを「利用部署・業務を検討」「セキュリティ対策」「構成・運用方法」の3ステップにまとめて紹介しています。実際、自社で導入するとしたらどうなるのか?を整理する際などにぜひご活用ください。
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