セキュリティ

VPNルーターとは?メリット・デメリットや選び方のポイントを解説

VPN対応ルーターまたはVPNルーターとは、一般的には、中小規模拠点向けのVPN接続に対応した法人向けルーターのことを指すことが多いですが、この記事では総称して「VPN対応ルーター」と呼称します。

VPN環境を構築する際、このようなVPN対応ルーターの導入を検討している担当者も多いでしょう。今回は、VPN対応ルーターとはどのような製品か、導入によって得られる効果などについて解説します。また、あわせて各種設定の方法なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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VPN対応ルーターとは?

図版:【VPN対応ルーターとは?】

VPN対応ルーターとは、多くの場合、複数の拠点ネットワーク間においてVPN接続機能を持つルーターのことを言います。企業や組織が拠点間でネットワークを構築する際、安全な接続を実現するためにVPN環境の構築を検討しますが、そのような時にVPN対応ルーターが必要になります。さらにVPN対応ルーターの設定によって、外部からでもオフィスなどの拠点のネットワークにアクセスできるようにすることも可能です。

1.VPNとは何か

VPNとは、「Virtual Private Network」を略した言葉です。日本語では「仮想私設通信網」と訳されます。最近ではインターネットを利用して構築されるインターネットVPNが普及しています。

インターネットVPN によって、本来は公開されたネットワークであるインターネットを介して、仮想的にプライベートなネットワーク環境を構築することができ、専用線などに比べより安価に安全な通信環境を実現します。

このようにVPN接続とは、仮想の専用線を構築し特定の人のみが利用できるようにした専用ネットワーク、もしくはその専用ネットワークに接続する技術のことを指します。

2.VPNの種類

VPNの主な種類として、インターネットVPN、エントリーVPN、IP-VPN、広域イーサネットの4種類があります。それぞれの主な特徴は下表の通りです。

表はスライドできます

 
VPNの種類 概要
インターネットVPN インターネット回線(公衆回線)を利用してVPNを構築する方法。
コストが低く、手軽に導入できるが、通信品質が不安定になることがある。
エントリーVPN ブロードバンド回線を活用し比較的低コストで閉域網の構築が可能。
混雑時には通信速度が低下する可能性がある。
IP-VPN 通信事業者の閉域網を使用するVPN。
外部ユーザーが排除されたクローズドネットワークのため、安定した通信が可能。
広域イーサネット 多様なプロトコルに対応しており、カスタマイズの自由度も高い為、
企業のニーズに合わせたネットワークの設計が可能。

VPNを選定する際は、各VPNの特徴を理解し、ニーズに合わせて最適なものを選ぶことが重要です。

インターネットVPNは低コストで手軽に利用できる一方で、通信の安定性が課題となる場合があります。IP-VPNは通信事業者(プロバイダ)の契約者のみが利用できる閉鎖的なネットワークを利用するため、通信品質が高く、企業の信頼性の高い通信に適しています。エントリーVPNは小規模ネットワーク向けで、低コストで利用できますが、特定の時間帯でインターネットの混雑により通信速度が低下する可能性があります。広域イーサネットはコストが高額になりがちですが、特定のビジネス要件に合わせて柔軟なネットワーク構成を実現しようとする企業にとって理想的な選択肢となります。

それぞれのVPNについて、利用に適しているシーンなどさらに詳しい情報は以下の記事で解説しています。

関連記事:VPNの主な4種類について利用に適しているケースやそれぞれの特徴を解説

上記のうち、インターネットVPNを利用する際にVPNルーターが必要になります。VPNに対応しているルーターが設置されている環境であれば、新たに設置する必要はありません。
利用しようとしているプロトコルに対応しているVPNルーターか確認しましょう。

VPN対応ルーターを導入する目的とは?

VPN対応ルーターは、コストを抑えながらセキュリティを強化したい中小企業や、リモートワークを導入している企業に最適です。

前述のように、VPNで接続するデータは常に暗号化されるため、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを低減し、機密情報の保護に役立ちます。そのため、リモートワークの従業員が自宅や外出先から安全に社内ネットワークにアクセスでき、セキュリティ上のリスクを軽減します。

初期投資のみで導入可能であり、維持費用も比較的低く抑えられるため、低予算の中小企業でも導入しやすいのが魅力です。また、設定も比較的簡単で、専門的なIT知識がなくても導入や運用がしやすいというメリットもあります。

VPN対応ルーターの導入効果

図版:【VPN対応ルーターの導入による3つの効果】

VPN対応ルーター導入の目的は、セキュリティを確保し、安全性確保によって利便性を高めることにあります。ここでは、VPN対応ルーターの導入によって得られる効果について、解説します。

1.セキュリティ対策

VPNはインターネット上に仮想の専用線を構築して利用するという特性上、プライバシーの確保とセキュリティにおける安全性の確保が可能です。無料Wi-Fiなどでは、外部から通信内容を覗かれる危険性がありますが、VPNは一定のセキュリティを確保できリスクを軽減できます。

2.ユーザーの利便性向上

リモートアクセスVPNは、外部から社内ネットワークへの安全なアクセスを可能にします。そのため、リモートワークや外出先、出張先など時間や場所を問わずアクセスできます。どこからでも安全性の高い通信が可能なので、ユーザーの利便性向上につながります。

また、デバイスで利用するソフトウェアによりますが、一度設定すれば毎回のVPNソフトウェアの設定不要で、面倒な設定をしなくても簡単にアクセスすることもできます。

3.コストパフォーマンス

インターネットを利用したリモートアクセスVPNはコストパフォーマンスに優れています。インターネット環境とVPN対応ルーターがあれば環境を構築できます。

近年ではVPNに対応したネットワーク機器や多くのセキュリティ機能を搭載したアプライアンス製品数多く存在しますが、VPN対応ルーターと呼ばれる製品群はそのなかでも比較的安価に調達がしやすいです 。

なお、アプライアンス製品とは特定の用途に特化した専用機器のことです。

VPN接続に必要な環境設定

VPN接続を利用するためには、下記の環境設定が必要です。

  1. VPN対応ルーターやソフトウェアを購入またはマネージドサービスを契約する
  2. VPNサービスの設定を行う
  3. 各デバイスにVPNクライアントソフトウェアをインストールし、設定を行う
  4. 運用開始後、定期的なセキュリティチェックと監視を行う

また、デバイスごとにVPNの接続情報(接続先、ユーザー名、パスワードなど)を入力し、正しい認証情報を使用して接続する必要があります。さらに、企業内のネットワークポリシーに従って、ファイアウォールやUTMの調整を行うことも重要です。

リモートアクセスが必要な場合は、リモートデバイスのセキュリティ対策も強化する必要があります。最新のウイルス対策ソフトウェアのインストールや、OS、アプリケーションの定期的なアップデートも欠かせません。

運用開始後も、定期的なセキュリティチェックと監視を行い、VPN接続の安全性を確保することが重要です。こまめな保守により、不正アクセスのリスクを最小限に抑え、ネットワークを安全に利用できます。

デバイスからのVPN接続の方法

PC等のデバイスからVPN対応ルーターへVPN接続するには、「プロトコル選択」→「ユーザー・パスワードなどの各種設定」→「接続するデバイスのIPアドレス入力」という手順で設定が必要です。

VPN接続設定はOSによって異なるため、Windows10・Mac双方での接続方法を解説します。

1.Windows10

Windows10でVPN接続する手順は以下のとおりです。

  1. 「スタートボタン」から、「設定」→「ネットワークとインターネット」→「VPN」→「VPN接続を追加する」の順にクリック
  2. 「VPN接続を追加する」の画面で、VPNプロバイダー・VPNの種類・パスワードなどの必要事項を入力
  3. 「保存」をクリックし、ネットワークアイコンからVPNが接続済みとなっているか確認して完了

VPNプロバイダーでは、Windows(ビルトイン)を選択します。VPNの種類は、自社やVPNサービスで使われているVPN接続の種類を入力するため、事前に確認しておくとスムーズです。

2.Mac OS

Mac OSでVPN接続する手順は以下のとおりです。

  1. 「システム環境設定」を開く
  2. ネットワーク画面の左下にある「+」ボタンをクリックして接続設定を作成
  3. インターフェイスでVPNを選択し、VPNの種類・任意の名前を入力
  4. 「作成」をクリックし、サーバアドレス・アカウント名・パスワードなどを入力
  5. 設定がすべて完了したら「適用」をクリック
  6. 「接続」ボタンをクリックして、「接続済み」と表示されたら接続完了

VPN対応ルーターを選ぶ際のポイント

VPN対応ルーターを選ぶ際には、2つのポイントを意識しましょう。

1.セキュリティ機能を確認する

VPN対応ルーターの種類によっては、セキュリティレベルや搭載されている機能が異なります。そのため、自社の目的や扱う情報などに応じたセキュリティ機能が搭載されているかどうか、確認が必要です。

標準的なファイアウォール機能などを備えているものやより安全な認証技術を搭載している製品など、自社のセキュリティ基準に即した機能があるものを選ぶとよいでしょう。

2.対応しているプロトコルを確認する

VPN環境を構築する時には、利用するプロトコルの選定が重要になります。プロトコルによってはデバイスから接続できないケースもあるため注意が必要です。古いプロトコルは安全面でも劣ることが多いため、新しいプロトコルや自社の環境を考慮して適したプロトコルを選びましょう。

最大接続台数の試算を行う

最大接続台数がどのくらいなのかという試算も欠かせません。例えば、パソコンとタブレットを使用しており、タブレットからも接続する予定なら、その台数分接続できなければいけません。

多くの端末で接続予定なら、接続台数の多い高スペックな製品が向いています。

主なVPN対応プロトコル一覧

VPN対応ルーターがサポートする主なプロトコルは、以下の4つです。

表はスライドできます

 
プロトコル 特徴
OpenVPN PPTP単体では認証や暗号化の機能はもっておらず、近年ではMac OSは非対応
L2TP/IPsec L2TPとIPsecを併用することで、認証と暗号化を行う
PPTP 一般的なWEBアクセスに使うHTTPSを利用。Windows向けに開発されたプロトコル
IKEv2 IPsecにて暗号化を行いIKEv2は通信相手の認証に用いる。SSTPやL2TP/IPsecに比べて速度満足を得やすい

VPN対応ルーター利用における注意点

VPN対応ルーターを利用する際には、2つのポイントに注意しましょう。

1.運用管理を行う人材を確保する

VPN対応ルーターの運用には、ネットワークの専門知識を持った人材が不可欠です。

VPNの導入には、ルーターの初期設定、トラブルシューティング、セキュリティ設定の最適化など、多岐にわたる業務が発生します。専門知識を持った人材を確保することで、システムの安定運用と迅速な問題解決が可能になります。

また、VPNの運用は一度設定すれば終わりではなく、定期的な監視とメンテナンスが欠かせません。適切な保守によって、不正アクセスの早期発見や、通信の効率化をはかれます。社内に専門知識を持った人材がいない場合は、外部の専門業者に委託するのも手段のひとつです。

2.機器の更新や脆弱性対応を行う

VPN対応ルーターの運用においては、定期的な機器の更新や脆弱性対応が重要です。

ネットワーク機器は時間の経過とともに陳腐化し、本来の通信速度が出せなくなってしまう可能性があります。最新の技術を反映した機器を導入することで、より高速で安定したVPN接続が可能となります。

また、脆弱性への対応も欠かせません。サイバー攻撃の手法は日々進化しており、セキュリティパッチやファームウェアのアップデートを適用することで、常に最新のセキュリティ状態を維持する必要があります。

さらに、利用しているVPNプロトコルや暗号化方式は定期的に見直しましょう。新しい技術やセキュリティ対策の情報を敏感にキャッチし、常に最適な設定を維持することが重要です。

VPNルーターについてよくある質問

最後に、VPNルーターについてよくある質問とその回答を紹介します。

VPNルーターとWi-Fiルーターの違いは何ですか?

VPNルーターとWi-Fiルーターは、基本的なネットワーク接続機能を持つ点では共通していますが、いくつかの違いがあります。

VPNルーターは、ネットワークトラフィックを暗号化し、リモートアクセスを安全に行うためのVPN機能が内蔵されています。これにより、不特定多数のユーザーが利用するインターネット上での通信もセキュアに行うことができ、通信の盗聴、改竄を防止できます。

一方、Wi-Fiルーターは主にモバイル通信を提供するためのデバイスで、VPNルーターのようにそれ自身にVPN機能はありません。

VPNはWi-Fiなしでも使えますか?

VPN(インターネットVPN)はWi-Fi接続なしでも使用できます。

VPNの基本的な機能は、インターネット上でも安全な通信を確立することです。そのためVPNの利用は、インターネット接続が確立されていれば接続方法を問いません。有線接続(イーサネット)でも、モバイルデータ通信(3G、4G、5G)でもVPNを使用できます。

例えば、スマートフォンでVPNアプリを起動してデータ通信を暗号化し、インターネット上でセキュアな通信をすることも可能です。

VPNルーターの費用はいくらですか?

VPNルーターの費用は、性能や機能に応じて大きく異なります。

エントリーモデルのVPNルーターは数万円程度から購入できますが、ビジネス用途や高度なセキュリティ機能を備えたハイエンドモデルは数十万円から数百万円に達することもあります。目的や利用環境に応じて、適切なモデルを選ぶことが重要です。

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インターネットVPNの新基準、ローカルブレイクアウト、IPv6 IPoEに対応。高可用性と容易な運用管理性を兼ね備えたマネージド型インターネットVPNサービス

UTM typeW

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マネージドL2VPN

高セキュアな拠点間インターネットVPN (レイヤー2VPN)接続を安価に実現

マネージドL3VPN

高セキュアな拠点間インターネットVPN (レイヤー3VPN)接続を安価に実現

まとめ

VPN対応ルーターを導入することで、時間や場所を問わず安全性を確保した通信が可能になります。利便性の高さとセキュリティ対策が両立できることは大きなメリットです。

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