そもそもクラウドポータルとは、ソニーネットワークコミュニケーションズが展開するAWS導入支援サービス「マネージドクラウド with AWS」で標準提供される運用管理ツールのこと。「AWSの運用をもっと簡単に、もっと便利に」をコンセプトに独自開発し、運用に必要な機能がまとめられています。たとえば、こんな感じ。
ひとつの画面で、EC2インスタンスの稼働状況がパッと見れます。ディスク使用率がひっ迫しているなど、「ここがマズイ」ポイントが一目で分かるスグレモノです。
もちろんAWSの管理コンソールでもこれらの情報は見ることができますし、運用管理関連のサービスなどを組み合わせれば自社にあわせた柔軟な管理ができる……ワケですが、運用を自動化する場合などはスクリプトを作成しなければならず、いささかハードルが高いところでもあります。
クラウドポータルなら、管理画面で日にちや時間をポチポチっと指定するだけで、スナップショット取得や起動停止なども自動化できます。AWSの膨大なサービスや機能から運用管理で「よく使うもの」「あると便利なもの」を簡単に使えるようにしていることが大きな強み。
そのほか詳細はぜひ運用支援ツール“クラウドポータル”をご覧ください。
そしてクラウドポータルもお客さまのニーズにあわせて3ヵ月に1度バージョンアップし、進化を続けています。そこで今回は昨年おこなったバージョンアップから注目の機能について、企画・開発を担当しているエンジニアの平山さんにお話を伺いました!
OSをリモートから管理できる「EC2リモート管理」に注目
――― 昨年は「モバイル閉域アクセス」や「SIOS Coati連携」などのリリースもあり、これらの関連機能も含めてかなりの数の機能追加がありましたが、その中で「これはおすすめ!ぜひ使って欲しい!」という機能を教えてください。
平山 昨年は、6月、9月、12月と3回のバージョンアップで計75の機能を追加しました。中には、メニュー表示の変更や既存機能の改善など細かいものも含まれますが、クラウドポータルでできることがかなり増えて、お客さまのAWS運用をよりラクにできたんじゃないか、と思っています。たとえば、稼働中のEC2インスタンスと紐づいていないスナップショットをまとめて検索して一括削除する機能や、「Route53」のDNS管理機能などは結構便利だと思います。
中でも特に力を入れたのが「EC2リモート管理」ですね。EC2インスタンス上で稼働しているWindowsのパワーシェルやLinuxのシェルコマンドをリモートから実行できる機能なんですが、日々の運用が相当ラクになるはずです。
面倒なOSアップデートがここまで簡単に!
――― WindowsやLinuxのコマンドをリモートで実行……というのが、具体的にどう便利なのか、イメージできないのですが、たとえばどういうときに使う機能なんですか?
平山 オンプレでもAWSでも同じですが、サーバも定期的にアップデートしないといけないですよね。1台2台ならいいですけど、台数が増えてくるとアップデートだけでかなりの手間がかかります。AWS環境であっても、サーバにログインして、アップデートを実施するという作業を台数分繰り返すとなるとかなり面倒です。しかも、トラブルが起きた時に元の環境に戻すために、できればスナップショットもとっておきたい。たとえばWindowsならタスクマネージャから設定すれば、アップデート自体は自動化できますが、スナップショットまでは取れません。
「EC2リモート管理機能」を使えば、スナップショット取得からWindows Updateまでをセットにして、「毎月1日に実行する」など簡単にスケジュール設定できるんです。
――― つまり放っておいても大丈夫ってことに…?
平山 ちゃんとアップデートできたかの確認はもちろん必要ですが、1台ずつ作業する必要はなくなります。
――― なるほど!これは確かに相当嬉しい機能になりそうです。でも、サーバのWindows Updateって、事前に検証が必要なこともあるでしょうし、気軽に適用できないイメージがあるんですけど……。
平山 それについては、Windows Updateの更新リストを管理者にメールで送って、どれを更新するかを選んだうえで、アップデートを予約することもできます。Linuxのyum updateも同様ですね。
――― おおー!それはかなり便利になりそうですね。
AWS運用のハードルを下げるクラウドポータル
――― ちなみにAWSだとここまで管理できる機能はない、ということなのでしょうか?
平山 EC2の管理機能だけで見ると、OSの管理まではできません。Windowsのバージョンとかも、基本的には分からないんですね。ですが、それとは別に「AWS System Manager」というサービスを用意していて、このサービスのエージェント(SSMエージェント)をインストールするとOSの管理までできるようになります。実際にクラウドポータルの「EC2リモート管理機能」でもSSMエージェントを使っています。
――― もしかしてAWSだけでも同じことができちゃう……?
平山 できないことはないですが、AWS System Managerは結構複雑な構成をしていて、これを使って何台ものサーバを管理するのはかなり大変だと思います。自分ももし「AWS System Manager」で全部管理しろと言われたら、正直キツイですね。これはもっと簡単にできるようにしないと、と思ったのが開発のきっかけです。
――― そういうことだったんですね!実はコラムを書くためにAWSの管理コンソールを使うことがあるのですが、分からないことも多くて……。「こういうことができたらいいな」という要望と、管理コンソールのギャップを埋めて、実現してくれるのがクラウドポータルなんですね。
平山 AWSは豊富なサービスを出していますし、頑張れば大体何でもできます。でも、スクリプトを自分で書かなくてはならないなど、ハードルが高いと思う人も少なくありません。だからそのハードルを解消して、もっと簡単に運用できるようになればいいと思って、クラウドポータルを開発してきました。EC2リモート管理はさらに一歩踏み込んで、OSの管理までラクにできるようにしたんです。
- AWS運用管理・自動化ツール「クラウドポータル」
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「はじめてでも運用できる」 「もっと使いこなせる」 独自開発ツール
- マネージドクラウド with AWS
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はじめてのAWSから 一歩進んだ活用までトータルサポート
まとめ
「AWS環境の運用管理をより簡単に」がコンセプトのクラウドポータルですが、「EC2リモート管理」ではAWS環境だけでなく、OSの管理まで効率化できるようになりました。つまり、サーバメンテナンスの作業負荷まで、AWS移行と一緒に解消できてしまう!ということ。AWS移行でハードウェアの運用から解放される、と言われてきましたが、さらに踏み込んだ形です。これがWebの管理画面から、本当に簡単に設定できてしまうのだから、そのメリットは大きいでしょう。
実はEC2リモート管理のほかに、「AWSのコンソールではできないこと」を実現した注目機能もあるのだとか。
次回はそちらを紹介します。乞うご期待!
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