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なぜIPアドレスが重要なのか?仕組みや確認方法まで解説

なぜIPアドレスが重要なのか?仕組みや確認方法まで解説

インターネットやネットワーク環境で必ず使われる「IPアドレス」。聞いたことはあっても、その重要性や仕組みについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、IPアドレスの基本的な概念から実務での活用方法、自分のIPアドレスの確認方法まで、情報システム部門の担当者が知っておくべき知識を解説します。ネットワーク管理やセキュリティ対策に役立つIPアドレスの基礎知識を身につけましょう。

事例の課題やよくいただくご相談を基に、サービスの活用方法をご紹介します。

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IPアドレスとは?

IPアドレスは、インターネットやLANなどのネットワーク上で通信を行う際、機器を識別するために設定される番号です。住所や電話番号のように、ネットワーク上の「住所」として機能します。

IPアドレスの基本概念

IPアドレスは「Internet Protocol Address」の略でパソコンやスマートフォン、プリンターなど、ネットワークに接続されるすべての機器に割り当てられます。

IPアドレスは「IPv4」と「IPv6」の2種類があり、IPv4は「192.168.0.1」のように4つの数字で表現され、各数字は0から255までの値をとります。IPv6はより多くの機器に対応するため、16進数とコロンで表記されます。

IPアドレスがなければ、インターネット上でのデータの送受信が成立しません。たとえば、メールの送信やWebサイトの閲覧も、IPアドレスがあってこそ実現する仕組みです。

プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレス

IPアドレスは大きく「プライベートIPアドレス」と「グローバルIPアドレス」の2種類に分けられます。それぞれの特徴と役割を理解することが、ネットワーク管理において重要です。

プライベートIPアドレスは、家庭内LANや社内ネットワークなど、限られた範囲内でのみ有効なIPアドレスで、以下の範囲に規定されます。

  • 10.0.0.0~10.255.255.255 (10.0.0.0/8)
  • 172.16.0.0~172.31.255.255 (172.16.0.0/12)
  • 192.168.0.0~192.168.255.255 (192.168.0.0/16)

一方、グローバルIPアドレスはインターネット上で世界中から識別可能な、IANA(Internet Assigned Numbers Authority)が管理する固有のIPアドレスです。インターネットサービスプロバイダ(ISP)から割り当てられ、通常は家庭やオフィスに1つだけ付与されます。

社内システムの構築では、プライベートIPアドレスを効果的に設計し、割り当てることで、安全で効率的なネットワーク環境を実現できます。外部公開サービスの場合は、グローバルIPアドレスの管理も必要になります。

動的IPアドレスと固定IPアドレスの違い

IPアドレスは、用途別にグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスに分けられますが、接続方法によって「動的IPアドレス」と「固定IPアドレス」の2種類にも分類されます。

動的IPアドレスは、一定時間の経過や再接続によってアドレスが変化するIPアドレスです。プロバイダーが保有している限定されたIPアドレスプールから、使用されていないアドレスが自動的に割り振られます。フリーWi-Fiや一般家庭のインターネット接続では、コスト効率の面から動的IPアドレスが広く採用される傾向にあります。

ただしビジネスの観点では、例えばWebサーバーのIPアドレスが何度も変更された場合、DNSがWebサーバーのドメイン名とIPアドレスの紐づけを管理できなくなり、その結果、Webブラウザーの検索結果やブックマークなどから自社のWebサイトにアクセスできなくなってしまいます。このように、用途によっては動的IPの利用が適していないことに注意が必要です。

一方固定IPアドレスは、接続が変わってもアドレスが変化しない特性を持ちます。アドレスが固定されることで、特定のIPアドレスを持つ機器からのアクセスのみを許可することができ、第三者からのアクセスを防げるため、企業の拠点ネットワークから安全に社内サーバー・端末への接続が可能になります。また、変更されることなく1つのデバイスに恒久的に割り当てられるという特性から、その他にもリモートアクセス、公開サーバーの構築、セキュリティの強化、地理的制限の回避など、幅広い利点を享受できるようになります。

 
特徴 動的 IP アドレス 固定 IP アドレス
アドレスの変更 再接続時などに変更 常に同じアドレス
主な用途 個人のインターネット利用 サーバーの運用、企業のネットワーク接続
セキュリティ IP制限が難しい 特定のIPからのみアクセス制限が可能

表はスライドできます

IPv4とIPv6の違い

現在、IPアドレスには「IPv4」と「IPv6」という2つの主要な規格が存在します。それぞれの特徴と違いを理解することは、将来のネットワーク計画において重要です。

IPv4は最も広く使われている規格で、「192.168.1.1」のように4つの8ビット数値をピリオドで区切った形式で表記します。理論上は約43億個(2の32乗)のアドレスが存在しますが、現在ではほぼ枯渇状態にあります。

IPv6は次世代規格で、「2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334」のように、16進数をコロンで区切った8グループに分けて表記します。約340澗個(2の128乗)という膨大な数のアドレスを提供できるため、IoTデバイス等の増加にも対応できます。

 
特徴 IPv4 IPv6
アドレス形式 192.168.1.1 2001:0db8:85a3::8a2e:0370:7334
アドレス数 約43億個 約340澗個(2の128乗)
セキュリティ 基本的 IPsecが標準搭載
設定 比較的シンプル やや複雑だが自動化機能あり

表はスライドできます

情報システム部門では、IPv6への移行計画を検討することが将来的なネットワーク拡張性を確保する上で重要です。現在はIPv4とIPv6の共存期間にあり、両方に対応したシステム設計が求められています。

IPアドレスが果たす役割

IPアドレスはネットワーク通信の基盤となる要素です。その役割を理解することで、ネットワークの問題解決やセキュリティ対策に活かせます。

通信を可能にする仕組み

インターネットやLAN内での通信は、すべてIPアドレスによって支えられています。データの送受信がどのように行われるのか、その基本的な仕組みを理解しましょう。

通信の基本は「パケット」と呼ばれるデータの小包です。パケットには送信元と宛先のIPアドレスが含まれており、これを基にネットワーク上で正しく転送されます。この仕組みは郵便システムに似ています。

例えば、WebサイトにアクセスするとHTML、画像、スクリプトなどのデータがパケットに分割され、サーバーのIPアドレスから手元デバイスのIPアドレスへと送信されます。

特にLAN環境における接続トラブルでは、IPアドレスの設定ミスや重複が原因となっていることも考えられるため、この点を理解しておくと問題解決の糸口になります

ネットワーク管理での活用

情報システム部門では、IPアドレスを効率的に管理することがネットワークの安定した運用に欠かせません。ここでは、適切な管理方法と活用方法をご紹介します。

IPアドレスの体系的な管理は、「IPアドレス管理(IPAM: IP Address Management)」と呼ばれます。企業規模が大きくなるほど、この管理の重要性は増します。

効果的なネットワーク設計のポイントとして、部署やフロアごとにIPアドレスの範囲を割り当てることが挙げられます。例えば、192.168.1.0/24を営業部、192.168.2.0/24を開発部というように分けることで、管理が容易になります。

DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバーを導入することで、IPアドレスの自動割り当てが可能になり、管理工数を大幅に削減することができます。特に社員の増減が多い環境や、テレワーク環境の構築では効果的です。

また、固定IPアドレスとDHCPの範囲を適切に分けることも重要です。サーバー、プリンター、ネットワーク機器などには固定IPアドレスを割り当て、一般のクライアントPCにはDHCPを使うという区分けが一般的です。

セキュリティ対策との関係

IPアドレスは、ネットワークセキュリティ対策において重要な要素です。適切な管理と監視によって、セキュリティリスクを低減することができます。

ファイアウォールにおけるアクセス制御はIPアドレスをもとに行われ、特定のIPアドレスからのアクセスのみを許可したり、逆に特定のIPアドレスからのアクセスをブロックしたりすることができます。

IPアドレスベースのフィルタリングは、社内の重要なサーバーやシステムへのアクセス制限に有効です。例えば、経理システムへは特定のIPアドレス範囲からのみアクセスを許可するといった設定が可能です。

不審なアクセスの検知や監視においても、IPアドレスは重要な判断材料となります。通常とは異なる国や地域からのアクセスや、短時間に多数のアクセスを試みる特定のIPアドレスを検知・監視することで、攻撃の兆候を早期に発見することができます。

また、VPN(Virtual Private Network)を導入する際にも、IPアドレスの設計と管理が重要です。社外からの安全なアクセス環境を実現するためには、適切なIPアドレスの割り当てとルーティング設定を行う必要があります。

IPアドレスの確認方法

通信のトラブルシューティングにおいては、自分のデバイスや社内ネットワーク機器のIPアドレスを確認することが基本です。ここでは、主要なデバイスごとの確認方法を解説します。

Windowsでの確認手順

Windows PCでIPアドレスを確認する方法はいくつかありますが、代表的な方法に「コマンドプロンプト」を使用する方法と「設定画面」から確認する方法があります。

コマンドプロンプトを使った確認方法は以下の通りです。

  1. Windowsキー + Rキーを押して「ファイル名を指定して実行」を開く
  2. 「cmd」と入力してEnterキーを押す
  3. コマンドプロンプトが起動したら「ipconfig」と入力してEnterキーを押す
  4. 表示される情報の中から「IPv4アドレス」を確認する

次に設定画面からの確認方法は以下の通りです。

  1. 「設定」アプリを開く(Windowsキー + Iキー)
  2. 「ネットワークとインターネット」を選択する
  3. Wi-Fi接続の場合は「Wi-Fi」、有線接続の場合は「イーサネット」を選択する
  4. 接続しているネットワークをクリックする
  5. 「プロパティ」セクションに「IPv4アドレス」が表示される

ネットワークトラブルの初期診断では、「ipconfig /all」コマンドを実行して詳細情報を確認することが効果的です。このコマンドでは、IPアドレスだけでなく、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーなどの情報も確認できます。

Macでの確認手順

Mac PCでIPアドレスを確認する方法にも、ターミナルを使う方法と設定画面から確認する方法があります。ここではそれぞれの手順を見ていきましょう。

ターミナルを使った確認方法。

  1. Finderの「アプリケーション」→「ユーティリティ」→「ターミナル」を開く
  2. 「ifconfig」または「ifconfig | grep inet」と入力してEnterキーを押す
  3. 「inet」の後に続く数字にIPv4アドレスが表示される

システム環境設定からの確認方法。

  1. 画面左上のAppleメニュー→「システム環境設定」を選択する
  2. 「ネットワーク」をクリックする
  3. 左側のリストから現在接続中のネットワーク(Wi-FiまたはEthernet)を選択する
  4. 右側の画面に「IPアドレス」が表示される

社内のMac PCをサポートする際は、ネットワーク設定画面の「詳細」ボタンをクリックすると、より詳しいネットワーク情報が確認できます。DHCPやDNSの設定、MACアドレスなどの情報が含まれており、ネットワークトラブルの解決に役立ちます。

スマートフォンでの確認方法

スマートフォンでもIPアドレスを確認することができます。また、iPhoneとAndroidデバイスでは、確認方法が異なります。

iPhoneでのWi-Fi使用時のIPアドレス確認方法

  1. 「設定」アプリを開く
  2. 「Wi-Fi」をタップ
  3. 接続中のネットワーク名の右側にある「i」(情報)アイコンをタップする
  4. 「IPアドレス」の項目で確認できる

iPhoneでのモバイルデータ通信使用時のIPアドレス確認方法

  1. 「設定」アプリを開く
  2. 「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」を選択する
  3. 「モバイルデータ通信オプション」をタップする
  4. 「IPアドレス」で確認できる(キャリアによっては表示されない場合もある)

Androidでの確認方法(機種やバージョンにより異なる場合があります)。

  1. 「設定」アプリを開く
  2. 「ネットワークとインターネット」または「Wi-Fi」をタップする
  3. 接続中のWi-Fi名をタップする
  4. 「詳細」や「詳細設定」をタップすると、IPアドレス情報が表示される

スマートフォンに社内システムへのアクセス権を付与する際は、IPアドレスだけでなくMACアドレスも併せて登録することでセキュリティが向上します。MACアドレスは同じ設定画面内で確認できることが多いです。

IPアドレスに関する課題

IPアドレスの利用には、次のような課題も存在します。ネットワーク管理においては、これらを理解して適切に対応することが重要です。

IPアドレス枯渇問題

IPv4アドレスの枯渇は、インターネットの発展とともに深刻化してきた問題です。その背景と対策について理解しておきましょう。

IPv4は約43億個のアドレスを提供できますが、インターネットの急速な普及とIoTデバイスの増加などにより、2011年にはIANA(Internet Assigned Numbers Authority)が保有する未割り当てアドレスが枯渇しました。現在は各地域のレジストリレベルでもほぼ枯渇状態にあります。

この問題に対する主な対策としては、以下のようなものがあります。

  • IPv6への移行:根本的な解決策として、膨大なアドレス空間を持つIPv6への移行が進行中
  • NAT(Network Address Translation)の活用:1つのグローバルIPアドレスを複数のプライベートIPアドレスで共有する技術
  • CIDR(Classless Inter-Domain Routing)の活用IPアドレスをより効率的に割り当てる方法

企業のIT戦略としては、IPv6対応を計画的に進めることが長期的な解決策となります。新規システムの導入時にはIPv6対応を要件に含め、既存システムについても段階的な移行計画を立てることが推奨されます。

IPアドレス管理のポイント

企業内でのIPアドレス管理は、ネットワークの安定運用とセキュリティ確保のために重要です。効果的な管理のポイントを紹介します。

  • IPアドレス管理台帳(IPインベントリ)を作成し、常に最新の状態に保つ
    台帳には、IPアドレス、対応するデバイス名、MACアドレス、利用者/部署、場所などの情報を記録します。
  • 専用のIPアドレス管理ツール(IPAM)の導入を検討する
    大規模なネットワークでは、これによりアドレスの割り当て状況の可視化や、未使用アドレスの把握が容易になります。
  • ネットワークをセグメント化し、論理的に分割する
    VLAN(Virtual LAN)技術を利用して、部署や機能ごとにネットワークを分けることで、セキュリティ性の向上とトラフィック管理の最適化を図ることができます。
  • 定期的なネットワークスキャンを実施する
    実際に使用されているIPアドレスと管理台帳の整合性を確認することが、ネットワーク管理の基本です。
  • 将来の拡張を見据えた余裕あるIPアドレス設計を心がける
    例えば、現在の利用数の2〜3倍のアドレス空間を確保しておくことで、将来的なデバイス増加にも対応できます。
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まとめ

IPアドレスは、インターネットやネットワーク上で通信先を一意に識別するための重要な要素です。企業の情報システム部門にとって、IPアドレスの仕組みを理解し、適切に管理することは基本的かつ重要な業務です。

本記事では、IPアドレスの基本概念からプライベートIP/グローバルIPの違い、IPv4/IPv6の特徴、各デバイスでの確認方法、そして管理のポイントまで解説しました。IPアドレスは単なる番号ではなく、ネットワークコミュニケーションを支える基盤であり、セキュリティ対策にも深く関わる要素です。

IPv4アドレスの枯渇問題に対応するためにIPv6への移行を計画的に進めること、社内ネットワークでは体系的なIPアドレス管理を行うこと、そしてIPアドレスベースのセキュリティ施策を適切に実施することが、今後のネットワーク戦略において重要になるでしょう。

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