クラウド エンジニアブログ

Amazon Inspector で実現する継続的な脆弱性管理

2025年7月7日掲載

はじめに

ソニービズネットワークス 開発本部の樋田です。

皆さん、自社環境の脆弱性管理はされておりますでしょうか?脆弱性管理が大切だとは分かっていても、具体的にどう対応すればいいか分からず手がつけられていない方も多いのではないでしょうか。今回はそんな脆弱性管理に便利なAmazon Inspectorの主要機能と活用方法について解説します。

Amazon Inspector とは

Amazon Inspectorとは、AWSが提供する脆弱性管理サービスで、Amazon EC2、Amazon ECR、Lambda関数などのAWSリソースに対して、継続的に自動でセキュリティ評価を実施します。OSやアプリケーションの脆弱性、ネットワーク到達性を継続的に検出してくれます。

主要機能

1. ⾃動検出と継続的スキャン

Amazon Inspectorは、AWS環境内のリソースを⾃動的に検出し、継続的にスキャンします。新しいリソースが追加されると⾃動的にスキャン対象に含まれたり、新たな脆弱性が発⾒されたりすると⾃動的にスキャンがされます。これにより、常に最新の脆弱性情報を把握できます。

2. 多様なリソースタイプのサポート

  • Amazon EC2: オペレーティングシステムとアプリケーションの脆弱性をスキャン
  • Amazon ECR: Amazon ECRに保存されたコンテナイメージの脆弱性を検出
  • Lambda関数: 関数コード内やレイヤーで利⽤されているアプリケーションパッケージの脆弱性を特定

3. リスクベースの優先順位付け

検出された脆弱性に対して、コンテキストを考慮したスコアを算出します。たとえば、ある脆弱性が「特定のポートを通じてリモートからの攻撃を受ける可能性がある」と判明した場合でも、そのEC2インスタンスがプライベートサブネット内にあり、かつセキュリティグループで当該ポートがすべてのトラフィックから遮断されていれば、その脆弱性を外部から悪⽤されるリスクは極めて低いため、Inspector上のリスクスコアも低く評価されます。これにより、各脆弱性に優先順位を設定し対応することが可能となります。

4. AWS Security Hubとの統合

Amazon InspectorはAWS Security Hubと統合されており、検出結果を⼀元管理できます。これにより、
Amazon GuardDuty等他のセキュリティサービスの結果と合わせて包括的なセキュリティ状況を把握できま
す。

導⼊メリット

AWS環境でセキュリティ対策を強化するうえで、Amazon Inspectorの導⼊は⾮常に有効です。⾃動化された脆弱性スキャンにより、セキュリティの可視化と対策を効率よく進めることができ、従来の⼿動運⽤に⽐べて⼤幅な負担軽減が期待できます。ここでは、Amazon Inspectorを導⼊することで得られる具体的なメリットを紹介します。

1. セキュリティ体制の強化

脆弱性を⼿動で管理するのは⾒落としや対応の遅れにつながりがちですが、Amazon Inspectorは新たな脆弱性が公開されたタイミングやリソースの変更に応じて⾃動でスキャンを実施します。 これにより、脆弱性を早期に検知・修正できる体制を整え、セキュリティインシデントの未然防⽌に貢献します。

2. 運⽤負荷の軽減

本来、脆弱性管理にはスキャン対象の選定、実⾏のスケジューリング、検出結果の分析・整理など、多くの⼿間と専⾨知識が求められます。Amazon Inspectorは、これらのプロセスを⾃動化し、AWSリソースのライフサイクルに応じて⾃動でスキャンを実施することで、運⽤担当者の負荷を⼤幅に軽減します。

3. コスト効率の向上

Amazon Inspectorは、検出された脆弱性について深刻度や環境依存のリスクを考慮したスコアを提⽰します。これにより、「実際に対処が必要なリスク」から優先的に対応でき、セキュリティ対応にかかる⼯数やコストを最⼩限に抑えつつ、効果的な対策が可能です。

実際の画⾯確認

それでは実際の画⾯を⾒ていきたいと思います。

1. 有効化

有効化する⽅法はとても簡単で、Inspectorの画⾯で「Inspectorをアクティブ化」ボタンを押すだけで可能となります。

  • 「Inspectorをアクティブ化」ボタンの押下
    Amazon Inspectorの実際の画面-1_「Inspectorをアクティブ化」ボタンの押下
  • 有効化確認
    Amazon Inspectorの実際の画面-2_ 有効化

2. ダッシュボード

有効化が完了し、各サービスでスキャンが⾛ると、ダッシュボードで以下のようにアカウント内概略を確認
することができます。
Amazon Inspectorの実際の画面-3_ ダッシュボード

3. インスタンス別の脆弱性検出状況

左ペインの「インスタンス別」をクリックすると、インスタンス別の脆弱性検出状況を確認することができ
ます。
Amazon Inspectorの実際の画面-4_インスタンス別の脆弱性検出状況

4. 各インスタンスの詳細

「3. インスタンス別の脆弱性検出状況」画⾯でインスタンスIDをクリックすると、下記の通りインスタンス
別の詳細を確認することができます。
Amazon Inspectorの実際の画面-5_各インスタンスの詳細

5. 脆弱性の詳細

「4. 各インスタンスの詳細」画⾯で脆弱性のIDをクリックすると脆弱性の詳細を確認することができ、当該
脆弱性のスコア等も確認いただくことが可能です。

Amazon Inspectorの実際の画面-6_ 脆弱性の詳細

まとめ

いかがでしたでしょうか?有効化ボタンをクリックするだけで、簡単に実装することができ、脆弱性のスキャンをすぐに始められることが分かったと思います。また、他のAWSサービスと連携させれば、⾊々なセキュリティサービスをまとめて確認できたり、新しい脆弱性が検出されれば通知させる等の応⽤を利かせることも可能です。Amazon Inspectorは、負担を軽減しながらも⾼いセキュリティレベルを維持したい企業にとって、⾮常に有効な選択肢と⾔えるでしょう。

お役立ち資料をダウンロード

AWS セキュリティ対策ガイド

「AWS セキュリティ対策ガイド」のダウンロードをご希望のお客様は、
以下必要事項をご入力ください。

このコラムに関連する製品

  • AWSセキュリティ強化支援サービス

    AWSのセキュリティが不安な方へ
    運用負荷をおさえた効果的な対策強化を支援します

    詳細はこちら

  • 運用内製化支援~セキュリティ改善サービス

    ベストプラクティスに沿った改善案を提案し、運用の内製化を支援します。


    詳細はこちら

  • 仮想UTMソリューション WatchGuard Firebox Cloud

    AWS環境のネットワーク出入口対策

    詳細はこちら

関連コラム

このコラムに関連する
導入事例

このコラムに関連する
セミナーアーカイブ動画

AWS環境のセキュリティアセスメント

SHARE
シェアシェア ポストポスト
AWS環境のセキュリティアセスメント
SHARE
ポスト シェア