輻輳とは?
ネットワークにおける輻輳とは、通信回線やネットワーク機器の処理能力を超える利用が集中した結果、データの流れが滞る状態を指します。一般的な道路の渋滞と同様のメカニズムで発生し、企業ネットワークにおいては業務効率の低下やサービス品質の劣化につながる深刻な問題です。
そして、そのような問題を引き起こす輻輳は、ネットワークの「容量」を超えるデータが流れ込んだときに発生します。企業ネットワークでは、ルーターやスイッチなどの機器が処理できる量以上のパケットが送信されると、処理待ちのパケットがバッファに蓄積されていきます。
バッファが満杯になると、新たに到着したパケットは破棄され、パケットロスが発生します。送信側はパケットロスを検知して再送を試みますが、これがさらにネットワークの負荷を増大させ、輻輳状態を悪化させる「輻輳崩壊」という悪循環に陥る場合があります。
輻輳が発生すると、通信の遅延(レイテンシの増加)、パケットロスの増加、スループットの低下など、ネットワークパフォーマンス全体が著しく劣化します。これにより、業務アプリケーションの応答速度低下やオンライン会議の音声・映像品質劣化などの問題が顕在化します。
輻輳が引き起こす影響
ネットワーク輻輳は、単なる通信の遅延にとどまらず、企業活動全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。技術的な影響からビジネスへの影響まで、その範囲は広範に及びます。
ネットワークパフォーマンスへの影響
輻輳状態のネットワークでは、まず通信の遅延(レイテンシ)が増大します。通常なら数ミリ秒で完了する応答が数百ミリ秒、場合によっては数秒かかるようになると、ユーザー体験は大きく損なわれます。
さらに深刻なのはパケットロスの発生です。輻輳によりネットワーク機器のバッファが溢れると、データパケットが破棄されます。TCP通信ではパケットロスを検知すると自動的に再送を行いますが、これによって余計にネットワーク負荷が増大し、状況を悪化させる「輻輳崩壊」と呼ばれる現象が発生することがあります。輻輳崩壊に陥ると、ネットワーク帯域の大部分が再送パケットで占められ、新しい通信がほとんど行えなくなる深刻な状態になります。
輻輳の技術的影響は以下のようにまとめられます。
- レイテンシ(遅延)の増加
- パケットロス率の上昇
- 実効スループットの低下
- ジッター(遅延のバラつき)の発生
- タイムアウトによる接続切断
特にリアルタイム通信(VoIPやWeb会議など)では、これらの影響が即座に品質低下として現れます。音声の途切れや映像のフリーズといった症状は、輻輳が原因で生じる代表的な現象です。
ビジネスへの影響
技術的な問題は、最終的にビジネスパフォーマンスの低下という形で企業活動に影響します。輻輳がビジネスにもたらす具体的な影響には以下のようなものがあります。
- 業務アプリケーションの応答速度低下による生産性の低下
- 顧客向けサービスの品質劣化によるユーザー満足度の低下
- Web会議の品質低下によるコミュニケーション効率の悪化
- データ転送の遅延による業務プロセスの停滞
- セッションタイムアウトによる作業のやり直しとそれに伴う時間的損失
例えば、経理部門が月末に財務システムへアクセスする際に輻輳が発生すると、決算処理が遅延するリスクがあります。また、テレワーク中の従業員が頻繁に通信品質の問題に直面すると、テレワーク全体の効果と生産性が低下します。
輻輳問題を放置すると、長期的には従業員のストレス増加や顧客満足度の低下、最悪の場合は機会損失にもつながる可能性があります。そのため、情報システム部門は輻輳の兆候を早期に検知し、迅速に対応することが求められます。
また、ネットワークの安定性は、情報セキュリティにおける「可用性」の観点からも非常に重要です。意図的な攻撃(DoS/DDoS攻撃)によって輻輳が引き起こされる可能性も念頭に置く必要があります。
輻輳の発生原因
ネットワーク輻輳は単一の要因ではなく、複数の要素が組み合わさって発生することが一般的です。ここでは輻輳が発生する主な要因を見ていきます。
輻輳の原因 | 特徴 | 典型的な発生場所 | 発生兆候 |
---|---|---|---|
帯域の不足 | ネットワーク回線の容量を超えるトラフィックが発生 | インターネット接続回線、WAN回線、コアスイッチ間リンク | 特定回線の使用率が継続的に80%以上 |
過剰なユーザー数とアクセス集中 | 特定時間帯や特定リソースへの一時的なアクセス集中 | VPNゲートウェイ、ファイル共有サーバー、Webサーバー | 特定時間帯の急激なトラフィック増加 |
ネットワーク機器の処理能力限界 | CPUやメモリなどのリソース枯渇による処理遅延 | ルーター、ファイアウォール、ロードバランサー | 機器のCPU使用率高騰、バッファ溢れ警告 |
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帯域の不足
輻輳の主な原因として「帯域の不足」があります。企業の成長やアプリケーションの高度化に伴い、ネットワークに流れるデータ量は年々増加しています。特にクラウドサービスの利用拡大やビデオ会議の普及により、必要な帯域は以前より大幅に増大しています。
例えば、従来は10Mbpsの回線で十分だった中小企業でも、クラウドバックアップやWeb会議の利用が増えれば100Mbps以上の帯域が必要になることも少なくありません。適切な容量計画なしにネットワークを運用し続けると、帯域不足による輻輳が慢性的に発生するリスクがあります。
また、帯域の問題は社内LAN内だけでなく、インターネット接続回線やWAN回線においても発生します。特にテレワークの普及により、VPN接続のためのインターネット回線帯域が不足するケースが増えています。
過剰なユーザー数とアクセス集中
ネットワークがサポートできるユーザー数を超えた場合、または特定の時間帯に多数のユーザーがアクセスを集中させると輻輳が発生します。これは特に次のようなケースで顕著です。
- 始業時間帯における一斉ログイン
- 大人数が参加するWeb会議やWebセミナーの開催時
- 給与日前後の人事システムへのアクセス集中
- 大規模なソフトウェアアップデートの配信時
- ファイル共有サーバーでの大容量ファイル操作時
平均的なトラフィック量は少なくても、非常に短い時間に大量のデータが流れる「トラフィックバースト」も輻輳の原因となります。これは通常の監視では見逃されがちですが、ネットワーク機器のバッファを瞬間的に溢れさせ、パケットロスを引き起こす可能性があります。また、ボトルネックとなりやすい箇所として、VPNゲートウェイやサーバーだけでなく、ファイアウォール(特に多くのセキュリティ機能を有効にしている場合)、コアスイッチ、無線LANアクセスポイントなども挙げられます。
例えば、100人規模の企業で9時に全社員が一斉にVPN接続を行った場合、通常時の3〜5倍のトラフィックが発生することがあります。このような「トラフィックバースト」に対応できる容量がないと、輻輳が発生します。
さらに、クラウドサービスの普及により社外のサーバーへのアクセスが増加している点も考慮すべきです。オンプレミス環境とクラウド環境を結ぶインターネット回線がボトルネックとなり、輻輳の原因になることがあります。
ネットワーク機器・サーバーの処理能力不足
ネットワーク輻輳は回線帯域だけでなく、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器の処理能力不足によっても発生します。特に次のような機器がボトルネックになることがあります。
- ルーター(特にVPNゲートウェイ機能搭載機)
- ファイアウォール/UTM
- ロードバランサー
- リモートアクセスサーバー(RAS)
- プロキシサーバー
- コアスイッチ
ネットワーク機器の性能は、通信速度(bps)だけでなく、1秒間に処理できるパケット数(PPS: Packets Per Second)も重要です。特にサイズの小さいパケット(音声通話データなど)が大量に流れると、通信速度の上限に達する前にPPSの限界に達し、機器のCPU負荷が急上昇して処理遅延やパケットロスが発生することがあります。また、ファイアウォールやUTMでは、セキュリティ機能(不正侵入検知、アンチウイルスなど)を有効にすることで、処理能力が大幅に低下する場合があるため注意が必要です。
例えば、ファイアウォールは外部から社内ネットワークへのアクセスを検査するため、スループットの制限要因になりやすいコンポーネントです。仕様上のスループットが1Gbpsのファイアウォールに、高負荷時に800Mbps以上のトラフィックが流れると、パケット検査の処理が追いつかず輻輳が発生します。
また、テレワーク環境では特にVPNゲートウェイやリモートアクセスサーバーの処理能力が重要です。暗号化・復号化処理は高いCPU負荷を伴うため、同時接続ユーザー数が設計値を超えると、これらの機器が輻輳の原因となります。適切な容量計画と定期的な性能評価が不可欠です。
輻輳の検知方法
ネットワーク輻輳の問題に効果的に対処するためには、まず輻輳の発生を正確に検知する必要があります。早期発見により対策を講じることで、ビジネスへの影響を最小限に抑えることが可能です。
輻輳の兆候と症状
輻輳は突然発生するわけではなく、通常は予兆となる症状が現れます。情報システム部門の担当者が注目すべき主な兆候には以下のようなものがあります。
- ネットワークアプリケーションの応答速度低下
- Web会議での音声途切れや映像フリーズの増加
- ファイル転送時間の増大
- 断続的なネットワーク接続の切断
- 特定時間帯における慢性的な遅延
- 従業員からの不満や問い合わせ
特に重要なのは「従業員からの不満や問い合わせ」です。「インターネットが遅い」「システムの反応が悪い」といったヘルプデスクへの報告が増加した場合、輻輳の可能性を早急に調査すべきです。単発的な問題と慢性的な輻輳を区別するためには、発生パターンの分析が重要になります。調査の際は、「いつから」「どのアプリケーションで」「どのくらいの遅延か」といった具体的な情報を従業員からヒアリングし、定量的に把握することが、原因究明の第一歩となります。
輻輳の初期段階では、レイテンシ(遅延時間)の増加が最初に観測されることが多いため、ping応答時間やアプリケーションの応答時間を定期的にモニタリングすることが有効です。レイテンシが通常より一定以上(例:20〜30%)増加した場合、輻輳が始まっている可能性があります。ただし、バッファブロートが発生している場合、pingの応答時間だけでは問題を特定しにくいため、ジッター(遅延のばらつき)やパケットロス、スループット、キューイング遅延などの指標もあわせて確認することが重要です。
モニタリングツールと手法
効果的な輻輳検知には、適切なモニタリングツールと手法の活用が不可欠です。企業規模やネットワーク環境に応じて、以下のようなアプローチが考えられます。
モニタリング手法 | 代表的ツール/手法 | 検知できる輻輳の兆候 |
---|---|---|
ネットワークトラフィック分析 | SNMP、NetFlow、sFlowなどを用いた帯域使用率監視 | 回線使用率の急増、パケットロスの発生 |
パフォーマンス監視 | Zabbix、OpManager、AX-Network-Visualizationなどを用いたレイテンシ、パケットロス率、ジッターの継続的計測 | 通信品質の劣化、応答時間の増加 |
機器リソース監視 | Zabbix、Nagios、Cactiなどを用いたネットワーク機器のCPU/メモリ使用率監視 | 機器の処理能力限界への接近 |
アプリケーションパフォーマンス監視 | Zabbix、JENNIFER、Azure Monitor Application Insightsなどを用いたエンドユーザー体験に基づく応答時間測定 | ユーザー体感品質の低下 |
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小規模企業では、無料のモニタリングツール(Zabbixなど)を使用した基本的な監視から始めることができます。より大規模な環境や重要なシステムになると、商用のネットワークパフォーマンス監視ツールの導入が必要になるでしょう。
輻輳検知のためには、閾値ベースのアラートを設定することも重要です。例えば、回線使用率が80%を超えた場合や、平均レイテンシが基準値の1.5倍を超えた場合にアラートを発する設定などが有効です。また、平常時のベースラインを確立し、そこからの乖離を検出する「異常検知」アプローチも効果的です。
その他重要な監視項目として、ネットワーク機器の「キュー(待ち行列)の長さ」や「パケット破棄数」があります。これらはバッファの状態を直接示す指標であり、輻輳の有力な証拠となります。また、NetFlowやsFlowといったフローデータを収集・分析することで、「どのユーザーが」「どのアプリケーションで」「どれくらいの帯域を使っているか」を詳細に把握でき、輻輳の原因特定に非常に役立ちます。
特にテレワーク環境では、VPNゲートウェイやリモートアクセスサーバーのリソース使用率を重点的に監視することで、輻輳の予兆を早期に捉えることができます。
輻輳を解消するための対策
ネットワーク輻輳を検知した後は、適切な対策を講じて解消する必要があります。企業のネットワーク環境や予算に応じて、短期的な応急措置から長期的な根本解決まで、様々なアプローチが考えられます。
ネットワーク容量の増強
輻輳の最も直接的な解決策は、単純にネットワーク容量を増強することです。具体的には以下のような対策が考えられます。
- インターネット接続回線の帯域増強(例:100Mbpsから1Gbpsへのアップグレード)
- 社内LANの高速化(1Gbpsから10Gbpsへの更新)
- WAN回線の増強(拠点間の接続帯域拡大)
- 高性能なネットワーク機器への更新(ルーター、スイッチなど)
- VPNゲートウェイやファイアウォールの処理能力増強
回線帯域の増強は「下り最大10Gbps」や「上下最大1Gbps」などの高速回線サービスへの切り替えにより比較的容易に実現できます。例えば、「NUROアクセス 10G/2G」などの光回線サービスは、従来の100Mbps回線と比較して大幅な帯域増強が可能です。※
- ※「10Gbps」「2Gbps」という通信速度はNURO Bizネットワークからお客様ご利用場所に設置する回線終端装置へ提供する技術規格上の下りの最大速度です。お客様が使用する個々の端末機器までの通信速度を示すものではありません。インターネットご利用時の実効速度は、お客様のご利用環境(端末機器の仕様等)や回線の混雑状況などにより、低下する場合があります。
容量増強のタイミングとしては、現在の最大使用率が継続的に一定レベル(例:70%)を超えている段階で検討を始めることが推奨されます。これにより、将来的な成長にも余裕をもって対応できます。
ただし、容量増強にはコストが伴うため、費用対効果を十分に検討する必要があります。短期的なトラフィックスパイクに対応するためだけに高額な投資を行うべきではなく、長期的なトラフィック予測に基づいた計画的な増強が望ましいでしょう。また、単にインターネット回線を増速しても、社内のファイアウォールやコアスイッチが新たなボトルネックになる可能性もあります。ネットワーク全体の経路を考慮し、ボトルネック箇所を特定した上で増強計画を立てることが重要です。
トラフィック制御とQoS設定
帯域の増強が難しい場合や、コスト効率を重視したいという場合、既存のインフラを最適化する方法として「トラフィック制御」や「QoS(Quality of Service)」の導入が効果的です。これにより、限られた帯域の中で重要なアプリケーションを優先的に処理することができます。
- 優先度ベースのQoS:業務に重要なアプリケーション(ERPシステムやWeb会議など)に高い優先度を設定
- 帯域制御:ファイル共有や動画視聴など帯域を消費する非業務アプリケーションの利用帯域を制限
- トラフィックシェーピング:特定時間帯の大量データ転送を制御し、平準化
- アプリケーション識別:DPI(Deep Packet Inspection)技術を用いて個別アプリケーションを識別し制御
例えば、「Web会議用のトラフィックを最優先とし、大容量ファイル転送の優先度を低くする」というQoSポリシーを適用することで、限られた帯域でも重要なコミュニケーションの品質を確保できます。
QoS設定はルーターやスイッチなどのネットワーク機器側だけでなく、VPNゲートウェイやリモートアクセスサーバーにも適用することで、テレワーク環境でも効果を発揮します。
多くのエンタープライズルーターやUTM(統合脅威管理)機器には、トラフィック制御機能が標準で搭載されています。既存機器の設定を見直すだけでも、輻輳の軽減に効果が期待できます。
負荷分散とCDNの活用
特定のネットワークパスやサーバーに負荷が集中することで輻輳が発生する場合、負荷分散技術の活用が効果的です。具体的には以下のような対策が考えられます。
- マルチホーミング:複数のインターネット接続回線を利用し、経路を分散
- ロードバランサーの導入:サーバーへのアクセスを複数の経路に分散
- CDN(Content Delivery Network)の利用:コンテンツを地理的に分散配置
- SDN(Software-Defined Networking)による動的経路の制御
特に社内Webサイトやイントラネットポータルなど、大量のコンテンツを配信するシステムでは、CDNの活用が輻輳緩和に効果的です。従来サーバーから直接配信していたWebコンテンツ(画像、動画など)をユーザーに近いサーバーから配信し、オリジンサーバーの負荷と遅延を軽減できます。
また、クラウドサービスへのアクセスが多い企業では、クラウドプロバイダーへの専用線接続(AWS Direct ConnectやAzure ExpressRouteなど)を導入することで、インターネット回線の輻輳を回避できます。これにより、一般的なインターネットトラフィックとクラウドアクセスを分離し、全体の通信品質を向上させることが可能です。
負荷分散は単一障害点(SPOF)の解消にも寄与するため、可用性向上の観点からも有効な対策です。例えば、デュアルWAN構成にすることで、1つの回線で輻輳が発生しても、もう1つの回線を利用して通信を継続できます。また、近年注目されているSD-WANは、SDNの考え方をWAN(拠点間ネットワーク)に応用したもので、複数の回線を束ねて仮想的なWANを構築し、アプリケーションごとに最適な経路を自動選択したり、回線品質に応じて動的に経路を切り替えたりする機能を提供します。これにより、WAN区間の輻輳回避と通信品質の最適化が期待できます。
ピーク時対策としてのトラフィック管理
企業ネットワークでは、特定の時間帯にトラフィックが集中することが多いため、ピーク時対策としてのトラフィック管理も重要です。以下のような施策が効果的です。
- 業務時間のずらし:始業時間を部署ごとに30分ずつずらすなど
- 大容量データ転送の時間的分散:バックアップ処理を深夜に実行するなど
- オフピーク時の利用奨励:大容量ファイルのダウンロードを昼休みに行うようユーザーに推奨
- 重要システムのメンテナンス時間帯の最適化
例えば、全社的なソフトウェアアップデートや大規模なデータ同期などは、業務時間外に計画的に実施することで、業務時間中の輻輳を回避できます。
また、ユーザー教育も重要な対策の一つです。効率的なネットワーク利用方法をユーザーに周知することで、不要なトラフィックを削減できます。
ただし、これらの運用面での対策は、業務要件やユーザーの協力に依存するため限界があります。慢性的な輻輳や予測不能なトラフィック増に対しては、技術的な対策(容量増強、QoS、負荷分散など)と組み合わせて実施することが現実的です。
ここまで紹介してきた輻輳の対策をまとめると、下記のとおりです。
対策手法 | 特徴 | コスト | 実装期間 | 効果持続性 |
---|---|---|---|---|
ネットワーク容量の増強 | 回線帯域や機器処理能力の物理的増強 | 高 | 中〜長期 | 長期的 |
トラフィック制御とQoS設定 | 既存リソースの最適化と優先制御 | 低〜中 | 短期 | 中期的 |
負荷分散とCDNの活用 | トラフィックの分散と効率的なルーティング | 中 | 中期 | 中〜長期的 |
ピーク時トラフィック管理 | 運用面での工夫によるピーク平準化 | 低 | 短期 | 短〜中期的 |
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- NUROアクセス 10G
-
高コスパの帯域確保型上下最大10Gbpsサービス
- NUROアクセス 2G
-
クラウド時代を支えるインフラのスタンダート回線
まとめ
ネットワーク輻輳は、データ通信量がネットワークの処理能力を超えたときに発生する現象であり、企業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。輻輳は帯域の不足、ユーザー数の増加、ネットワーク機器の処理能力限界など、様々な要因によって引き起こされます。
効果的な輻輳対策には、早期検知のためのモニタリング体制の構築が不可欠です。そして対策としては、ネットワーク容量の増強、トラフィック制御とQoS設定の適用、負荷分散技術の活用などが効果的です。特にテレワーク環境では、VPNアクセスに関連する輻輳問題に対して、リモートアクセスインフラの適切な設計が重要となります。
企業のIT部門は、単なる「対症療法」ではなく、トラフィックパターンの分析と将来予測に基づいた計画的なネットワーク設計を行うことで、輻輳問題を未然に防ぎ、安定したネットワーク環境を維持することができます。ネットワークの安定性はビジネスの基盤であり、セキュリティ(可用性)の観点からも極めて重要です。データに基づいたプロアクティブな管理を心がけましょう。
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