AWS CloudTrailとは
AWSアカウント内で発生した操作を記録するサービスです。
ここでいう「操作」とはAWS APIへのリクエストを指します。
AWSマネジメントコンソール、AWS CLI、AWS SDKなどを通じて行われる操作が対象となり、誰が、いつ、どのアクションを行ったかを詳細に把握できます。
これにより、監査やセキュリティ対応、運用改善に活用可能です。
CloudTrailで主に記録されるのは、以下の3つのイベントです。
・管理イベント
リソースの作成、変更、削除などの管理操作を指します。
例)EC2インスタンスの起動、停止など
・データイベント
S3バケット内の作成、削除などのデータ操作、Lambda関数の実行など
リソース上またはリソース内で実行された操作を保存します。
・インサイトイベント
CloudTrailが通常の操作パターンと比較して異常なAPI呼び出しを検出する機能です。
CloudTrailを使ったクラウド操作の可視化
CloudTrailの最大のメリットは、操作ログを誰でも確認できる形で保存できることです。
「先週、誰がIAMポリシーを変更したのか知りたい」
「特定のS3バケットにアクセスしたユーザーを確認したい」
「セキュリティインシデントが発生した際、原因となった操作を追跡したい」
上記のようなときに活用できます。
ログはJSON形式で保存され、S3やCloudWatch Logsに配信可能です。
CloudWatch Logsと連携すれば、検索やフィルタリング、アラート設定が可能になり、リアルタイム監視や異常検知も実現できます。
CloudTrailの基本設定
CloudTrailの設定はシンプルです。主な手順は以下の通りです。
1,マネージメントコンソールからCloudTrailの管理画面へ遷移し、「証跡の作成」をクリックします。

2,任意の証跡名の入力し、新しいバケットを作成します。
ログファイルのSSE-KMS暗号化のチェックは外します。
その他の項目はデフォルトのまま「次へ」をクリックします。


3,ログイベントの選択をします。デフォルトのまま「次へ」をクリックします。


4,設定内容を確認し、「証跡の作成」をクリックします。

上記のシンプルな手順、基本的な設定だけで安全にAWS環境のイベントを収集できます。
監査ログの活用方法
CloudTrailのログは、実務でも幅広く活用可能です。
・ユーザー操作の追跡
特定ユーザーがどの操作を行ったかを確認し、誤操作等を把握できます。
・セキュリティインシデント対応
不正アクセスや予期せぬリソース変更が発生した場合、CloudTrailのログをもとに原因を迅速に特定できます。
・運用改善
操作履歴を分析することで不要な権限や手順の見直し、業務プロセス改善に役立ちます。
まとめ
CloudTrailを活用することで、AWS環境における操作履歴の可視化と監査が容易になり運用管理の透明性を高められます。
さらに高度な監査や脅威検知を目指す場合は、AWS ConfigやGuardDutyなどのサービスと組み合わせることでより安全で効率的なクラウド運用が可能です。
CloudTrailは、クラウド運用の安全性と透明性を確保するための第一歩として非常に有効なサービスです。


