Amazon Q Developer CLI とは
Amazon Q Developer CLIは、AWSが提供するAI駆動の開発者向けコマンドラインツールです。q chatコマンドでターミナルから直接AIアシスタントと対話し、コード生成、デバッグ、AWS リソース管理など、開発に関する様々なタスクを効率的に実行できます。
プロジェクトファイルを読み込んでコードベース全体を理解し、会話履歴を保持した継続的な対話が可能です。この際、プロジェクトのソースコード、設定ファイル、ドキュメントなどを「コンテキスト」として追加することで、AIはプロジェクトの構造や要件を深く理解し、より具体的で実用的なアドバイスを提供できます。
チャット内では通常の質問に加えて、コマンド(/で始まるコマンド)を使用して高度な機能を利用できます。
主要コマンド
1. 会話管理コマンド
開発作業の継続性を保つための基本機能です。
# 会話を保存 /save プロジェクト名
# 保存した会話を読み込み /load
# 会話履歴をクリア /clear
継続的な開発作業に便利で、前回の続きから作業を再開できます。長期プロジェクトや複数のタスクを並行して進める際に、コンテキストを失うことなく効率的に作業を進められます。
実際の操作
EC2の概要について聞き、その時の会話を保存

その時に料金について聞くとEC2の料金について答えてくれます

会話履歴を消して料金について聞くと、会話の情報が無いためAWS全体の料金の話について答えます

/loadして料金について聞くと、EC2について聞いていた会話情報が復活するのでEC2の料金について教えてくれます

今回は簡単な会話で試しましたが、プロジェクトでの長期的な会話や、他の会話に切り替える時に会話の保存や読取を使用することで作業を再開させることが可能になります。
2. コンテキスト管理
プロジェクトファイルをAIに理解させるための重要な機能群です。
# ファイルを追加 /context add ファイルパス
# 使用量確認 /usage
# 会話履歴を要約して容量確保 /compact
プロジェクトファイルを追加→Qと会話等を行い作業→使用量確認→必要に応じて要約の流れで効率的に管理できます。この3つのコマンドを組み合わせることで、AIが適切にプロジェクトの構造と内容を理解し、より精度の高い回答を得られます。
実際の操作
読み込ませるプロジェクトファイル

コンテキストとして読み込み、質問してみるとファイルの内容から回答を生成します

ファイル単位ではなくフォルダ単位で読み込ませることも可能です

現在の使用量を確認できます

compactで会話を要約した後に確認すると、使用量が削減されています

大量のコンテキストや会話を行うと、トークンの上限に迫ってしまいます。そのため、必要ものだけコンテキストを読み込むことや、会話の要約が重要になってきます。
3. カスタムエージェント
専門分野に特化したアシスタントを利用できる機能です。
# エージェントの作成 /agent add --name エージェント名
# エージェントの切り替え /agent swap
# 利用可能なエージェント一覧 /agent list
特定用途(AWS、コードレビュー、ドキュメント作成など)に最適化されたアシスタントを作成可能です。各エージェントはそれぞれ専門的に特化させることが出来るため、より具体的で実用的なアドバイスを受けることができます。
実際の操作
カスタムエージェントを作成

作成時のコンフィグファイル

今回はコンテキストを自動的に読み込む機能について設定します。「resources」にファイルパスを指定することで、そのエージェントを使っている時は自動的にコンテキストとして指定ファイルを読み込みます(今読み込んでいるのは「2. コンテキスト管理」で使用したファイルです)

/agent swapで作成したエージェントに変更します

/contextで確認するとエージェントの設定でファイルが読み込まれており、質問するとその内容を使用しています

カスタムエージェントを使用することで、プロジェクトに合ったコンテキストを自動的に読み込ませたり、Qが実行できる権限を設定することが出来ます。
カスタムエージェントにはまだまだ機能がありますが、詳細な設定方法については、またの機会に説明いたします。
4. 実験的機能(TODOリスト)
最新機能を体験できる実験的なコマンド群です。今回はTODOリストについて紹介します。
まずは、/experimentで機能の有効化・無効化を設定します。
# 実験的機能の管理 /experiment
Amazon Q DeveloperにTODOリストの作成をチャットで依頼することで、Qがtodo-listツールを使ってリストを作成することが出来ます。
そして/todosコマンドは作成したリストの管理を行うことが出来ます。
TODOリストにあるタスクはチャットで進めることもできますし、/todosコマンドから実行できます。
# TODOリスト管理 /todos
これらの機能により、開発プロセスをより柔軟に管理し、新しいアイデアを探索しながらメインタスクを継続できます。
実際の操作
/experimentでTODO機能の有効化をします


チャットでQにTODOリストを作成してもらいます。

/todos viewコマンドで作成したTODOリストの一覧を見れます

/todos resumeコマンドTODOリストのタスクを実行してもらいます。これはチャットでも実行してもらうことが可能です。

TODOリストをQに実行してもらい、プログラムを作成することが出来ました

TODOリスト機能により、開発タスクを体系的に管理し、進捗を可視化できます。チャットでの自然な対話とコマンドベースの操作を組み合わせることで、柔軟なタスク管理が実現できます。
まとめ
今回は、Amazon Q Developer CLIの主要コマンドとして、会話管理、コンテキスト管理、カスタムエージェント、実験的機能の4つの機能群を紹介しました。これらを開発ワークフローに組み込むことで、以下のような具体的なメリットが得られます。
開発効率の向上
コマンドラインから直接AIアシスタントにアクセスできるため、IDEとターミナルを行き来する必要がありません。コード生成、デバッグ、ドキュメント作成などの作業を一つのインターフェースで完結できます。
コンテキストの継続性
会話の保存・読み込み機能により、長期プロジェクトでも作業の文脈を維持できます。チーム開発においても、進捗状況や課題を共有しやすくなります。
専門知識の活用
カスタムエージェント機能により、AWS、セキュリティ、特定のプログラミング言語など、専門分野に特化したアドバイスを受けられます。これにより、学習コストを削減しながら高品質なコードを作成できます。
効率的な開発サイクル
以下のような効率的な開発サイクルを構築できます:
- コンテキスト追加でプロジェクト理解
- 専門エージェントで技術的課題解決
- 会話保存で作業継続性確保
- 実験的機能で新しいアプローチ探索
特に、コンテキスト管理・カスタムエージェント(/context /agent)は日常的に使用する重要な機能です。また、専門エージェントの活用により、特定分野の深い知識を必要とする課題も効率的に解決できます。
Amazon Q Developer CLIは、現代の開発者にとって必須のツールと言えるでしょう。ぜひ日々の開発ワークフローに取り入れて、その効果を実感してください。
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