システム内製化を進めるなかで、抱えていたAWS設定の不安。
自社の状況を理解したアドバイスで解消し、適切な環境を実現

お話をお伺いした方

株式会社イクヨ 名古屋工場（第一工場）：愛知県半田市潮干町1-8
経営企画室　菊池 匡洋氏 氏
経営企画室　久保田 大輝 氏

株式会社オープンアップ
ITエンジニア　祖父江 史弥 氏

レガシーからの脱却を目指し、ローコードを活用した内製化を推進

プラスチック専門メーカーとして、軽自動車から大型トラック、輸送機器など自動車の内装・外装部品を主軸に事業を展開するイクヨ。手のひらサイズの部品から、大人の背丈ほどある成形品まで、塗装や加工もフレキシブルに対応することを強みとしている。多品種・少量生産といった業界全体での流れを含め、多様なニーズに応えてきた。

AWS環境を手探りで構築。“ベストプラクティス”の実装がハードルに

その環境として活用したのが、AWSだ。以前からファイルサーバやActive Directoryを構築していたAWS環境を活用した形である。システム内製化の取り組みは社内でも評価され、継続して進めることとなったが、課題も見えてきた。
たとえば、あるときはAS400で稼働していたWebアプリケーションサーバで障害が発生し、急遽、AWS上に環境を移すことになった。Webアプリケーションのデプロイ・スケーリングをおこなうAWS Elastic Beanstalkを用いて、1ヵ月という短期間で環境を構築、移行まで完了した。「サーバ障害もあり、とにかく急いで構築したため、セキュリティや冗長化の設定も適切にできたか自信を持てない状態でした（菊池氏）」
ネットワークに関しても、サブネットの分割など手探りで設定をおこなっていた。最初は外部から接続することを想定しておらず、接続が必要になった際にはすべて許可として対処していたが、そのままでは問題が大きい。その後、AWSのマネージド型VPNサービス「AWS Client VPN」で接続できる環境を整えたが、外部からの接続を想定してセキュリティを担保できる設定をする必要がある。
「ベストプラクティスに則った設定を目指そうと思っても、どうすればよいか分からないのが正直なところでした。自分自身で調べてはいましたが、インターネット上の情報は、具体的な設定方法は充実している一方で、ベストプラクティスについては概要に留まり、その間を紐づけて、自社の環境ではどう設定すべきかに落とし込むための情報は、見つかりません（久保田氏）」

自社環境を踏まえたアドバイスが得られる内製化支援サービス

安心感のある情報提供で、さまざまな課題を即時解決

2023年10月から内製化支援サービスを利用し、定期的に打ち合わせをおこないながら、課題をひとつずつ解決していった。当初挙げていた課題以外にも、相談するなかで出てきたものもある。たとえば、EC2インスタンスの複製なども、手順を紹介したサイトは多くあるものの、自社の環境で、この手順で進めて問題ないのかは判断がつかない。「このときは複製するインスタンスがWindowsでActive Directoryに参加していたため、そのまま複製するとActive Directory側でトラブルになりかねないと指摘があり、通信を遮断したサブネットにコピーを作成するなど具体的なテクニックを教えてもらいました。やはりプロに聞いた方が確実だと実感しました（久保田氏）」

ほかにも、HTTPS対応するアプリケーションが、モバイルアプリ側でうまく動かないという問題も、すぐに原因の指摘があり解決。「自分で調べていたら原因を突き止めるまで1ヵ月くらいはかかっただろうと思います。即時解決できるのはさすがだと感じました。インターネットの情報は玉石混交ですが、ソニービズネットワークスであれば、社内のネットワークについても把握いただいているので、安心して相談できると感じました（菊池氏）」

基本的な考え方を理解し、トラブルも自己解決できるように

サブネットなどネットワークの設定についても、基本となる考え方を理解し、適切に分割し、セキュアな状態を実現できた。「サブネットを分割する際の判断基準なども、これまでは推測で設定しているところがありましたが、こういうケースではサブネットを分割するしかないなど、明確に判断できるようになりました（久保田氏）」WindowsのEC2インスタンス複製も適切に実施するための手順を確立。うまくいかなくても自己解決できるほどのスキルアップにつながった。
当初挙げていたものを含めて、2ヵ月間で課題はひと通り解決し、その後もサーバを追加するなど、自分たちで適切な運用ができる状態になった。運用にあたっては、ソニービズネットワークスが独自開発した運用管理ツール「クラウドポータル」も活用。利用料金や構成図を確認し、状況把握に役立てている。「一度、RDSインスタンスを高いスペックに変更したことで、利用料金が跳ね上がってしまったことがあり、その後はこういったことがないように定期的に利用状況を確認するようにしています。クラウドポータルは画面も分かりやすく、便利に活用しています（祖父江氏）」

システム内製の体制を確立。基幹システム移行を着実に進めていく

今後は、メンテナンス時のロードバランサ設定の切替をボタンひとつでできるようにするなど、運用の効率化も進めていく予定だ。さらに、機械学習サービス「Amazon SageMaker」を活用した画像検査なども視野に入れている。「現状は、目視で不良品のチェックをおこなっていますが、これを自動化したいと考えています。以前少し検証して手ごたえは感じており、早く実用化したいと思います（菊池氏）」
一方、基幹システムの内製化は徐々に進めてきたが、道半ばではある。既存システムで対応しきれない部分を、担当者ごとにExcelなどを活用してきた面があり、それぞれが独自に作り込んでいるために、簡単には変えられないところも大きい。「社内では、難しいのでは……という考えになりがちでしたが、今回ソニービズネットワークスとのプロジェクトでは後ろ向きの意見がなく、問題になったときに『どうすればできるか』と常に前向きで、プロジェクト推進の理想形だと感じました。今回基礎的な領域について、しっかりアドバイスいただいたことで、自分たちで内製できる体制も整いました。今後も、一歩ずつ着実に進めていけたらと思います（菊池氏）」

2024年4月現在