需要予測とは?
需要予測とは、過去の売上や在庫データをもとに「自社が扱う商品やサービスがこれからどのくらい売れるのか」を予測することです。
たとえば、クリスマス商戦で「クリスマスケーキの在庫を何台用意したらいいか」を決める場合、過去の販売実績や集客情報などを参考に数字を考えますよね。これがまさに需要予測です。
需要予測の重要性
需要予測は、ビジネスの成長に欠かせない重要な仕事です。
たとえば在庫まわりです。需要予測をせずに、当てずっぽうで発注や製造をしてしまうと、以下のようなリスクがあります。
- すぐに欠品してしまい、機会損失につながる
- 逆に在庫を余らせてしまい、在庫金額を圧迫したり、廃棄が増えたりする
機会損失や在庫金額の圧迫は、経営悪化につながります。できるだけ需要予測の精度を高め、上記のリスクを回避することが大切です。
需要予測については下記記事で詳しく解説しています。需要予測の手法やメリットをまとめているので、ぜひご一読ください。
需要予測で高まるChatGPT活用への期待
ここからは、ChatGPTとはどんなツールなのかや、需要予測にChatGPTを活用した際のメリットを紹介します。
AIを代表するツール「ChatGPT」とは
ChatGPTとは、AI(人工知能)を活用したチャットボットの一つです。
ChatGPTは膨大なテキストデータを学習しており、まるで人間のような自然な思考を用いて質問・相談への受け答え、文章の執筆、プログラミングコードの生成などを行います。
2023年6月現在、提供されている「GPT-4」は、アメリカ司法試験を通過できるほどの知能を持ち、質問に対して数秒〜数分で的確な内容を返してくれます。
需要予測でChatGPTが期待されていること
ChatGPTは「需要予測」への活用もはじまっています。
たとえば、以下のように「個人の能力に依存することなく、高い品質の予想結果を、素早く、そして安く得られるようになるのではないか」と期待されています。
表はスライドできます
比較項目 | 人間の手作業 | ChatGPT活用への期待 |
---|---|---|
精度・品質 | ・個人のデータ処理能力に依存 | ・大量のデータを自動で統計 ・人間よりも高い精度が期待 |
スピード | ・個人のデータ処理能力に依存 | ・大量のデータを瞬時に処理 |
利便性 | ・分析のたびに労力がかかる ・分析手法の保守が必要 ・属人化しやすい |
・自動化が可能、属人化しない ・やり直しや別案作成も自由自在 |
費用 | ・人件費がかかる ・BIツールの費用がかかる |
・人件費削減が期待 ・BIツールより費用が抑えられる |
【実例】ChatGPTで需要予測はできるのか
では、ChatGPTに需要予測を任せるとどんな答えが返ってくるのでしょうか。
以下、実際にChatGPTを使って、とあるBtoB支援ツールのアクセス人数や商談化率を予測してみた実例を紹介します。(2023年6月現在)
指示文(プロンプト)は「統計の専門知識を持たない新人担当者」を想定し、以下のようなものにしました。
以下のデータをもとに20XX年X月のランディングページアクセス人数と商談化率を予測してください。
#過去のデータ
※過去のデータcsvを貼り付け。
なお、ChatGPT側は、有料版で高精度の「GPT-4」と、無料版の「GPT-3.5」でそれぞれ検証します。
【GPT-3.5】予測を返してくれるが計算ミスが発生
上の画像は無料版のChatGPT-3.5によるアクセス人数の予測です。渡した過去データの傾向をもとに、平均増加率を見て結果を返してくれました。
一見、確からしい回答を提示していますが、内容を精査してみると赤枠で囲った途中の計算がいずれも誤っていました。
売上の見込みや販促費など予算を決める根拠となる需要予測において、計算ミスをされてしまうのは致命的な欠点です。残念ながら、まだ予測を任せるには不足があると言わざるを得ないでしょう。
【GPT-4】予測を返してくれない
続いて、有料版で高性能な「GPT-4」の結果です。
こちらは以下のように「そもそも能力不足で予測ができないため、Pythonのようなプログラム言語の活用や、専門家への依頼を推奨する」という回答が戻ってきました。
与えられたデータから予測を立てるには、まずはそれらのデータパターンやトレンドを理解する必要があります。この場合、直近の月々のデータをもとに予測を立てるためには、一般的な手法として線形回帰や移動平均などを使用します。
しかし、私の現行の能力では、深層学習モデルを用いた数値予測は正確に行うことができません。それは私が訓練されている際に、特定の数値予測を行うためのデータやアルゴリズムを学習していないからです。
予測を行うためには、機械学習ライブラリ(例えばPythonのscikit-learnやStatsmodelsなど)を使ってデータを分析し、トレンドやパターンを特定し、それに基づいて未来のデータを予測することを推奨します。
具体的な予測を得るためには、専門的な知識を持つデータアナリストやデータサイエンティストに依頼することをお勧めします。彼らは適切な予測モデルを選択し、適用することができます。
あくまで仮説ですが、GPT-4は自身の能力をもとに実行性・正確性などを判断し、信頼に足る答えが返せないと判断したと推測されます。
間違った答えを返す「GPT-3.5」よりも進歩しているとも言えますが、そもそも答えが返ってこないのでは、まだまだ需要予測には使えません。
ChatGPTで需要予測する際の課題点
以上の結果から、2023年6月現在では、ChatGPTで需要予測を行うことはおすすめできません。残念ながら、需要予測に使うには課題が大きすぎるためです。
以下、主に挙げられる課題を3点ご紹介します。
- ChatGPTは計算ミスをする
- 受け取れるデータ量に限度がある
- 毎回、データを渡しなおす必要がある
1つずつ詳しく解説します。
1.ChatGPTは計算ミスをする
まず1つ目は、ChatGPTが計算ミスをするという点です。さきほどの事例でも紹介したように、実はGPTの計算ミスは、かなりの頻度で発生します。
上記の画像は、GPT-4に簡単な4桁の掛け算を出題したものです。2023 × 5332 = 10,786,636ですが、ご覧のとおり計算ミスをしています。間違いを指摘して再計算させてもなお、間違っています。
需要予測では、膨大なデータを利用した複雑な計算が必要で、かつその結果は正確でなくてはなりません。そんななかで単純な計算ミスをしてしまうのは、致命的な欠点です。
ChatGPTに計算をすべて任せるのは、「計算を間違えた影響で需要予測が大きく外れてしまう」という重大なリスクを伴う可能性があります。
2.受け取れるデータ量に限度がある
2つ目は、ChatGPTが一度に受け取れる情報量に上限がある点です。
ChatGPTには、指示文(プロンプト)の長さに対して制限が設けられています。「トークン」と呼ばれる単位で見られているため「全角何文字」といった表現はできませんが、GPT-4を使う場合はおおよそ3,000文字程度ではじかれてしまいます。
そのため、需要分析に使うような「複雑で膨大なデータ」をそもそも受け渡しできない可能性があります。
対処策としてデータを分割して渡す方法もありますが、「分割して何度もコピー&ペーストをして…」と大きな手間は避けられません。計算を間違えることに加え、作業の手間がかかることからも、実用性には欠けると言えます。
3.毎回、データを渡しなおす必要がある
3つ目は、毎回、ChatGPTにデータを渡しなおす必要がある点です。
実は、ChatGPTは長期記憶を持つことができません。会話内で渡した情報を短期的に覚えておくことはできますが、会話が長く続いたり、あるいは別の会話に切り替わったりすると最初に渡した情報を忘れてしまいます。
そのため、分析を依頼するときは、都度情報を渡しなおす必要があり、手間がかかります。
需要分析は継続的に行う必要があるため、毎回この手間をかけなければならないのは、大きなデメリットです。
まとめ:AIを活用した需要予測なら専用ツールがおすすめ
ここまでで紹介したように、ChatGPTを使った需要予測は、まだまだ実用性に欠けるのが現状です。
一度に渡せる情報に限度があるうえ、一度渡した情報を覚えていられないため、分析するたびに一から情報を渡す手間がかかります。また、計算を間違えることも多いため、精度は高くありません。
そのため、もしすぐにAIを使って需要予測の精度を高めていくのであれば「専用のツール」を使用するのがおすすめです。
ソニービズネットワークスの「Prediction One」は、過去のデータをもとに未来を予測するAIツールです。ChatGPTと同じように、機械学習やプログラミングといった専門スキルがなくても簡単に利用でき、かつ精度の高い予測結果を得られます。需要予測はもちろん、業務効率化や、新規ビジネスの検討にも役立ちます。
30日間の無料トライアルで実際にご利用いただけますので、ぜひお試しください。
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