クラウド 元SEママの情シスなりきりAWS奮闘記

【Amazon Connect】 コンタクトセンターサービス “Amazon Connect” 導入前に知っておきたい!運用のコツと注意点

2020年8月20日掲載

こんにちは。シイノキです。いつまで梅雨なのか……と嘆いていたのに、梅雨が明けた途端に猛暑ですね。やっと夏休みに入った息子を、外に遊びに行かせるのをためらうほどですが、かといって一日中家でゲームをしているのはどうなのか。母の悩みは尽きません。

さて、今回紹介するのはAWSのコンタクトセンターサービス「Amazon Connect」です。社会全体で在宅勤務が進むなか、コンタクトセンターの在宅勤務化の一手として注目を集めています。コンタクトセンターと言えば、在宅勤務は難しい職種というイメージが強いですが、ここにきて「在宅勤務NG」とは言っていられなくなってきた様子。人材確保の観点からも、「在宅勤務できます!」とアピールするところも増えているのだとか。

コンタクトセンターで利用するCTI(Computer Telephony Integration)やPBXをオンプレミスで構築していると、それらにアクセスできる拠点(オフィス)でしか電話をとれないため、仕事をするには出社するしかありませんでした。しかもCTIも大がかりなものが多く、小規模なところでちょっと使うのはなかなかハードルが高そう、というイメージも……。ところが、クラウドCTIやクラウドPBXなどが登場したことで導入のハードルが下がるとともに、「決まった拠点でなくともインターネット経由でどこからでも電話をとれる」ようになり、在宅勤務の可能性がぐぐぐっと高まってきたのです。そして、そのなかでもAmazon Connectの“手軽さ”は群を抜いているらしい……というウワサ。実際、デモを見せていただいたことがあるのですが、本当に簡単に構築できていて驚くほどでした。
とはいえ、導入にあたっては注意が必要な点も。実際の導入事例をベースに、運用のコツなどもあわせて解説します!

IVRやACDも!CTIに必要な機能をすべてそろえた「Amazon Connect」

最初に、Amazon Connectの基本をざっくりと紹介しておきます。先ほども紹介したとおり、クラウドベースのコンタクトセンターシステム(CTI)で、コンタクトセンターで必要となる電話回線や通話の録音機能、IVR機能(自動音声応答、「●●の問い合わせの方は1番~」と案内が流れて、番号で選ぶアレです)、ACD機能(Automatic Call Distribution、着信したコールをルールなどに基づいてオペレータに自動で振り分ける機能)までオールインワン!ライセンスが別途かかることもなく、PBXなどの機器も不要で、すべて従量課金で利用できることが特長です。初期投資を限りなく抑えて、短期間ですぐ使える!つまり、比較的小規模なコンタクトセンターでも手軽に本格的なCTIを利用できるということ。在宅勤務化のハードルも大きく下がるのではないでしょうか。

もちろんCRMなどと連携することも可能ですし、録音した音声を機械学習でテキスト化したり、感情分析したり……といったこともAWSの機械学習系サービスを使えば簡単にできそうな気がします。

そしてなによりも特筆すべきはその簡単さ。使い方に若干癖があると言えなくもない、ほかのAWSサービスと比べて、圧倒的に簡単です。初期設定もウィザードで言われるまま設定すればOKですし、着信してからのIVRやオペレータへの振り分けルールも、ドラッグ&ドロップでフローを作れば完成です。ちょっともう、すごすぎやしませんか。

Amazon Connect事例●小規模サポートセンターの在宅勤務移行に成功!

そんな、簡単に導入できちゃうAmazon Connectですが、導入する際には注意が必要なポイントも。そこで、ここではソニービズネットワークスが手がけたある企業の事例をベースに、Amazon Connect導入のコツについて学んでいきたいと思います。

その企業では、自社で提供するサービスの問い合わせ窓口として、24時間365日対応する拠点と、平日のビジネスアワーのみ対応する拠点の2拠点・計10席ほどのサポートセンターを運用しており、これまではフリーダイヤルにかかってきた電話を、NTTが提供するIVR機能で各拠点に振り分けていました。そして今回、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、急遽サポートセンターも在宅勤務できるよう体制を構築することになったのです。

実際、Amazon Connect導入によりオペレータの在宅勤務化に成功しましたが、実はすべてをAmazon Connectに移行したワケではないのだとか。導入時に注意すべきポイントとあわせて詳しく紹介します!

注意ポイント1:Amazon Connectで既存の電話番号を使うには?

Amazon Connect導入にあたってまず検討しなければならないのが、電話番号をどうするか、ということ。基本的にAmazon Connectで利用する電話番号は、初期設定時に自動で払い出されるもの(03/050/0120などから選択可能)から好きな番号を選んで決める仕組みになっています。既存の電話番号をAmazon Connectで利用したい場合は、まずは「いったんご相談ください」ということのようなので、気になる方はぜひ一度 ソニービズネットワークスまでお問い合わせください。

とはいえ、今回の事例では「とにかく短期間でAmazon Connectを導入したい」「既存の電話番号はそのまま使いたい」という事情もあって、既存のフリーダイヤル番号からNTTが提供する電話転送サービス「ボイスワープ」を利用してAmazon Connectの電話番号に転送する構成をとることに。ところが!NTTのフリーダイヤルからの転送先はNTTの03番号しか設定できないという制約があるんです。

つまり、NTTのフリーダイヤルからAmazon Connectの電話番号には転送できない……。仕方がないので、フリーダイヤル→転送用NTT03番号→Amazon Connect、と2回転送する形で対応することに。ボイスワープや転送用回線の費用はもちろん別途かかるので、このあたりは要検討と言えるでしょう。 もちろん、思い切って顧客に伝えている番号を変更してしまうのもひとつの手。番号の用途や伝えている顧客の規模にもよりますが「絶対ナシ」ではないはずです。

注意ポイント2:Amazon ConnectのIVR機能は祝日などを判定できない

もうひとつ、今回の事例でネックになったのが「祝日休日の判定」でした。実はAmazon ConnectのIVR機能、土日は判定できるのですが、標準では祝日を含むそのほかの休日を判定する機能がないんです。確かに祝日は国によって異なるものですが、「平日のみ対応」としている場合、祝日もちゃんと判定してもらわないと困りますよね。もちろん、祝日・休日判定の機能を開発すればよいのですが、時間がかかります。

この事例では、拠点ごとに対応可能な日・時間が異なるため、祝日・土日・営業時間かどうかを最初に判断してから各拠点にコールを振り分けていましたが、Amazon Connectではこれができません。ということで、当初はIVR機能のみ既存のものを使い続け、振り分け後にAmazon Connectに転送する形で導入することになりました。

従来の構成

Amazon Connect導入

その後、Amazon Connectの利用と並行して、祝日・休日判定機能をソニービズネットワークスが開発。現在はIVR機能もAmazon Connect側で対応している、とのこと。

IVR機能をAmazon Connectへ移行

導入までの期間が短い場合、足りない機能は既存のシステム・サービスなどを活用しながらまずは導入し、あとから機能開発・全面移行を目指す段階導入も検討するとよさそうです。

注意ポイント3:Amazon Connectの050番号ではフリーダイヤルに発信できない

コンタクトセンターでは基本的にかかってくる電話を受ける「インバウンド」が多くなりますが、オペレータから電話をかける「アウトバウンド」もあります。なかでも注意が必要なのが、Amazon Connectの050番号。いわゆる“IP電話”などと同じ扱いになるため、フリーダイヤルに発信できないケースが出てしまうことも。確かに「IP電話からはかけられません」っていう注釈、見かけますよね。

このあたりは、コンタクトセンターの性質にもよりますが、コンタクトセンターから外部のフリーダイヤルへ発信するケースがある場合は要注意。Amazon Connectで電話番号を取得する際に、050ではなく03ではじまる番号を取得しましょう。

自動化&在宅勤務化で必要になる運用の“コツ”

Amazon Connectで利用するソフトフォンも、操作はいたって簡単。今回の事例でも、30分ほどの研修ですぐに利用できるようになったそうです。
さらに、Amazon Connectへの移行とあわせて、運用体制もブラッシュアップ。以前は、一斉に全員の電話が鳴り、手が空いている人が電話を取るスタイルで、なんとなく「ほかの人が空いているとき、リーダーはとらない」などのルールはあったものの、どんな順番で電話を取るかは明確になっていませんでした。大規模なコンタクトセンターではルールベースでオペレータに振り分ける体制が確立していると思いますが、小規模なところではこういった運用も多いのではないでしょうか?
ですが、Amazon Connectでは事前に設定したルールにあわせて、「応対可能」に設定した人に自動でコールを振り分けていきます。つまり、これまでその場の雰囲気や暗黙の了解で対応していたことを、明確にルール化する必要があるということ。

今回の事例では、フロントとバックの大きく2つのグループにオペレータを分け、着信があったらまずはフロントの人に、フロントの人が対応できない場合はバックの人に回す形でルールを設定しました。バックのグループには、さまざまな案件に対応できるスキルを持つリーダーなどが所属するほか、「今日は事務業務やメール対応を中心に行うメンバーをバックのグループにする」など日ごとにグループの設定を変更しながら運用しています。こういったグループ変更はいちいち情シスに頼まなくても、現場リーダー自身で対応しているのだそう!

気になる料金は? Amazon Connectの料金体系と月額料金シミュレーション

さて、最後に気になる料金ですが、大きく「Amazon Connectの利用料」と、「テレフォニー利用料」がかかります。Amazon Connectの利用料は音声通話の場合、$0.018/分。発信・着信にかかわらず電話していた時間に課金されますが、「電話を取ってから」ではなく「着信したときから」(応答する前でも)課金対象となるので、そのあたりは頭の片隅に置いておいてもいいかもしれません。

もうひとつの「テレフォニー利用料」ですが、こちらは下記の3つから構成されます。

  • ・電話番号利用(03、050番号):$0.10/日(1番号につき)
  • ・インバウンド利用(03/050番号への着信):$0.003/分
  • ・アウトバウンド利用(国内、固定・携帯電話への発信):$0.0844/分

ちょっと計算がめんど……複雑ですが、今回の事例をベースに1ヶ月の費用を試算してみましょう。

テレフォニー利用料

  • 03/050番号 1つ:$0.10×1×30日=$3
  • インバウンドコール数 月4,000コール(平均4分):$0.003×4分×4000コール=$48
  • アウトバウンドコール数 月250コール(平均4分):$0.0844×4分×250コール=$84.4
    合計:$135.4

Amazon Connect利用料

  • ・インバウンドコール数 月4,000コール(平均4分):$0.018×4分×4000コール=$288
  • ・アウトバウンドコール数 月250コール(平均4分):$0.018×4分×250コール=$18
    合計:$306
    月額:$135.4 $306=$441.4

日本円に換算すると約50,000円といったところでしょうか。今回の事例で実際にかかっている費用は残念ながら公開できないのですが、「これまでの通信費用と比べて、かなりのコスト削減になっている」とのことでした。ちなみに、これらの料金も気づいたら値下げになっていたのだとか。サービスがいつの間にかどんどん値下げされるのは「AWSあるある」ではありますが、このメリットはやはり大きいですよね。

短期間導入も十分現実的!コンタクトセンターの新しい働き方が可能に

今回はAmazon Connectの導入について、詳しく紹介しました。注意が必要な点はいくつかありますが、既存の電話番号や運用とどう連携するかという観点がほとんどで、Amazon Connect自体の導入・構築に際しては、本当に簡単にいけそうです。

今回紹介した事例も、作り込みにかかった期間は1週間ほど。オフィスでのテスト運用を経てサポートセンターを在宅勤務に移行しましたが、トラブルもなく、顧客へのサポートは従来どおり提供できているそうです。

「ウィズコロナ時代を見据えて」という話が本当によく聞かれるようになっていますが、コンタクトセンターの対策としてAmazon Connectは有力な選択肢といってよいのではないでしょうか。月額費用のシミュレーションなどのご相談もいつでも受けつけておりますので、気になる方はぜひお問い合わせください。
以上、シイノキでした!

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